『 (年表) 』 (@高校〜)
2006年11月30日 連載(2周目・最終戦争伝説) コメント (2)(宇宙暦) 公 私
元年 コロニスツ連合成立。 mr.豪田、宗主となる。
1年
2年 高原(楠木)律子、月へ。
リレキス・ジュン、シャンバラへ。
アルヤ・アラム生まれる。
3年
4年
5年
6年 ミネルヴァ・アルバトーレ誕生。
7年
8年
9年
10年 律子病没。アルヤ・アラム(8歳)、
宗主に引き取られる。
11年
12年
13年
14年 アルテミス・セイレア誕生。
15年
16年
17年
18年
19年
20年 アルバトーレ公女デメテル没。
ミネルバ公女(13歳)立つ。
アルヤ・アラム(17歳)、
アルバトーレへ。
21年
22年 マリー・セイレア没。 アルテミス8歳、アルバトーレへ。
アルヤ・アラム、2等監務官となる。
23年 宗女アルテミス(9歳)、
立太子。月の公宮へ。
24年 (“俺と好”第一部。)
(バカどもが過去から
ふっとんで来る。)
皇国スターエア方面軍壊滅。
25年
26年
27年
28年
29年
30年
31年
32年
33年 ミネルバ・アルバトーレ降嫁。
34年
35年
36年
37年
38年
39年
40年
41年
42年
43年
44年
45年
46年
47年
48年
49年
50年
51年
52年
53年
54年
55年
56年
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うちの主要キャラクター(?)のうちでは最長寿の部類ではなかろうか? 惑星・地球の滅亡(文化・文明ではなく“星の”消滅だ★)を見届けているので、少なくとも億単位で、同一の肉体(うつわ)を使って生存していたことになる。その旅の全貌……なんてものは作者にだって謎のままである。はっきり言って知りたいとも思わない★
惑星《地球》、西暦1900年代の終盤の生まれ。正確には人類ではなく、“半神人”に近いが、本人がそれを知るのは成長して後のことだった。
父親は普通?の人類(ひとぞく)である日本人戦場カメラマンの磯原岳人(いそはら・がくと)。内乱中のアフリカ(もしくは中東?)奥地の岩砂漠において乗っていたジープごと地雷を踏んで遭難した彼を、偶然(ではないが)発見し、興味半分で救ってしまった水霊の末娘(アトル・ウルワニ)が、岳人の精神の毅さに魅かれ、水の太霊である母親の意志に背く
磯原岳人は、近隣で活動中だったNGO『国境なき医師団』(たぶん☆)の看護婦であり、白の一族の娘でもあった第5の(ミーニエ)マリセに救われて日本に戻り、後に植民者連合(コロニスツ)世界を中心として歴史に名を残した磯原清らの父親となる(これはまた別の物語である)。
水の末娘は、史上唯一の“水の息子”(アトル・ウルワー)の養育を、父親?の出身地である島国の、山中の清浄な(水が豊富ではあるが海=水の太霊の版図=からは遠い)町に住む人類に託すことにし、水の姉娘たちの密かな協力と加護のもとで、その子供は育つことになった。
人界の用語?で言えば日本の長野(山梨かも)の田舎町のはずれにある、キリスト教会付属の愛護園(孤児院)の玄関先で、生後まもない捨て子として発見され、その雨上がりの朝、町を見おろす南アルプスの峰々があまりにも美しく峻険であったことから、園長によって“清峰 鋭 ”と命名された。質素ではあるが愛情と信仰心に恵まれた穏やかな環境であった。
その当時(西暦2000年代初頭)、日本国における政治?状況は悪化の一途をたどり、いまだ表面化はしていないものの、内部での武力によるクーデター(暗闘)の結果、『センター』と呼ばれる軍事(研究)機関が、多大な権力を握るようになっていた。
彼らは国民の総背番号化による動向の管理や、TVなど電子メディアへの介入(サブリミナル操作等)による思想の統制・方向づけを図ると同時に、優秀な素質を持つ子供を集めて早期教育を施し、次世代戦力の中核にしようという生体実験のプロジェクトを進行させており、その一貫として保育・幼稚園と小学校各学年における知能テストの普及強化が行われた。
