【聖白都(ルア・マルライン)国皇朝】
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(美芸皇ミアマスルナ)−−(兄妹)−−(前斎宮マデラガリナ)
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(第七代) | |
危機皇マダガラル−皇太子マリトウィク |聖白都公
=仙女皇セイラ =斎宮マリマイニャ皇女−ミアマテルダー
| | =クルナド王女
皇太子−−−皇女−−−−−皇子 ミアマルーセリナ |
マリシアル マーライシャ マリセトウィト |
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公子−−クルナド国王−−近衛隊長
ヨリスリルト ダリナマルテ デアマリリト
(※赤と青で皇位継承順位が書き込んであるんですけど省略☆)
【西(モルナス)皇朝】
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西朝廷八代皇ボルデア−太子−女−女−女−クンテル残忍公
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妾妃 皇妃 皇后
サルカナ ラフィエラ デーヴァルナ−−ヨードラ太子弟
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皇子 皇子 皇太子クアロス
マデイラ ネイマス
赤字は皇及び女皇が死亡した場合の皇位継承順位、青字は西皇死亡の際のものである。
マルラインでは現皇から数えて5親等、モルナスでは太子から数えて3親等の者までにしか継承権が認められていない事が、かつての大休戦条約の際に定められており、
その他に、
1) マルラインはモルナス皇家の女性に対する継承権認定を
極力控える。
2) モルナスは、原則として女性(マルラインの成員も含む)
の皇位継承権を認めない。
(ただし順延されている両皇家間の婚儀が成立した暁には、
この大原則は全面撤廃のこと……が、マルライン側の絶対
条件。これのおかげで話がまとまらないのである。)
3) 皇位継承者は言うまでもなく大地女神マリアンドリームの
血を濃くうけつぐ者でなければならず、婚姻によって皇家
に入った者にも直接的な継承権は認められない。
(女皇(めのきみ)・男皇(おのきみ)には無論なれる)。
4) モルナス皇位を継ぐ者は皇妃腹以上の者に限り、
またマルライン側に継承者を求める場合、妾腹
(あまり考えられない事だが)でも母親の身分
血統が正しければ嫡子と同等に扱う。
(マルライン側はこの項 承認せず)。
等々、種々雑多な問題が考慮に入れられる。上の例図は大異変の際の諸侯会議後、皇子マリセトウィトの誕生を口実に両皇家間で極秘のうちに更新されたものである。
初代王マルドリスタン
[前生編]
かつてありし四界のうち妹なる大地世界と呼ばれるダレムアス。創始の女神マライアヌの直系である皇家によって平穏に統べられている。が、界境の封印がほころび、兄なる虚洞世界ボルドガスムが襲来するという予言によって平和な日々は崩れ去った。万の単位で数える年月をダレムアトは戦のなんたるかも知らずに暮らしてきたのである。数年の猶予はあると告げる星見の言葉を頼りに、いまは国内をととのえ、迎え撃つべき軍団の編成を急ぐしかなかった。
美しき白の都の皇女マーライシャ。わずか七歳にして彼女は見ず知らずの婚約者を持つ身となった。ながい時のなかで分裂した西の皇家との統合をはかる為とはいえ、本人の選択によらない婚儀は、魂の純潔をおもんじるダレムアトにとっては異例のことである。
大局のためにと、幼いながらも理解して進んで合意したものの…やがて恋をしる齢となり、迷いは苦悩とかわる。禁じられた想いの相手は兄皇子マリシアル。そして彼もまた、血をわけた半身を妹とは思えずにいた。
史録にのこるボルドガスムとの界境通廊は七箇所。しかし今にのこる封印跡を見いだしえたのは六箇所のみだった。及ぶかぎり万全の布陣を用意しながら在りかの判らぬ七箇所めを求めてあせる統皇たち。時日をはやめ、ひそかな出立を余儀なくされた皇女の降嫁。おもいをのこすマーライシャ姫がふりむいた先に、炎上する白の都があった。七箇所めは神の門として知られる皇城の聖域だったのだ。
護衛の制止をふりきり兄の安否を求めて火炎のさなかにとってかえす皇女。愛する妹を守るために皇子は前線を切り抜けるが、深傷を負い、再会を約して部下に皇女を託す。
この日、大地世界の統皇と女皇は崩御。皇女もまた昏き河におち、その命を断った。
[転生編](プロローグ)
*黄泉…冥界の扉*
落命した皇女マーライシャは恋の為に道を誤ったことを深く恥じ、黄泉の扉を守る者に大地世界への帰還を願い出る。転生を司る者はそれは許されぬことと告げる。が、かつて皇女の護衛をつとめた長生族・黒百合が、死を許されざる者としての禁を破り、介入する。
かくて皇女は転生の掟を超えて回帰することとなった。ただし四界のうち弟なる球の地と呼ばれる世界に。
*嵐・一*
有澄夫妻は時ならぬ嵐で山荘に閉じ込められた。流産で子をもつ望みを断たれて以来、神経を病みかけていた冴子夫人は、嵐のなか子供の泣き声が聞こえると飛び出していく。濁流のふちに倒れていたのは傷だらけの少女だった。
