平和の歌を歌おう
 友だちが死んだから
 鳩は戦いの為の蹴爪を持たない
 だから歌おう 白い喉を赤く染めて
 平和の歌を歌おう
 
 平和の歌を歌おう
 学生達は兵器廠に通っている
 道路には地雷が埋められたし
 ミサイルが山を覆っている
 この上は竹槍をでも磨こうか?
 今は玉砕するにしても二億の総人口
 毎日の食糧さえ貧しくなっていくのに
 戦車に乗って
 戦場に通勤しろと言うのか
 
 だから平和の歌を歌おう 友達が死んだから
 平和の歌を歌おう 俺たちの歌を
 
 
 


 
 
 憲法改悪反対!
 わたしは声を大にして叫びたいのだが
 わたしの回りには「なんとなく」が漂い
 シラケ世代の仲間たちの内にあって
 真念から出る声ですらが
 空に追われる
 
 軍備拡張反対!
 わたしは戦争の悲惨さを訴えたいのだが
 大人たちはそれを白眼視する
 何を若造が と
 「戦争を知らない子供たち」が
 何をえらそうに言うのかと
 
 



 
 はじめは冗談だったのさ
 この俺 たちが 社会批判 (!?)
 メッチャ 古いぜ
 はいからあ だよなァー
 
 だけどヨォ おまえら
 新聞見たこと あるかい
 ドンパチ 人間 死んでらァ
 あきれるほどだぜ メッチャシブイぜよ


 
※歌詞。ブルーハーツみたいな学生有志のパンクバンドが学祭で演奏して問題視され、停学〜退学になるという設定。
 
 戦争はきっと始まってしまう
 人間が理想だけを抱いていられるのは ほんの一時のことだ。
 戦争はまたきっと始まってしまう
 人間が理想を抱いていられるのは ほんの一時のことだ。
 
 
 
 いつか、60年代安保闘争の歴史小説だけは書きたい。
 
 
                          .


「だけど  だけど。
 執行猶予を  与えてもらうわけには行かないのかしら?
 わたしたち  神々と人とのはざ間であるわたしたちは
 よく知っている。今、人と神々=自然の仲がうまくゆかずにいる
 のは、子らである人が 丁度 反抗期とも言うべき
 時期にさしかかっているから、だわ  ……」
 
 
  とにかく、核爆 類 の処理だ。人類っていうのは
 一人一人が小さい分だけ以外と強いもんだけれど、
 地殻変動には耐え得たところで60回分もの放射能で
 自滅しちまったんじゃ  何の意味もない。」
 
 

 
  ……これだと当初の設計である「第四種兵器」戦、という
状況設定とは根本からくいちがいますな。
自然科学関係を一からかじらなけりゃならんし……。

 
 誰が  どんな素人が見てもこれは助からないとわかる状態で
彼は横たわっていた。
 「何故。」
 と、彼女は地面を踏み鳴らした。
 「なぜ、こんなことをするの、なぜ戦わなくちゃならないの。
人が死ぬばかりじゃない。次々死ぬばかりじゃない。」
 誰もなにも言わなかった。誰もなにも言えなかった。
 彼は  今、“死”に面とむかっている彼は。
聞いたような気がした。重い沈黙。その陰にある、ひとつの想い。
 「闘かわなければ  今、僕たちが闘わなければ 」
 (殆どもう僕は死んでるな)
 他人ごとのようにそう感じながら、それでも不思議と彼の声には
はりがあるような気がした。する。
 誰も彼に「 しゃべっちゃいけない」とは、云わなかった。
 今、彼が話そうとしていることは、明らかに彼の、『遺言』。
 そして彼は、皆の沈黙を、代弁しようとしているのだった。
 「戦争が起ったら。こんな風なレジスタンスの小競りあいでなく、
本物の戦争が起こったら。
 死ぬのは僕だけじゃない。何百人、何千人の僕が  こんな風に
仲間にみとってもらうこともできず、僕は信じるとおりに生きた、と満足
しながらこの世を去ることもできず……肉体(からだ)も、魂も、
血みどろになって……
のたうちまわって……
 僕が死ぬことで僕の弟は死なずにすむかもしれない。僕がここに
こうしていることで、もし、あの……僕の、生徒たちが きちんと大人になって
結婚して、子供……なら、
 僕は      」
 壊れた廃水管のような音がどこかでして、ひどく鮮やかなあかいろ
したものが、どこからこれだけ、と ぼんやり彼女に思わせるくらい、
華やかに床をそめあげていった。
 僕は………
 何だというのだろう。彼は、いなくなってしまったのに。
 
 
       ×       ×       ×
 
 
「 あたし、田舎へ帰るわ。」
その言葉を彼女はとても静かに云った。
「 田舎へ帰るわ。もう疲れたの。
   両親が結婚話を用意して待ってるわ。
 秋には柿がなるし、紅葉がキレイよ。あたしはもういちどチョークを
持って……彼の喪があけたら、平凡で、穏やかで、病気と交通事故
以外の死の心配なんかとはおよそ無縁な、優しい人と結婚し……
子供を産んで…… 孫の顔を見て……
平凡に老いて、死ぬわ。」
短い夏の終りだった。
「子供を産むわ。」
サヨナラのかわりに そう言いおいて。
 
 日本が、世界にむけて進撃を開始したのは、翌年12月のことで
ある   
 
 
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