清峰鋭は、乳幼児のころから異様に泳ぎが得意で、水難事故にあっても平気で生還するわ、寒中水泳に参加させれば何時間でも喜んで雪の降る海に潜っているわで、周囲の大人は少々肝を冷やすが、それ以外では従順で善良な性格の、おとなしい(無口な?)子供として、むしろ目だたないように振る舞っている。早熟で高い知能と人格とを持っており、小学校低学年にして大人の新聞を平気で読みこなし、園長名義で図書館から専門書を借りてきて読みあさるなどの芸当も、誰に教えられた訳でもなく弁えていた。
が、どうやらこれも謎の人物で、政治?の暗黒部分?の情報を、ある程度もっていたと覚しい園長の忠告に従って、その発達した知性を外部には漏らさないよう、注意して行動する習慣を身につけていた。学校のふだんのテストはもちろん、『センター』による統一知能テストでも、“やや利口”以上の点をたたき出すことがないよう、計算して解答していたフシがある。
しかし近所のマニアックな理工系の大学生と、ついうっかり“対等な”友人づきあいをしてしまった結果、口コミでその存在が『センター』に知られてしまい、『早期教育プログラム』の対象者として育った町から引き離されることになった。逆らえば園長の地位に圧力がかかり、つまり愛護園のほかの子供たちが行き場を失う事になるという脅しを受けて、やむなく『同意書』にサインを取られ、泣き伏す園長に簡単な別れを告げただけで、鋭は『センター』さしまわしの護送?車に乗せられた。彼本人の感覚から言えば、この時が、すべての“旅”の始まりとなっている。
これに間一髪で間に合わず、地団駄を踏んだのが『朝日ヶ森』の行動部隊である小学部の子供たちである。清峰鋭の天与の才については、『朝日ヶ森』関係者?である園長から早いうちに報告?がなされていたが、息子同然に愛情を注いでいた園長が、できれば手元に置きたいと望み、本人もそれに同意していた為、『朝日ヶ森』への編入は中等部以降という話になっていた(らしい)。が、『センター』の調査が身辺に及んでいると察知した『朝日ヶ森』が、しばらく迷った後に迎えの部隊を出した、その一足違いで、身柄を拘束(ほとんど誘拐)されてしまった訳である。
この迎えの部隊の謎の行動にひかれて救出作戦に同行したのが、清峰 鋭 に淡い初恋?を抱いていた同級生(小学4年生)で、当時は事故で両親を失ったショックにより言葉を失くし(全完黙症?)ていた楠木律子である。彼女には、その両親にからんだ別の物語において精霊族の不思議との関わりがあり、その血筋と才を見いだされて、救出作戦の後、『朝日ヶ森』に編入の運びとなった。後の『朝日ヶ森』第?代理事長である楠木女史その人であり、清峰 鋭 の息子(アトゥルヤー・アイラーヤム)を産んだ高原律子(たかはら・りつこ)を『朝日ヶ森』大使?として大地世界(ダィレムアス)に送り込んだ、実の祖母であり養い親でもある。
鋭は『センター』の北海道支部?へ護送の途中で、同じ車に乗り合わせた『朝日ヶ森』からの少年スパイ?、燎野(リョーノ)と知り合う。実験体として『センター』に捕らえられた精霊族の血をひく友人、ティシール・ティシーリアを救出する為に無謀とも思える『センター』侵入を敢行した彼は、ティシールとの再会を果たした後、脱出に失敗して二人ともに落命した。
この時、『センター』側の実験体として合成されながら、長じて実権を握る(少なくとも権力闘争で互角に渡り合う)までに成長していた少女(コードネームは無津城(NATSUKI))が、同年代の唯一の知り合いで、あるいは恋心が芽生えていたのかもしれない燎野の逃亡を助ける為に『センター』を裏切る行動をとり、絶命させられた。
彼女の生体脳を取り出して機械脳にリンクさせたものが後々『センター』の中枢頭脳としての役割を果たすが、ナツキの亡霊?の意志によって、キーワード『リョーノ』を知るものなら誰でも最優先で命令を下す事ができるという裏プログラムが付与された。
(このプログラムによって杉谷好一・当時13〜4歳?が会田正行に命を救われてしまい、結果として23世紀の地球文明の命運を分ける事になった。また、このパスワードを知る者が21世紀半ばで全滅?していた為、忘れられたまま消されることもなく存続しており、23世紀に入って再び杉谷に活用されている)。
この時の騒動に乗じて清峰 鋭 は『センター』からの自力脱出に成功したため、結果として楠木律子と同行していた『朝日ヶ森』救出部隊とは行き違う。