マ・リシャと名乗った六歳ほどの少女は日本語がわからず、教育していくうちに記憶を失っているのだと知れた。なにより、鮮やかな緑色の髪の地球人などいる筈がない。
が、冴子には娘が必要だった。染料を受けつけない髪のためにカツラを調え、真里砂と名付ける。少女は慈しまれて育つことになった。
*嵐・二*(六年後)
高すぎる知能指数のゆえに〈センター〉と呼ばれる国家機関に拉致され、軍のための洗脳から逃げ出してきた清峰 鋭、十一歳。追跡の手から護るように突如おこった嵐が深い森のなか少年に道を失わせる。その風に導かれ、荒れる雨水をおさめるように現れた緑の髪の少女、有澄真里砂。邂逅の一瞬、二人は不可思議な存在を聴く。[…球の地の哀しみと、大地の惑いよ。あなたがたはおなじひとつの魂。互いの旅をたすけあいなさい…]と。
緑の髪の少女は[風の空隙]と呼ばれる結界の道を抜け、少年を導いた。
**第一部・記憶の旅**
*体育祭*
やがて十三になる真里砂は六歳以前の記憶を持たない。拾われたので出自も知らない。何不自由なく幸福に育ったが、それでも不思議な予感はあった。この世界は自分の本当の場所ではないという。故に、ゆうべ不意に訪れた黒い女戦士にも違和感は抱かなかった。
「時間がない」と放浪戦士は告げた。もう少しあなたを護りたかったが、追われる立場の自分には、これ以上、掟を曲げてこの世界に関わる力がなくなった…と。
かつてありし四界のうち妹なる大地世界と呼ばれるダレムアス。創始の女神マライアヌの直系である皇家によって平穏に統べられている。が、界境の封印がほころび、兄なる虚洞世界ボルドガスムが襲来するという予言によって平和な日々は崩れ去った。万の単位で数える年月をダレムアトは戦のなんたるかも知らずに暮らしてきたのである。数年の猶予はあると告げる星見の言葉を頼りに、いまは国内をととのえ、迎え撃つべき軍団の編成を急ぐしかなかった。
美しき白の都の皇女マーライシャ。わずか七歳にして彼女は見ず知らずの婚約者を持つ身となった。ながい時のなかで分裂した西の皇家との統合をはかる為とはいえ、本人の選択によらない婚儀は、魂の純潔をおもんじるダレムアトにとっては異例のことである。
大局のためにと、幼いながらも理解して進んで合意したものの…やがて恋をしる齢となり、迷いは苦悩とかわる。禁じられた想いの相手は兄皇子マリシアル。そして彼もまた、血をわけた半身を妹とは思えずにいた。
史録にのこるボルドガスムとの界境通廊は七箇所。しかし今にのこる封印跡を見いだしえたのは六箇所のみだった。及ぶかぎり万全の布陣を用意しながら在りかの判らぬ七箇所めを求めてあせる統皇たち。時日をはやめ、ひそかな出立を余儀なくされた皇女の降嫁。おもいをのこすマーライシャ姫がふりむいた先に、炎上する白の都があった。七箇所めは神の門として知られる皇城の聖域だったのだ。
護衛の制止をふりきり兄の安否を求めて火炎のさなかにとってかえす皇女。愛する妹を守るために皇子は前線を切り抜けるが、深傷を負い、再会を約して部下に皇女を託す。
この日、大地世界の統皇と女皇は崩御。皇女もまた昏き河におち、その命を断った。
[転生編](プロローグ)
*黄泉…冥界の扉*
落命した皇女マーライシャは恋の為に道を誤ったことを深く恥じ、黄泉の扉を守る者に大地世界への帰還を願い出る。転生を司る者はそれは許されぬことと告げる。が、かつて皇女の護衛をつとめた長生族・黒百合が、死を許されざる者としての禁を破り、介入する。
かくて皇女は転生の掟を超えて回帰することとなった。ただし四界のうち弟なる球の地と呼ばれる世界に。
*嵐・一*
有澄夫妻は時ならぬ嵐で山荘に閉じ込められた。流産で子をもつ望みを断たれて以来、神経を病みかけていた冴子夫人は、嵐のなか子供の泣き声が聞こえると飛び出していく。濁流のふちに倒れていたのは傷だらけの少女だった。
マ・リシャと名乗った六歳ほどの少女は日本語がわからず、教育していくうちに記憶を失っているのだと知れた。なにより、鮮やかな緑色の髪の地球人などいる筈がない。
が、冴子には娘が必要だった。染料を受けつけない髪のためにカツラを調え、真里砂と名付ける。少女は慈しまれて育つことになった。
*嵐・二*(六年後)
高すぎる知能指数のゆえに〈センター〉と呼ばれる国家機関に拉致され、軍のための洗脳から逃げ出してきた清峰 鋭、十一歳。追跡の手から護るように突如おこった嵐が深い森のなか少年に道を失わせる。その風に導かれ、荒れる雨水をおさめるように現れた緑の髪の少女、有澄真里砂。邂逅の一瞬、二人は不可思議な存在を聴く。[…球の地の哀しみと、大地の惑いよ。あなたがたはおなじひとつの魂。互いの旅をたすけあいなさい…]と。
緑の髪の少女は[風の空隙]と呼ばれる結界の道を抜け、少年を導いた。
**第一部・記憶の旅**
*体育祭*
やがて十三になる真里砂は六歳以前の記憶を持たない。拾われたので出自も知らない。何不自由なく幸福に育ったが、それでも不思議な予感はあった。この世界は自分の本当の場所ではないという。故に、ゆうべ不意に訪れた黒い女戦士にも違和感は抱かなかった。
「時間がない」と放浪戦士は告げた。もう少しあなたを護りたかったが、追われる立場の自分には、これ以上、掟を曲げてこの世界に関わる力がなくなった…と。