「今日は、わたしの方から尋ねたいことがあるのだが、構わないかしら。」
 稚い 領主 主人 あるじからこう切り出された時、(ディゼンドラ)は、その内容について、深く予測することもなく、応諾の返事をしてしまっていた。
 「よかった。何人かに尋いたのだが、だれも話をそらしたがってしまって、満足のいく答えを与えてくれないのだ……ミトラ のことなの について、なのだが。」
 老練な男の表情がさっと揺ぎ、質問者である公子は、やはり、答えてはもらえないのだろうかと、疑念するように第一の家令の顔を遠慮がちにのぞきこんで待っていた。
 ……そこは、王国随一のトゥリアンギアの公領の、公子の居間につづく南面の、中庭のように高い壁によって囲われた、テラスの一画だった。
 


  カァーリア
  ドュードナ
  ジャンナ・モルタス・ナルドール


 

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