北海道は帯広南部?の川から下って海をわたり本州の北部まで?、ほとんど泳いで!(ほんとーか〜っっ!?)、逃避行を続けた彼は、さすがに体力?の限界を極めて行き倒れ寸前のところ、別の目的で山中を移動していた『朝日ヶ森』の有澄真里砂(ありずみ・まりさ)(大地世界(ダレムアス)での名称は皇女マーライシャ)らのグループに拾われ、何とか無事に『朝日ヶ森』へと辿り着いた。
そこで半年ほど休養を兼ねて学生として暮らした後、文系?である『朝日ヶ森』の姉妹校で、スイス?にある理工系の『アロウ・スクール(仮称)』へ転校(国外逃亡)するのが本人の希望であったが、直通の密航船が来るより早く、皇女であるマーライシャの迎えの魔法?に巻き込まれて大地世界へ抜けてしまった。この時、地球年齢で11歳ぐらいであった。
地球時間で約150年(設定未決★)にわたった、大地世界における彼の行動の詳細については、『大地世界物語・皇女戦記編』を参照されたい。
個人的な物語としては、大地世界で皇女の冒険にまきこまれ、行動を共にするうちに、マーライシャへの初恋を自覚するが、同時に、後に皇女の夫となった 翼 雄輝(つばさ・ゆうき)がいる限り失恋確定だという事実を認識し、かといって打ち消せるような半端な感情では有り得ず、その矛盾から逃れるまでは思考・行動ともに相当ヒネクレまくっていた。
早くから球の地(ティカーセラス)系勢力によって英雄として祭り上げられた雄輝(マ・ディアロ)に比べ、皇女の従者または医師としての立場しか認められずにいた自分への引け目もあったと思われる。
皇女の遍歴の半ば、大地の背骨山脈(ミアテイネア)の真奥・神都“始源平野”(マドリアウィ)への訪問に同行した際、かの地の火口で永遠の眠りについていた半神女マリステアと交感し、同じ半神人としての出自を初めて示唆されるが、「それはまた別の物語」として、詳しいことは語られない。
苦しみや疑問や、すべての謎に問いかけ続ける毅さを自ら望むのであれば、永遠無窮の旅をするがよい……と、半神女マリステアは自らが放棄した“神”としての寿命(の一部?)を彼に分け与えた。
(大地世界の伝承においては“不老長寿の秘薬”として語られているが、これはあくまでも現象界における象徴(イメージ)であり、物語の小道具に過ぎない)。
また、この事実は彼が大地世界で活躍していた当時は一般には伏せられていた。何とならば、この事によって大地世界そのものに割譲される筈だった“命数”が大幅に減ったからである。
その後、皇女が陣容を整えるに従って、懐刀である清峰(ジュンナール)の声望も必然的に上がり、また地球文明では基礎中の基礎である簡単な物理学(滑車やテコの原理)などを大地民にも解りやすい形で応用する機会が重なって、“知神ヨーリャの再来”として水神(ヨーリャ)学派(信徒)を束ねる存在になる。
が、地球からの諸勢力が大地世界への侵攻を開始し、大地・洞地・球地みつどもえの乱戦に突入すると同時に、立場は不安定なものとなった。
早くから大地世界への帰化を宣言していた雄輝に比べ、彼はいずれ地球に帰るものと自分でも思っており、長く離れていた地球での政情の変化などについて、大地世界でもっとも苦にしていたのは彼でもあった。
友人の苦悩を救う意図もあり、同時に政治的な必要性もあって、界間の通廊をその監視下におく月女神レリナルの協力を仰いだ皇女が、地球世界との架け橋として呼び寄せたのが、『朝日ヶ森』の当時の理事長を務めていた楠木律子の
彼女の経験については皇女戦記中に一章を設けて語られている。彼女にとっては出逢った当初は遥かに年上に感じられた清峰 鋭 は、命の恩人でもあり、憧れのヒーローでもあった。
その他、実は彼に心酔していた人物は相当数いた筈だと思われるが、当の本人はその美貌を自覚するというよりは、いまだ自分の女顔に対するコンプレックスを引きずっており、皇女以外には恋愛感情を抱けなかった(と言うより、日々に失恋し続けていた)せいもあり、いたって無頓着なボクネンジンだった。
一方で、地球圏からの侵略軍基地に潜入した際、大地世界には存在し得なかった悪しき?風習である同性愛?者によって強姦されちゃったりという経験もしている★ その後は少しは自分に対する認識が変わったようで……★
