(冒険譚・梗概)
ハユン家の養女アマラーサは《谷》の一族の生まれだ。八年前、童子送遣(センドレーサ)の伝統に従い戦士の村ザグへ献納されて来た。いずれ《谷》の危機を救う者が出るという、一族の予言を成就させるために。
守護童子(センテンティア)を選ぶ神前試合で最後まで勝負がつかず、先例のない二人童子として遣わされた相棒の名はアグニス家の長子トゥード。それまで面識のなかったふたりはザグの村に《谷》の血統を絶やすなという不文律により、その時から掟の定める許婚者となった。
古くは《[水]の結界》(アトル・アン)ともよばれたこの大陸(ティス)には複数の民族が住むが、絶対多数を占める大陸人(ティセラタン)は造物主ティアスラァルを謀殺して以来みずから「祖神(おや)殺し」を名乗り、超越者に頼らず生きることを誇りとしている。
数多の神々がヒトの驕りを見捨てて去った惑星で、《異》や《魔》とよばれる者たちや《谷》の一族のような他界からの移住民は、風や水の精霊の加護をうけて昔ながらの暮らしを続けていた。
唯一、特異なものとして、しかし広く認められている月女神(レリナルディ)信仰は、満月の夜に死を恐れず荒野へ出て祈る者にはすべての掟や法則から解放された「まったき自由」が与えられると説く。
ザグの村で戦士としての修業を積み弱者を護るための旅をくりかえすうちに、アマラーサは月女神の教えに魅かれた。《谷》の守護者である義務を捨て、《闇に輝く》(レリナルディ)そのひとにまみえたのは二年まえ。人を超え、《仙》と呼ばれる無限の力を得ると同時に、彼女と許婚者を結びつける絆もまた消滅した。
無断の行動に傷ついたのはトゥードである。出会った時から美貌の少女の恋していたし、力強い女戦士をまた親友とも考えていたのだ。
ザグの村では有数の使い手である彼も《仙》士が相手では敵すべくもない。動揺を顔には出さずただ修業も怠りがちに無為な日々をおくる。
ハユン家の養女アマラーサは《谷》の一族の生まれだ。八年前、童子送遣(センドレーサ)の伝統に従い戦士の村ザグへ献納されて来た。いずれ《谷》の危機を救う者が出るという、一族の予言を成就させるために。
守護童子(センテンティア)を選ぶ神前試合で最後まで勝負がつかず、先例のない二人童子として遣わされた相棒の名はアグニス家の長子トゥード。それまで面識のなかったふたりはザグの村に《谷》の血統を絶やすなという不文律により、その時から掟の定める許婚者となった。
古くは《[水]の結界》(アトル・アン)ともよばれたこの大陸(ティス)には複数の民族が住むが、絶対多数を占める大陸人(ティセラタン)は造物主ティアスラァルを謀殺して以来みずから「祖神(おや)殺し」を名乗り、超越者に頼らず生きることを誇りとしている。
数多の神々がヒトの驕りを見捨てて去った惑星で、《異》や《魔》とよばれる者たちや《谷》の一族のような他界からの移住民は、風や水の精霊の加護をうけて昔ながらの暮らしを続けていた。
唯一、特異なものとして、しかし広く認められている月女神(レリナルディ)信仰は、満月の夜に死を恐れず荒野へ出て祈る者にはすべての掟や法則から解放された「まったき自由」が与えられると説く。
ザグの村で戦士としての修業を積み弱者を護るための旅をくりかえすうちに、アマラーサは月女神の教えに魅かれた。《谷》の守護者である義務を捨て、《闇に輝く》(レリナルディ)そのひとにまみえたのは二年まえ。人を超え、《仙》と呼ばれる無限の力を得ると同時に、彼女と許婚者を結びつける絆もまた消滅した。
無断の行動に傷ついたのはトゥードである。出会った時から美貌の少女の恋していたし、力強い女戦士をまた親友とも考えていたのだ。
ザグの村では有数の使い手である彼も《仙》士が相手では敵すべくもない。動揺を顔には出さずただ修業も怠りがちに無為な日々をおくる。