2.
 
 1ヶ月後、何年かぶりにサキは完全に自由な休暇を得た。
スクランブルでたたき起されることも、活動費かせぎにアルバイトに出かける必要もない、まったく自由な時間。
この上もなく空の美しい一日を選って、サキは出かけることにした。
透みわたった空に銀の風が吹き、既に葉のひとひらもない白い木々のこずえには、かんくああん…… サキはついに見ることができなかった、収穫祭の鳴る子が、置き忘れたままに冬の朝を響いていった。
 サキが古びたドアをたたいた時、彼の部屋にはもう一人、サキの見知らぬ青年が来ていた。
妙に騒々しくにぎやかな男で、サキがあっけにとられ、彼が苦笑いしている中で、一人で景気よくしゃべり続けた。


 
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