◎二人はごくあたりまえな普通の人間でした。
 その二人に、人をしてとんびが鷹を生んだと言わせるような美しい娘ができました。
その子の顔立ちはやや異常と言えるほどによく整っていて、赤ん坊nふさわしい愛らしさというものには欠けていましたが、十年後、二十年後の姿が今から予想されました。
  なんて美しい目をしてるんでしょう。まるで冬の空のような澄んだ金色に光っているじゃありませんか。
  それにどう? この髪。こんなみごとな青髪は見たことがありませんわ。
  これなら、未来の一級市民夫人だって、夢じゃありませんわねェ。
上品ぶった、(もう少しで一級市民権に手の届く)二級市民夫人が思わせぶりに言いました。
この夫人には今年三歳のドラ息子がいたので……。
 二人はつい最近やっと二級市民権を得たばかりで、まだ気の遠くなるほどの借金が残っていました。
そんな中で子供を育てるのは楽ではありませんでしたが、一生懸命働き、むだなお金は使わず、役人の目をごまかせそうな時にはぬかりなく立ちまわって、そでの下をきかせることも覚え、小さな二人の商店は着実に収入(あがり)を額を増やしていきました。
  うん。そうだな。
夫は、よく娘の寝顔をながめて言ったものです。
 
 
 
(未完/レイの乳児時代のエピソード〜☆)

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