先生が逮捕(つか)まった。
 
 ある日ジュンが街を歩いていると何もないところでころばされた。急に足がちょっとしびれた気がしたのだ。
あわてて起きあがって行こうとすると、
 「お待ちなさい」
 きれいなお姉さんが地味な服を着て うしろに立っていた。
 「だァれ?」
 「落としものよ。」
 すっと さし出された物は3冊の本。
 「あらそれあたしのじゃないわ。大人の本みたいだもの。」
 「あなたのなのよ。」
 「え? ちがうわ。」
 「あなたのものなの。今ころんだ時に落としたのよ。いいわね?」
 わけがわからない事を云って その本を ジュンの手におしつけて、きれいな女の人はすぐにいなくなってしまった。
 家へ帰って あけてみると、ぜんぶ本かと思っていたうちの 1冊は ぶあつい日記帳だった。
    先生の字だ!!
 びっくりしてジュンはそれを読みはじめた。
 『偶然にも楠木綾瀬の娘が はじめて私の担任するクラスに ひっそり埋もれていようとは! なんという幸運! ジュン・アヤセは およそ平凡に見える、別段 目だったところもない大人しげな生徒である。しかし常に周囲とは違う何かを考えることのできる眼をしている。よく放課後の教室で1人で個性的な絵や詩を書いている。9歳にしては相当本を読む。』
 そんな風な漢字が多くて むずかしい文で その日記ははじまっていた。
 “楠木綾瀬の娘”というのがなんのことなのかわけがわからなかったけれど、とにかくアヤセ・ジュンというのはジュンの自分のことだ。ジュンは辞書を持ってきて いっしょうけんめい わからない字をさがしはじめた。
 ぶあつい日記を 少しづつ、そうやって調べては何回も何回も くりかえして読み、むずかしいところや まるっきりわからないところがあってもあきらめないで続けて読んでみた。 まいにち学校から 帰っきて お夕食がおわると 辞書をひきながら 先生の日記帳をひらいて、さいごまでひととおり目を通すのに半年くらいかかった。
 ジュンは先生の日記帳を たからものにして だれにも見せなかった。わからない むずかしい字があっても ほかの大人の ところへ聞きに行こうとは思わなかった。なぜって  よくわからないけど大人たちは 先生が悪いことをして けいさつ につかまったって言っているんだから。 その悪いことをした人が書いたものを持っていたら とりあげられちゃうんじゃないかなって思えたのだ。
 わけのわからない日記帳を読みおわると あと2冊のわけのわからない本が待っていた。 わけのわからない本のほうは もう本当に わけがわからない、辞書にも書いていない言葉ばっかりがならんでいて、それに書いてあることが自分に かんけい ないことだと思うと あんまり おもしろくなかったので、ジュンは だい と書いた人の名前 だけをおぼえて、机のひきだしのおくに 大事にかくしてしまった。
 
 

 
 軽く握ったこぶしで彼は机をポンと叩いた。ポンポンとたたいた。それから指をひらき、指を閉じ、手のひらを机に はりつけ て。そして彼は何も言わなかった。
 
 
 「まあ、いいさ。今さら何が出てこようと、
 おどろきゃしないよ。
            
 おれはただ、小さな女の子(クリシャー)が泣いているのを黙って
 見ていられなかった だけなんだ!
 それだけなんだよ! 本当に、それだけだったんだよ!!」
 

 
 アンドロメダ・エメルダ
 
 「無法の衣」って
  いい言葉だと
  思いません?
 

 
 ジョンディ・ライバー(※イラストあり)
 
 朝日ヶ森に迷い込んだ
 エスパー集団
 

 

(※私立朝日ヶ森学園長が、小学部の生徒たちがテロ行為(?)をして
  逮捕(拘留)されているのを引き取りに来て牢の前で言う、
  ……絵コンテ内のセリフ。)
 
 「裁判? 投獄!?
  でも彼らの父親をごぞんじですかしら
  はしから
  ……大臣
  ……国 首相
  ……大使
  はじっこの金髪の娘は
  ……国王の一人娘 でしてよ」
 
 生徒:(牢の中で手製の爆弾を持て遊びながら)
 「どーせなら最後までやらせてくれればいいのに」
 「こいつここで使おっか?」


 

(※その後、釈放されての「金髪の娘」のセリフ。)
 
 「ウフ♪ でも戦争が始まれば
  こっちがひどいめに会うんですもの……
  院長がいれば安心だわ
 
  それにわたし
  カイやレム好きだから」


 

(※「盲目の律子」絵コンテ)
 
 「まあ わたしが
  反戦運動の指揮を!?」
 
 「光栄だわ
  そんなに
  活発に
  見えますかしら」

(マスミの友人 盲目の少女)

 
 アフリカ …… アスリカ
 ソ連   …… セレン
 アメリカ ……        .
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