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 「ここだ、ここだよ、市立『尊臣(とうとおみ)』第2小学校。可能性の最後の1人がいるところだ。」
 すっぽりかぶったレインコートのフードで髪を隠して、双子の片われが快活に走って戻って来た。あまり目立たぬようにと、あとの連中は角をまわった植えこみの陰で待っていたのである。
 「いま何時? 12:35か、昼食中だね。この学校ひる休み何分からだろ。」
 背の高い黒髪そばかすの少年が防水のデジタル時計をのぞきこむ。
 「昼休みはやっぱマズいんじゃない? 校内はいるのはサ」
 「相手の都合もあるだろうし……第一めだつわ。」
 そういう彼らにしてからが、登校中であるべき小学生である。
 
 彼ら6人は学校の角の、紫陽花の大株と大株の間の奥まった所に集まっているのだった。アジサイの生け垣は、不思議なことに校庭の鉄柵の外側にあるのだ。
 「なんか気にくわないんです、る。この学校、どうも嫌な“気”がよどんでいるみたいでする。」
 柵ごしに校内をのぞきこんでいた、一番小さい子が戻って来てそう報告する。
 「なに、おミソ。どういうこと」
 年長の勝ち気そうな少女が聞きかえす。“おミソ”と呼ばれた子はモジモジして風がわりなマントのフードをますます深くひきおろす。
 「よし。」
 リーダーとおぼしき黒髪の少年が云った。
 「雨もひどいし、食事して、さっき見た市立図書館で時間つぶそうよ。……放課後まちぶせすればいい」
 わーい! 双児が歓声をあげ、もう1人の男の子がしみじみとつぶやいた。
 「助かったァ、ミーちゃんもう毛なみがぐしょぐしょヨォ☆」
 女の子が長い髪をなびかせて笑い声をあげる。それほどまでにこの年の梅雨はひどいものなのだ……
 

 


 leader 黒髪、そばかす → のっぽ(黒ずみ)
 twin  金髪ロールヘア   マーク・エンゲル・レッドフラッグ
     金髪ストレート   レーニ・ボリシェ・レッドフラッグ
 a girl 黒髪ローレ色白   ゆりや
 
 
 塔遠見
 尊御々

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