長きにわたった3界の乱戦時代が終わり、月女神によって界狭間の結界が閉じられる事になった際、皇女と雄輝との戴冠・婚姻を待たずに、清峰 鋭 と高原律子とは本来の所属世界へと帰還した。
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第三次世界大戦が無し崩しに終結せざるを得なかった“大天災”後の混乱時代、なかば鎖国と化した日本国で、なおかつ健闘を続ける『朝日ヶ森』勢力のもとに、帰界した2人はいったん身を寄せた。西暦2100年代終盤。清峰 鋭 にしてみれば記憶にある地球界から100年以上の後、律子にしてみても知己の人間がすべて老齢と化した時代である。
が、『朝日ヶ森』の体質がその程度で変わっている訳では全然なく、使える人材はすべて活用されまくる宿命で、帰国後早々に2人は月面都市へと出向?させられた(この辺の動向は不明確)。そこでしばらくの新婚生活?を営むが、律子が妊娠を告げる間もなく、地球の“水”の危機を抑えるべく、清峰 鋭 は慌ただしく母星へ戻って行った。
(このへんの時間軸が計算すると少しヘンである。いま気がついたが、“息子”だと思っていたアルヤさんは、水の息子の娘(アトル・ウルワー・ウルワニ)の子、つまり“孫”かも知れない★)
地上では生命の母である水の太霊が、ヒト族もろともに全てを滅ぼそうと最後の崩壊?の準備にかかっていた。惑星上のすべての精霊族がまきこまれて悲鳴をあげる中、自らの出自をようやく悟った清峰 鋭 は、母?である水霊の末娘とともに海中?に赴き、水の太母を説得し、なだめる役割を果たす。これによって太母は長い悲嘆を清算するために帰天し、末娘が次代の水霊の束ねとなるが、荒れきった海の苦悩?をおさめる為に力を使い果たして、海底深く眠りにつくことになった。この後、ほとんどの精霊族は休眠?し、ヒト族の命運を遠くから監視or見放す?立場となった。
この経験の後しばらくして、長寿であり容姿がまったく変わらない清峰 鋭 は、『朝日ヶ森』の一部にのみ事情を打ち明けて、知己のいない地中海地方に拠点を移した。
『朝日ヶ森』の姉妹校である旧スイス領(この次代、EUなんかとっくに消滅し、延々と広がる西欧文明の廃虚の間に、わずかに国家or行政機構と呼べるシロモノが3群ばかりほそぼそと機能しているだけである)にしぶとく生き残っていたアロウ・スクールを指令塔として、生き残った人類の救援活動や、頻発していた略奪行為の鎮圧などの部隊に参加していた。
欧亜混血風に見られる外見のおかげで、『朝日ヶ森』での周囲の評価は“大人になりかけの天才少年”、だったのが、白人だらけの間では完全に“少年兵”扱いとなり、その環境に甘えが出たのか、本人の性格にもだいぶ変化が生じた。汚れきって死に果てた海を目にしては泣き、海が見えない地域に行けば海が恋しいといってはまたメソメソしている奇妙な“少年”を気にかけた隊長達からたいそう可愛がられ、生まれて初めて他人に甘えるという状況を味わった。
(……この頃、月面では律子が一人で赤ん坊を育てつつキャリアウーマンしている……★)
やがて、歳をとらない容貌を簡単な変装ていどでごまかし続けるのも無理が出て、名前と髪や瞳の色を変えて「清峰 鋭 のイトコ」とか、適当にでっち上げて再び『朝日ヶ森』の管轄である太平洋地域へ戻って行った。
『朝日ヶ森』コネクションに月面から人探しの目的で派遣されてきたチーム(隊長?の名前は杉谷好一だ★)の案内人として、ユーラシア大陸の地表横断という無謀な旅に参加する。道中、地表の汚染度や汚染物質・汚染細菌の種類などを測定するという、監視衛星からでは収集できないデータを拾って来いという危険な任務つき。「不老長寿なだけで、不老不死ではないぞー」とボヤキつつ、けっこう気軽に指令を受けたのは、一人で長生きしなければならない事実に、早くも少し厭き初めていたのかも知れない。
ところがギッチョン、事実は小説より奇なり?で、名前しか知らなかった実の父?の、実の息子(つまりは異母?弟)である磯原清と、双方ともに生まれた時代からは200年ばかりの時差を経て出逢い、お友達してしまう。退屈してる暇なんかないなぁ!という現実?を実感し、その後、また少し性格が変わってしまった★
(つまりはノーテンキ?になった……単に清クンのが染っただけか?)
