オリ・キャラ劇団版「おりょうの木」

 『アイネ・イム・リザンデの滝つぼ』

 キャスト
 リザンド・デリル …… 年若い女領主
 ステラ・リー・ジョゼフィーヌ ……




 運命(さだめ)に抗って勝てた者はいない
 もし抗って勝てるものなら
 それは運命とはいわないのだ……




 『アイネ……』の断片なのか、
 他の『長寿人』シリーズの構想なのか、
 もはや忘れた☆

 イラストは、「銀」のつもりで描いているのかな〜??
 
 ある昼下がり。埃のたつ雑踏の市の辻で、道を行く婢女(はしため)の1人が頓狂に声をあげた。
 「あれ見さいのう。あれに行かしゃるはズードリブールのお館さまでは」
 ズードリブールの名が出ると共に、人々の顔が自然と指された方を向く。
 と、そこには長い絹裳の裾を風になびかせて、堂々と馬上にある貴婦人の行列があった。
 白にえんじの鮮やかな上衣に 同色 逆配色の裳を着けて、宵闇色の被衣を涼やかに浅く打ち掛けただけの姿である。ズードリブールの館さまと呼ばれる女性は、衆人の中で輿の垂れ衣を降すどころか、美しい横顔をさえ陽にさらして、馬に乗っているのだった。
 わずかに臆した様子でやはり馬の背に揺られながら続く、華やかでいてどこか清楚な装(なり)の従女達。頬を紅潮させ、よしや乙女らや美しい女主人に無礼の儀を働く者のあれば、と、まだ幼なさの残る美しい青年兵が後衛に就いている。
 市場中に散開していた群集の眼と心とを一身に捕えて、ズードリブールの侯爵正妃は悠然と市の一角を目指して進んで行った。
 「なんと、アヴィン。我が妃(みめ)よ」
 一行が近づくにつれ、異国の隊商の天幕から身軽く迎えに現われたのは、おそらく舎人が知らせに入っていたものであろう、ズードリブール侯爵その人である。
 彼は口先程には驚愕した様子も無いようで、楽々とした大股で優雅に歩み寄って来ると、 アフィンと呼んだ 妻が鞍から降りるのに手を貸した。
 豪奢な、殆ど黒一色の服に身を固めた長身の侯爵の隣に立って、黒髪の侯爵妃アヴィラ・アンゴルシュカの姿は、華奢で小柄ながらも凛とした気品と気高さに光りを放たんばかりである。
 王都に住む者なら誰知らぬ事のないこの2人の並んでいる様は、嵐の天を貫く稲妻のような、それとも昼日中太陽が消えてしまった時に残るあの不思議な蒼い炎のごとき輝きを帯びているかのようで、見る者の心を思わず魅きつけてしまわずにはおかない。 なぜなら、彼らはこの時代、この世界において唯一、何ものからも束縛されない心を持った人間だったのだから。
 それでも侯爵は試みに妻をなじってみせる。
 「アヴィン、そなた、街中に出るなとまでは言わぬが、せめて輿なと車なと使うわけには行かぬのか。女人の身で馬に乗り、人前に姿をさらすなど」
 侯爵妃は笑う。侯爵の舎人たちや取り引き相手の異人たちすらが居並ぶ中で、生き生きとした声をたて、扇で顔を隠すような振る舞いもしない。
 「輿の垂れ衣越しでは民人の生活を見る事もできませぬ、馬の方が性に合うて楽にござりますわ。わたくしは、全てわたくしの自由にしてよいというお約束であなたのもとに参ったのですから、侯爵」



 『れぶノだい王ノ二十五年、騎馬民族 西ヨリ来タリテ れぶ ヲ攻ム。だい王・あぜんノ役戦ニ敗シテ和ヲ請ヒ、正妃ぐおりヲシテ騎馬ノ長ニ嫁ガシム。ソノ子ゆでぃん、マタ姫 あう゛ぃん、二児ナリ。
 あんごる トハ あう゛ぃん・あんごる妃(しゅか) ナリ。れぶノ白キ肌ト騎馬ノ族ノ黒キ髪トヲ持チテ、れぶノよしゅいノ西北、青ガ草ノ原ノ幕舎ニテ生マレタリ。十ノ歳ニ至ルマデヲ彼ノ地ニテ過ゴシ、れぶノだい王ノ三十四年、都ごどむニ来タル。
 ごどむニ侯爵アリ。貴キ血ヲ汲ム者ニシテ富裕ナルずうどりぶるノ領主。武将ノ生マレナガラ異邦ノ輩ト易交シ、巨財ヲ得ル。マタ妖術錬金術ヲモ技トシタト人ニハ語リツガル。
 だい王、宮ニ上ガリタルあう゛ぃんヲ欲ス。あう゛ぃん返言シテ曰ク、
 「吾ハ吾ガ心ノママニ生クルコトヲ欲ス。君、王ハ吾ガ望ミヲカナエルカト。」
 だい王、コレヲ拒否ス。スナハチあう゛ぃん、王ヲシテ退出セシム。
 侯爵、ソノ噂ヲ伝聞シシテあう゛ぃんニ求婚ス。あう゛ぃん再度問フ。侯爵諾シテ即ワチ後宮ノ妻妾ラヲ解キ払イ、あう゛ぃんタダ一人ノミヲ正妃トシテ娶ル。諸侯彼ヲ嘲ス。彼辞セズ。』

