『 (無題/下書き) 1 』 (@中学?の夢ノート)
2006年11月5日 連載(2周目・最終戦争伝説) コメント (1)彼は写真屋だった。火事場や被災地、戦場かせぎをよくやった。
それは金をもうける為で、もうけた金で彼は秘境や奥地の少数民族を追い、時折故郷に戻ると思い出したように個展を開いた。
その日、彼は砂漠地帯の国境
「わたしを呼びましたか
顔を上げると 青く白くぼわっとして透き通ったものが目の前にあった。その色が何に似ているかと云えば すりガラス越しに見た誘蛾灯の光
彼にはそれが何だかわからなかった。
「
「ヒトは水と火と風と土からできている。今おまえの体からはおまえの中の火のおかげで水がなくなりつつある。
おまえが言っているのは今ここで4つのものに還元することが何らかの理由で不都合だということですか。
「
「わたしは“みず”ですが おまえのいう水とは異ります。ヒト族のコトバでは水の精霊
『 (無題/下書き) 2 』 (@中学?の夢ノート)
2006年11月5日 連載(2周目・最終戦争伝説)彼は黙ったまま見つめていたが、やがて吸い寄せられるように抱きしめると唇を重ねた。水精は抗いはしなかった。ただ その淡い色の瞳の奥に光の渚をゆらめかせていて、彼がそっと離すと、たん、と
後に飛びさがった。周囲で光の輪が めくるめくばかりに きらめいていた。
「なんですか? 今、わたしには あなたの心 が うまく解析できなかった。ハハがわたしたちに寄せる波に少し似ている気もしますが、もっと異質で、入り組んでいます。
興味深いことですね!
前にはあなたの心には、そんな熱くて制御のきかない感情は感じられませんでした。人間の感情というものは際限なく ふくらんでゆくものなのですか?
教えて下さい。あなたがたは それを何と呼んで いるのです?」
彼に答えられる筈もなかった。どうして口に出して云うことなどできるだろう。だが今は、水精の言葉の調子にもまるきり無邪気とは言い切れないところが あるようだった。
驚き
もしも彼女の好奇心というものが それほど強くなかったならば、困惑の表情さえ見ることができたのではないか?
だが全ては彼の勝手な幻想にすぎないのかも知れない。
成長につれ 精たちは“性格”が はっきりしてくると水精は云った。
荒々しい性格になる者が確かにいるのなら、優しさや弱さといったものを理解するようになることだってありえるかも知れない。
彼は待つことにはなれていた。
なにかに魅かれ追われるように国を出た。
幸い、メシのたねだけは確保してある。
写真だ。
戦場を撮り、クーデターを撮り、飢餓を撮り、たましいと獣たちを撮り
みずから硬質ガラスの一個の
日本には彼のいるべき場所はなかったようなのだ。なにか
運命と、ひとはそれを呼んだのかもしれない。彼は、どんなところでも、風と水からことばを得ることができた。
♪ 最期の一滴 あるいて二滴
飲まずにゆくならみち教よう
ひとにやるなら
たんと飲まそ。 ♪
「変わった歌だ」
カサカサに乾いた男は意識の奥でつぶやいた。
北へ還る、南へ往く。
むかしびと。
婚姻によって生まれいでた一族。
すこしはおさまろうよ。
救けたろうものを。
すっかり疲れてしまったよ。
雨はならぬ。真人(マヒト)の末裔(すえ)らが病(やまい)する。
わき水のめぐみをな……
水の地 (アトル・アン)
>水の地の王国(アトル・アン・ティス) > 海中島(アタラン)。
……時代を追って隆起・乾燥。
地の水(アナトル)……池・川・泉の水など、
子らを思いやる水母の命により
交替で陸にのぼる“娘(ウルワニ)”らの
職番。
水命宮。