異母弟の方はその事実を最後まで、たぶん知らなかったし、鋭の方でも最初しばらくは気づかなかったのだが、さすがに血は水よりも濃いとゆうのか(血の中に“水”の気配が濃いもの同士だったと言うべきか?)、出逢った当初より意気投合?して違和感なくつきあっていた。
同時代の歌(20世紀末期に流行って?いた歌を、清クンは母親から、鋭は孤児院の園長先生から習い覚えていて、レパートリーが一致していた……環境だのボランティアだのやっている人間同士の音楽の趣味は、かなりの範囲で重なっている)を二人で合唱して周囲に聴かせるという共通の趣味を開発して、ユミちゃんと3人でバンドの真似ごとなどして、荒野のキャラバン御一行サマの、目と耳の保養になっていた。(清やユミちゃんと仲が良くなりすぎた結果、杉谷氏の秘かな不興を買っていた事は、言うまでもない★ ……ゆかり姫やひろと変輩などとは、普通につきあっていた)。
ユーラシア横断から北米大陸まで渡り、南米経由でスターエア島に戻って月面に帰還した、会田正行おっかけツアー珍道中?の話は、もちろんの事、また別の長い物語である★
磯原清が旅の途中で偶然拾い、『朝日ヶ森』に預けてすぐに出発してしまったおかげで、養父?になるべきだった清峰 鋭 が、長らくその存在を知らずにいた赤ん坊の成長の物語が、設定上の矛盾で今ちょっと宙に浮いている★ 結論から言えば彼は大地世界の最後の皇子で、つまりマーライシャと雄輝の孫に当たる……?
その後のダレムアスはと言えば、界境を閉じて乱れた世の復興を図ったはいいが、世界に等分されるはずだった半神女マリステアの命数が清峰 鋭 個人に譲渡されてしまった為に生命の寿命(世代交代期間)が大戦前の10分の1程度に縮まってしまっている事実が、女皇マーライシャの治世の半ばに判明し、かつ、3界乱戦の際に次元階梯をさんざん乱されたせいで亜空間としての存在力も弱り、時場も狂い初めたために地球世界との経時差も発生し……で、一足早く崩壊した洞地世界に次いで、世界としての滅びの時を、今まさに迎えんとしていた。
(下線の用語の定義?については、そのうち『星圏史略』で書く★)
生き残った大地の生命たちを救済する手段を求めて、かつて知神ヨーリャの再来と呼ばれた英雄を探しだそうとして、マーライシャ女皇が晩年(かなりの高齢出産★)になって夫・雄輝との間に産んだ双子の皇子・皇女が、異界への無謀な旅に出て行方不明になった。
その双子が遥かな異界を点々とするうちに結ばれて生まれたのが(なんか竹宮恵子が似た話を描いたが、アレより古くからあった設定だ★)、あの赤ん坊……だった筈……なんだが……あれ? れ?
