鋭はマーシャたちの結婚式の後、不老長寿となる「命の山」の「火の水」の入ったガラス壜を受け、エルシャマーリャから次元航海理論の記されたオリハルコンの記録器(テープ)をあずかって地球に帰ります。
「火の水」によって年をとらなくなった鋭は人民戦線に加って戦争回避と歴史的文化の保存につとめる一方(この時期、かの朝日ヶ森学園は一つの学園国家として人民戦線の根城になっています……これがのちのアロウ・スクールです)、記録器(テープ)の解読につとめ、遂に次元移送機を造りあげて再びダレムアスの大地に立ちます。
しかしそこにはかつての面影はありません。
ボルドム軍との最後の決戦は、ボルドムの地を破壊すると共に
ダレムアスにも衰弱をもたらしたのです。
「命の山」はもはや息絶え、「火の水」の減少によりダレムアトの平均寿命はいちじるしく短くなりました。
しかも決戦の際に多くの「力有る者」が死に、仮に生き残っていたとしても すでに聖霊自体の命数がつきようとしていたのです。
ダレムアスはもってあと1000年、生存可能なのはせいぜい100年くらいでしょう。
賢者団は鋭と人民戦線に救いを求めました。鋭と次元科学者・宇宙航海学者たちは必死になって "ダレムアスの箱船(ノア)" たるフェアリスティラーヤを造ります。……間にあうでしょうか?!
その間にも地球の状態は悪化し、最終戦争となってしまいました。
ダレムアト(エルシャマーリャ)の一部が自ら希望して「兄弟世界の復興」のために地球に残ります。
また、幾隻ものフェアリスティラーヤが広い宇宙空間に飛びたち、あるものは別の惑星、またあるものは異次元へ、そして船のままさまよう者など(「白い砂漠の星」のマリアマースの母親の船もその一隻)、ダレムアスの末もちりぢりになるのですが、……ボルドムの生き残りがやはり恨みからそれを追っているのです。(小六の時の「話」のノート参照)
不老不死の孤独に耐え切れなくなった鋭も共に旅出ち、銀河の星のあちこちを転々としていますが、どこにも落ち着くことはできません。
……地球がすっかり冷え、あとはただ凍りついたままくだけるのを待っている……そんな時に帰って来て砂の上をさ迷い、眠りにつこうとします。
すると、もう一人の長寿人が遠くから現れました。
「……やあ。君もかい?」「うん」
心の行き場、愛する相手を失った長寿人たちはこうして一人一人消えてゆくしかないのです。
『 (無題) 』 (高校初期、だと思うが……??)
2006年7月27日 連載(2周目・大地世界物語) コメント (2)角を曲がれば待ってるだろうか
ドアを開ければ行けるだろうか
近くて遠い 魔法の国へ
隣にあっても 見えない国へ
峠こえれば 行きつくだろうか
アーチくぐれば入れるだろうか
近くて遠い 地球の姉上
ぼくが暮らした魔法の国へ
いつか再び行けるだろうか
いつか再び会えるだろうか
ぼくが暮らした第二の故郷
ぼくが愛した あの少女
角を曲がれば待ってるだろうか
ドアを開ければ行けるだろうか
近くて遠い 向うのこっち
一度訪れ 再び去った
二度と行けない ぼくの故郷
ぼくが愛した あの土地へ…………