3.
 
 彼は混乱を極める市街の、既にこの騒ぎの余波で異常を来たしたものか数メートル進んではガクガクとベクトルに変調を起すロードベルトの上で、とにかく目をむいて前方をにらんでいた。シゾカ市(シティ)の全ドーム群が一斉に喚き立てているような喧噪の中では、他に何をしようにもする事が無かったのだ。
怒号、悲鳴、火の付いたような子供の泣き声。山のような荷物を抱えて路上に湧れ出した大群衆の間で、これも狂ったように警報を鳴し続ける空陸両用車(エア・ジェット)の長蛇。
千年の星霜を経てようやく再統一が為されたばかりというこお地球上に、まるで再度最終戦争(アルマゲドン)が訪れたかのような光景である。
それでも彼はとにかく手荷物一つ持たない全く平静なスタイルで  冷汗じみた油汗を顔じゅうににじませてはいたもの  かなり有効なコース選択を行って一路郊外を目指していた。
 
 
               (未完) .

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