七福神財団(※当時の実質的な“日本国”。)
ここで清峰 鋭の案内人?としての任務は終了し、収集した汚染データを持って清たち一行とは別れる。
ちなみにアロウ校にはヤニさん(お懐かしや……)の一人息子(ダンナは戦死)も預けられていて、当時12歳ぐらい。
その後、どこでどうしていたのか詳細は不明だが、おそらくは、またしばらく欧州でウロウロ?した後、南米経由でスターエア島に渡り、月面世界にひょっこり顔を出し、会田先輩の奪還後、一度21世紀に戻ってから再び未来社会に移住?して来て社会的地位?を築きつつあった清たちと再会する。
ついでにアルヤさんと初対面。(仕事がら、役職と通称ぐらいは当然知っていたが)、正式名称“水の息子の縁者”(アトゥルヤー・アィラーヤム)で名乗られて愕然とし、自分に息子(もしくは孫?)がいたという事実と、律子が若く(外見上は38歳ぐらい)して死んでしまっていることを知って、さすがにしばらく頭が混乱していた……が、せいぜい3日でキッチリ復活し、“アルヤさんで遊ぶ”という新しい趣味を開発してしまった……。
『朝日ヶ森』と植民者連合(コロニスツ)を結ぶ非公式の外交官(ほとんど全権大使)的役割を、亡き律子に代わって果たす一方で、謎の情報源(大地世界で得たエルシャムリア文明についての知識)を持つ天才科学者(笑)として、政治面での業務で多忙を極めていたアルヤさんの肩代わりも兼ねて、月面遺跡(エルシャムリアそのものか、もしくは上古文明の遺構の一部)の発掘・分析に携わる。
そこへ、例の大地世界最後の皇子?が何らかの手段(どうも戦士・黒百合という、皇女マーライシャに縁のあった別の不死人の助力らしい)で彼を探しあてて訪ねてき、助力を請われて一時的(ただし月面遺跡の移動装置を使ったので、当該《単還流》(タペナ)における時間軸との相関性はちょっと不明★)に、大地世界のその後を訪れ、月面遺跡で仕入れた超(笑)技術を駆使して、生き残りの大地民を移住させるための“船”、『精霊族からの贈り物』(フェア・リスティラーヤ)を幾つか建造して移民の出発を見送った。
(この中の一隻で、先祖返りしてエルシャムリアの翼人の外見に近くなっていた飛仙の子孫たちを乗せていたやつが、航宙?中に時標を踏み誤ってしまい、数千年あるいは万年単位で時間流を遡ってから辿り着いたのが、後に“我らが美わしの天地”(リ・イス・スタル・アールラーナ)文明の母星(リスタルラーナ)と呼ばれることになる惑星である★)
そのゴタゴタから戻って息つく暇(本人の主観時間で)もないうちに今度は、地球文明が完全に滅びるのを見て人類が虚脱状態に陥ってしまう前に恒星間移民をしてしまおうという“白の一族”(アルバトーレ)
おかげで、移民反対派の筆頭である杉谷好一氏に何度も刺客はプレゼントされちゃうわ、結局、設計者の責任をとって一隻に乗り込んで地球圏を後にするハメになるわで、うっかり父性愛?に流されるとロクな事にはならないという教訓を体験した……。
こちらは海路の日和?を得て、なんら事故ることなく数百年?ほどのコールドスリープをを経て、すでに文化の発展と崩壊とそこから復活した勢いを駆っての恒星間文明の繁栄を極めた後の、精神的な衰退期に入りつつあったリスタルラーナ文明圏の、端っこに到着した。
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鋭ほか『朝日ヶ森』およびアロウ系の数名が、お得意の隠密行動で情報を収集した結果、遺伝子や文化・文明・言語のパターンに、かなりというよりは必然以上の一致点を発見しまくった結果
この時、無用な摩擦を避ける為に、一般市民に対しては本人たちにも記憶操作を施して、それが事実だと思いこませたので、その後の数百年を経て正式に地球文明圏との国交樹立を巡る問題が政治上の重要な争点となった頃には、実は自分の曾祖父(ひいじいさん)は地球人で……なんて事を知っている人間は一人もいなかった。
が、血筋はやっぱり争えないのか、美天地人(リスタルラーノ)にしては喧嘩っぱやいと言うか感情的で、理屈ぬきの勘と行動力を備えている親テラズ派の連中は、たいがい地球系の遺伝子を多めに持っている……★
居所と名前と経歴を点々と変えつつ、地球系移民のその後の生活をさりげなくフォローしてやりつつサンタクロースな気分ではあるがけっこう孤独をかこっていた清峰 鋭 は、地球圏との国交樹立を裏から密かに支援はしていたが、原則として政治向きの事には手も顔も出さないように気をつけていた。
が、サキ・ランという有名人が“芸術系の交換留学生”として活躍しはじめ、地球圏の最終戦争伝説についての再現映画を撮影する……とかいう企画を耳にするに及んで自制心を蹴り飛ばし、
