この話はわたししか知らない。
まだ、だれにも話していないから。
彼の所へ2度目にでかけたのは、ある  小春日和とかたづけてしまうには、あまりにもできすぎたぐらいに上天気な一日。
この話とは直接関係しない所に少々差し障りがあるので日付はふせます。
 
 たぶんみんなはその日の事はよく覚えていると思う。
あの時期には珍しく、ゆるゆると安心感のあった一日で、かなり多勢がエスパッションに集まっていたから。
おかげでわたしはだれにも見つからないようにと思っていたのに、見つかってあらぬ詮議をかけられてしまった。
無理もない。
このわたしが、公用で出かけるのでも正装でもない、全くのプライベート・タイムにスカートはいてでかけようというのだったから。
(……しかしみなさま発想がせまいね。デートと信じて、てんから疑わないでいらっしゃる。)
 別段、何を着ていっても、それはかまわなかったのだけれど、わかってくれるかな  、あの時期は特に疲れていて、他人(ひと)から戦士と見られるのが嫌だったんだ。
 ついでながら風景を描写。
空はまっ青。はるかに白いひつじ雲が部分部分を群れ歩いていて、旧市街へ向けて車を飛ばしていく間も、わたしは辺りばっかりながめてた。
既に葉を残さない白い街路樹が冴え冴えとして、冬の午前中のあの透徹した風が、空とこずえとの間を不思議なほとはっきりと染めわけ染めあげて、それがどこまでもからからとかすかに高い音をたてながら、前にも、後ろにも、ずっとずっと、はるかに見はるかす程続いていた。
もっとももちろん心象(イメージ)で、実際にはすぐに街はずれまで来てしまったけどね。
 わたしは  何色だったかなあ、数少ないドレスのうちでもわりあい線のかっちりしていないのを選んでいたから、そう、あれはほとんどステッチの入っていない、普段着用にってエリーが選んでくれた、ふうわりとやさしい若草  色の、少し長めのひとそろいだ。
ちょっと古代地球風のふんいきの布の流れがあって、お気に入りの一つだった。
  置いて来たけれど。
 
 
 
(* 街着スカートはいてるサキのシャーペン描きイラストあり。)
 
              .

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