これを読んでくださるもう大人になってしまった方々へ
            童心にかえって読んで下さい。
これを読んでくださるまだ大人に、なっていない方々へ
            わからないところはじぶんでじしょをひいてね

 
P1.
 
序.
 
 その昔、皇女(おうじょ)マーライシャがまだ幼なく、現実よりも、ふわふわとした突拍子もない夢の中に暮らしている方が多かった頃、父皇(ちちおう)の片腕たる、がんこ頭の『曲(まが)り赤松』・トーザン卿にこんな質問をうけた事があるといいます。
「皇女(ひめ)さまが大きくなられたら、一体何になるおつもりなのですかな」
それというのも、マーライシャには、地球式に数えたなら六つ違いの兄上、マリシアル皇子がいて、彼が皇位につくことになっていたし、勝気な皇女(おうじょ)のこと、普通の皇女(ひめみこ)や王女(おおきみ)が望み夢見るような少女らしい憧れは持たぬだろうと、トーザン卿は思ったのです。
少々からかいをこめたこの質問を、幼ない皇女は真顔でうけて、さらりと、こう言ってのけました。
「わたしは、大人になったら男の子になって、兄上の右腕として戦さにでます。」
皇女は決して俗に男女と呼ばれる類(たぐい)の乱暴な少女ではなかったのですけれど、この時からすでに『男の子』になって少年たちと駆け回ることを夢見ていたのだそうです。
 
 はっはっは、と、皇(おう)の愉快そうな笑い声が、南に張り出した一段高い庭の、低い石垣の上から聞こえてきました。
そうかそうか。このあいだまでは戦(いく)さ乙女(おとめ)になるとか言うていたのに、ついにそんな事を言いだしたのか。……しかし、大人になったら男の子とは……はははは。さすがはわたしの娘だけある。」
「笑いごとではございませんぞ、皇(おう)よ。実際、皇女(ひめ)のお転婆(てんば)は少し度が過ぎます。」
「良いではありませんか。あの子はわたくしの血を受けて身が軽いのですもの、少々高い木や塔の上に登っても、危険なことはないでしょう。」
「しかし女皇(めのきみ)、マーライシャ様は年も満たぬうちから馬や弓のみならず剣の稽古(けいこ)まで始めているのですぞ。」
女皇(めのきみ)、とは、もちろん皇女の母フエヌイリ姫のことです。
 
 
P2.
 
姫にはトーザン卿の苦い顔した様子(さま)がおかしいらしく、五月の森と歌われた美しい緑色の髪をふるわせて、あきらかに人間のそれとは異なった、泉の湧くような澄んだ笑い声をたてました。
その立ち姿の麗(うるわ)しさといったら笑んだ口もとの指先から銀の光が飛びちるようです。
「知っておりますとも。なんといってもわたくしがそれを許したのですから。
そろそろわたくしたち精霊の天翔(あまか)ける技(わざ)を教えてみようと思うのですけれど。」
「本当!? お母さま!」
いきなり頭上からはずんだ声が降(ふ)ってきて、屋根の上で立ち聞きしていたマーライシャは、礼儀をわきまえぬ行(おこな)いをたっぷりと叱られて、それでも次の誕生式から『お空の歩き方』を教えてもらえることになりました。
「叔父さまみたいに最果(さいは)ての月立(つきたち)の国までも飛べるようになるかしら? いいえ、わたしはうんとたくさん練習して、お月さままでだって飛べるようになるの。」
「それではおみやげにうさぎ人(びと)のおもちをとってきてもらえますかな?」
「ええいいわ、トーザン卿。……でも、うさぎ人(びと)はすぐにおもちをくれるかしら? なにかかわりにあげるものを持ってゆかなければだめかしら。」
皇と女王は目を見かわして微笑(ほほえ)みました。
かわいい二人の宝。
彼ら流の数え方でやっと18年目、幼児期の終りにさしかかろうかという皇女に、月(レリナル)とこの大地の国(ダレムアス)の間にひろがる距離がわかるはずもなく、無邪気に行けると信じるその愛らしさは、国と国とのもめごとや国民の幸福といったものによる心の痛みや疲れを、すぐにいやしてくれるのでした。

 けれども、フエヌイリ女皇と皇女との約束は遂に果たされませんでした。
ちょうどマーライシャの誕生式に前後して始まったあの『異変』が、皇と女皇から平和な団欒(だんらん)の時間をうばってしまったのです。
大地に住む人々(ダレムアト)にとって最も大切な母なる大地は小刻(こきざ)みに震え続け、

P3.

青天(せいてん)には霹靂(へきれき)が、獣たち家畜たちには恐怖が訪ずれました。
ダレムアス全土の国々を統べる、女神の子孫たる皇には休むいとまもなく、ただちにダレムアス中の力有る者たちに招集をかけました。
かの血なま臭い戦国時代より、皇家五代の長きに渡って封じられていた、ルア・マルラインの『会議の間』の扉が遂に開かれることになってしまったのです。
 けれどマーライシャにとってそれが意味するところは難しすぎて、幾度となく裂ける天を恐ろしく思い、聞きかじった父皇たちの話から何事かがおころうとしていることを感じとりはしましたが、それでも何よりも悲しく思ったのは、母フエヌイリ女皇がいなくなったことでした。
アイデルフ皇と結ばれてルア・マルラインで暮らすようになってからも、精霊の一族(エルフエン)としての彼女の魔力の強さは変わらず、

 
 
「 Martia [Marlitia]」なるタイトルで、「K子姉・筆」と私が注釈を入れている、シャーペン描きに色鉛筆塗りの、稚拙なイラストあり。

 ……この頃すでに1歳半上の姉よりも私の画力のほうが上達してしまい、それがバレたら虐待を受けるのは明白だったので……、
 必死で姉の目から自分の画帳を隠していたために、まだ自分のほうが「絵が巧い」と思い上がっていた姉が、勝手にエラソウに「イラスト、描いてやったぞ!」と、ひとのノートにラクガキしやがったのでした……………………o( ̄^ ̄;)o”

 コドモ心に傷ついた。なんで私は「虐待(暴力)」を怖れるあまり、自分の描きたい絵を堂々と描いて、誰かに見せて誉めて貰いたい、という成長途上の子どもとして当然の欲求を、満たすことが出来なかったんでしょうか………………。

(※ で、そのすぐ後に結局、実力全開で描いていた漫画の練習帳を姉に目撃されてしまい……………………「ふぅぅぅぅ〜ん………………★」と、ものすごい目で睨まれて……………………

 今に至るまで続く、実姉による暴力支配(虐待or家庭内暴力)の日々が、始まってしまったのでした……………… (T_T)/"

 私の「基本的人権」って…………どこよ?
 と、実家や親戚宅に顔を出すたびに思う人生って……

 って、……あ、全然本文とは関係のないオハナシでしたっ★

 ||||(-_-;)>”||||

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