           …… レブ史 悲妃伝 ……



処女王アーゴンシュカの父母であると伝えられる2人について、
             実の両親であると思われる

アンティゴンウル
ウィラ=アゴン
イラ
ユリ
アヴィン

 アトランの西南に位置したと思われる大国レグの国史の中に、少女ウィナ …… 後の処女王アーゴンシュカ …… の両親であるとされる2人は上のような形で登場して来る。2人はありとあらゆる因襲を一笑に付して払いのけ、自ら成した巨額の財力を背景に、この時代、この地方に於ては信じられない程の自主独立の姿勢を保っていた らしい 。レブの一臣下の立ち場でありながら、帰順した周辺諸国家の元首並みの扱いを、ダイ王から受けていた、と記録にはある。とまれレブのダイ王の三十七年、ズードリブールの侯爵妃は一女をもうけ、ウィナ・アケイン・アンゴルシュカと名づけられた。(※)


 バシャッ。
 中庭で起った水音は、幼いウィナが泉水の中に飛び込んだのである。熱い夏陽のもとで、芝を敷いた中の石造りの泉はいかにも涼味を誘う。八歳になったばかりの生意気盛りの少女が母の言いつけを破っても再三泳ぎたがるのは、まあ、無理からぬ事であった。
 館(たち)の中で執務中であった父母も窓下で虹をはね散らして遊ぶ楽しそうな様を見てしまっては、我が子の親ゆずりの反骨精神を苦笑する以外手がないのだろう。もとより溺死の危険性を案じての禁止であったのだから、ウィナが魚なみに泳げる程になってしまえば止める理由もないのである。
 ウィナは背中を下に、手先と脚だけを使って深く深く、水面下へともぐって行く。泉水の深さは3m程か、ピタリ、と張りつくような姿勢で30秒も横たわっていればすぐに息が苦しくなって浮上してしまうのだが、それでも少女はそうやって光きらめく空 − 水面をながめるのが好きだった。
 ひとしきり1人で泳ぎ回った後、ウィナは泉の噴き出しの上によじのぼって体をかわかすのが常である。周囲の木立の影では遊び仲間の子供達が女頭領の帰りをながめながら待っているわけなのだが、



(※)アンゴルシュカの娘ウィナの意。当時正式名は成人式の際に贈られた。

   ウィナ様 …… で、ウィラ。
   ウィラ・アーゴンシュカ = アーゴン王のウィナ様。
 
 苦 夏 


サタナクラ  人口10万前後の盆地。
       嗜好品ブナンジュのプランテーションで、
       どれいの街。

カムヤ    自由農民から歌を詠んで詩人になり、
       シュギシャとなる。統(トウ)の者。

オドゥン   密告者。偽ってカムヤに近づく。

カンナキアス 伝説の家統(カトゥ)の創始者。 
   1.

 ひょおっと風が吹きさ泣く。
 サタナクラは奴隷文化の中心をなす土地である。
 朝、遠い地平の日の出とともに銅鑼や鐘の音(ね)が響きわたり、使役される人々の群れは幾百幾千もの列を作って移動をはじめる。

 ……はいよぉー。
 ……ほいぃ……

 長く尾をひく独特のかけ声が順送りに園地へ去って行ったあと、北斜面の掘っ立て小屋に残されるものといえば、にわとりに荒地山羊か。
 光さしそめた広大な盆地はすぐに熱気の鍋となる。
 川はない。
 赤く灼けた世界をわたる風が月日にさらされた帆をまわし、ゆっくり、ゆっくりと、木組みの動輪がわずかばかりの濁水を汲みあげる。
 水運びは子供の仕事だ。
 女は固い黒紫の果実をもいで、ずっしりと、身の丈ほどの籠に積みあげてどこまでも引いてゆく。その、後から、枝をはらい、根を掘りおこして、男たちが来年のための苗木を植えて続く。

 ……仕事は辛くはない。
 生まれてから死ぬまで。
 ひとは園地で年をとる。
 ……けっして辛くはない。

 ひょおぉ……
 今日も、ブナン樹の固い葉だけが揺れるすりばち状の広原を、熱砂と日差しが吹きぬけてゆく。

 赤い風ふくサタナクラ。

 ……そう、ひとは彼の地を呼んだ。



 
   2.