そのついでに、サキたちの副業?やら何やらにも巻き込まれ、政治的暗殺未遂事件(ソレル女史が殺されかけた騒ぎ)だの、麻薬密輸団取締事件(『黄金指輪の物語』)だの、両文明圏における気波技術者(エスパッショノン)の社会的立場の確立運動などにも、期せずして一役買っている。
対アンガヴァス戦役と続くジースト革命、国交の樹立と安定を経て、エスパッション・スクールの創立後、以後の運営には心配なしと見たサキ及びレイが、リステラス特務部隊員として深宇宙探査の船に乗り込んだ時には、コネを使ってちゃっかり同行している。
対《邪魔》(ジャマー)戦でサキやレイなど数名が落命した際に一緒に行方不明になり「生存は絶望」と記録には残されているが、実はこの時、サキら気派技術者(エスパッショニスト)とのみ接触をとり、共に作戦行動をとっていた“遍在文明”(オーヴァー・ビーイング)からの“ガス漏れ修理員”(もしくは水道管破損箇所点検人とか……そういうニュアンス★)たちに拾ってもらって、上級文明圏に遊びに行ったのだった。
そこで多脳人類だの無移動存在だの無形遍在だのという、よく判らない連中とお友達になりかけるが、やっぱり途中で退屈?してしまい「次元落ち」して、タコだのアメーバ型だのいわゆる“普通の異星人”文明をあっちこっち漫遊?した後、結局ホームシックになって、その当時“リズヴェッサ(遺伝子管理機構)体制”を名乗って破竹の勢いしていたリステラス星圏に帰還した。
この頃になると、数万年・数十万年を旅に生きているヘンな存在も自分だけではないと判り、期せずして幾度も再会してしまう顔見知り?や、転生しても覚えていてくれる友人?も増えて開き直っているので、もはや通常の“人類”とは言い難いメンタリティ……に、なりそうでなっていないのが、この人の不思議なトコロ。
幾つかの短い旅を経て、未開惑星の神聖王として奉り上げられたりしていたらしいが、かつて皇女マーライシャであった転生体の少女の養育を任された経験(誰にかと言えば、多分またぞろ、戦士・黒百合のおねーさまだろう……この人もほんとに長生き★)を経て、自らの旅の終わりが近づきつつある事を知る。
永遠不変のように思われていたリズヴェッサ体制が、一部指導者層の辺境星域への理由なき?亡命という裏切り行為によって内部から崩壊した後、銀河系の混迷と衰退のながい黄昏の時代の中で、かつて《地球》と呼ばれていた小さな惑星が、素朴な農業王国として再建され、そしてまたその支配者や所有企業が転々と変わり、戦乱と政争に巻き込まれ、恒星の寿命が短化されて不毛な岩漠惑星となった。
恒星の爆発と超新星化によって惑星群が消滅するまでのカウントダウンが始められた頃、すでに通常の人類ならば生存不可能な状態と化している地表に個人用宇宙艇で降り立った清峰 鋭 は、そこでやはり地球と命運を共にするべく……と言うよりは、彼ならおそらくそうするだろうので、そこで待っていれば同行できるだろう……という推測と期待に基づいて降下してきた、かつての妻・律子の転生記憶をもつ少女と再会を果たした。
その地表に停泊させた宇宙艇の中での静かで穏やかな共同生活の間、清峰 鋭 と、かつて律子であり幾度かの転生記憶を持つ少女は、互いの記憶や知識を突き合わせつつ、知る限りの喧々と史実とをたわむれに書き留め、書き残すことにした。超新星の爆発に呑まれてなお、その記録が誰かの手に渡る事がもしあるならば、それもまた宇宙の“波”の一つであろうという事で……
いよいよの爆発が予告されたその日、惑星の死に立ち会うために訪れた地球にゆかりのある他の長寿人たちとは通信で別れを交わし、結局、彼らからの要望に従って書き残した史料を譲り渡した後に、二人は泰然として静かな眠りに就いた。
小型宇宙艇に備えつけの普及型生命維持カプセルが、超新星の爆発に呑まれた惑星の上において、その目的とする機能を果たし得るかは、はなはだ疑問である。そうではあるが、なおかつ、この特殊な歴史を歩んだ惑星の上で育まれた様々な想念や、その結晶化し特化した存在である精霊たちの残党が、二人の肉体(うつわ)をそのままの形で護ったのではないか……と、書き残された史料を解読・研究しようとする愛読者の中からは、一種の信仰とも呼べる仮説(伝説?)が生まれ、宝探しにも似た感覚でカプセルを探索する者がその後しばらくの時代にわたって散発していた。
また、人間の魂(記憶?)の中に転生・再生するものもあるという実証に基づき、彼らのその後の生命形態を予測・捜索する懸賞金のプロジェクトなども一部マニアックの間で続けられていた。
……そして星々はめぐり、歴史は流転する……
(うぁー、なんつー長い話だっ★)
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