 「くそっ(ヴァル)!」
 あまり上品とは言えない悪罵をつぶやいてカナヤは汗をぬぐった。
 塩気が、とうにすりむけた手のまめにしみて顔をしかめる。
 もとをただせば農奴などではない。

 「歌女、昼餉だよ」


 (※シャーペンと色鉛筆描きのイラストがあるのですが、
   みなさんにお見せできないのが……以下同文……☆ )

 
カナヤ
タニヤ
タミヤ
カムヤ

オドゥン
オ・ドゥン
オウドン
オードン
ドゥオン
オドゥン

☆サタナクラ。奴隷文化の土地。
☆そこに売られてきたタニヤはすこし獣じみた野生の眼をもつ、赤い肌、赤い髪の歌女(ウタヒメ)である。
季節農奴はブナンジュの摘み取りと植え替えに忙しい。   ……読めねーな★(※)
☆各地の奴隷農場では《主義者》の取り締まりが厳しくなっていた。
☆奴隷達の人気を集めるタニヤに、南方の白人の医師、ドゥオニは自ら主義者であると名乗って近付くが、
☆夏至の太陰の奴隷祭の夜、密告者であることが知れて皆になぶり殺しにされた。
☆そして季節の終わり。タニヤは迎えの主義者達と共にサタナクラを去った。

 破滅(ヴァルス)の名を持つ男。

 


 東方の国より旅をして来たうら若き剣士(沖田宗司風≒信吾)と
 仲間たち
 王都に探している者のいる気配を感じて身分をかくして入るが、
 見つかって王の家来にとりたてられる。

 遊女となってはいるが、もうけた金をすべて他人を救うために
 使ってしまう娘。
 税が払えないでしょっぴかれムチうたれる人を見ると
 飛びだしていっては役人にあり金全てを渡してしまう。
 けれどそれではほんのわずかの人しか救えないので
 権力と肩書きが必要になった。

  そこで そこに力の剣士のうわさを聞き、
 また直接話をしたこともあったので


 

 6/12 夢

「この世にはなんの地位も血統もありませぬ。
 でも、わたくしはもう何世代も前から救世主たるべく
 運命づけられ、そのための準備をしているのです。」

「なんですって!! あなたは神の声を聞いたのですか?
 そして…… 生まれる前のことを覚えている!?」

「お信じにならなくてもかまいませぬ。
 でもどうかお願いでございます」

「なんと……それではあなたこそわたしの探していた人なのだ」

「え?」

「わたしも神の声を聞いたのです。そして救世主となるものを
 救けるように言われた。だからわたしははるばる旅をして
 きたのです。」

「おお!! では《東方より来る正義》というのは
 あなたのことでしたか!!
 ありがたい。いまこそ時は来たのです。」




 1991.1.8.

 神の声の記憶を持つ、マーシャタイプの少女。借金の為に身売りをせまられた村仲間に代わって進んで遊里に身を落とすが、決して崩れない。
 ある日、暴れ牛が市に逃げ出して、子供が踏まれそうになるのを突き飛ばして彼女が危うくなった時、弓の一撃で救い出した旅の一行の若者がいた。
 若者は東方より来た皇子であり、その時は一言二言かわしただけで「ご無礼を」すぐ別れる。





 1979.6.12.

 東方の国より旅をして来たうら若き剣士(ヒゲクマさんの沖田総司、もしくは信吾風)と仲間(一応家来)、王都に自分らを探している気配があるのを感じて身分を隠して入るが、見つかって王の家来にとりたてられる。
 遊女となってはいるが、税が払えないでしょっぴかれようとしている人を見ると飛び出して行っては役人にあり金全てを渡してしまう少女。けれどそれではほんのわずかな人々しか救えないので、権力と肩書きが必要になった。
 そこに、かの剣士のうわさを聞き、また直接、話をした事もあったので、ある夜半、単身、彼の館へ潜り込む。
 「この世にはなんの地位も血統もございませぬ。でも、わたくしはもう何世代も前から救世主たるべく運命づけられ、そのための準備をしているのです。」
 「なんですって。あなたは神の声を聞いたのですか? そして、生まれる前の事を覚えている?
 なんと、それではあなたこそ私の探していた人なのだ。」
 「え!?」
 「わたしも神の声を聞いたのです。救世主たるものを助けるように言われた。だからわたしははるばる旅をして来たのです。」
 「おお!! では、《東方より来る正義》というのはあなたの事でしたか。ありがたい。今こそ時は来たのです。」

                    ……完。





 1981.1.8.

 ☆ 一人の宿命を負った少女の、魂の成長記として。
   アトランの純ティカース系の少女にしては《神》が
   出て来るのはおかしい。滅びし、リース神か。





 1981.5.17.

 多分、大地母神の事でしょう。


 

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