まだ恋もせぬ十四のうちから婚約者を選べとは、けっこう無理な注文である。
 亡くなった前王にかわって父が位(くらい)をつぎ、組閣にあたって王太子の女婿にあたる者はあらかじめ要職から外しておくのが国のならわし。とばっちりを食ったのだ。必要性を頭では理解していても、やはりかなりな難題である。
 だいたい、理想の年齢差とされる三つ四つ下の姫君たちといえば胸も腰も豊かな曲線もあったものではない、まったくの子供である。
 その先どう育つかもわからない。
 何十人つれて来られようと初対面の少女たちに人生かけろとは絶対無謀だ実行不可能だ。
 自分本位な論理を展開してひとりうなずいた王子は見合いの宴を目前に、侍従どものすきをついて三十六計を窓から敢行する。
 大事にされすぎた王宮の庭の巨樹たちは繁茂しまくって梢のなかは緑の迷宮。
 そこでばったり、運命にでくわすとはまさか思いもせずに。

 姫さま危ない止(や)めて下されと次女の悲鳴があがる。
 ふってきたのは星家の香蘭。枝ふみはずして王子の腕へ。

 《イルダニアの七公子》
 フェンテル王家の七恋歌

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  百〜二百枚・一単位、要購入チェック、

 《フェンテル王家の七恋歌》

 ●舞台は特に固定しない、
 ●つなぎとして正体不明の二人連れ、
 ●一の王子妃 …… 星華蘭の雅歌
 ●七の王子  …… 学舎の恋歌
 ●五の皇女  …… 詩人出奔

尊貴 真扉
尊(トキ)真扉
朝(トキ)真扉

雪樹臣
雪世臣
樹神
朱臣
二臣

精霊

亜樹
亜主
亜朱里
 翠林(すいりん)
 ●一の王子、見合いの宴を敵前逃亡する。
 ●おなじく脱出組の星華蘭と意気投合、婚約者に定める。

 雪宴(せつえん)
 ●武芸に長じる星華蘭、婚約者である一の王子に「あれは女じゃない」と言われ愕然とする。
 ●星華蘭、髪をのばし学舎に精勤するが性格がきつくなる。

 蒼天(そうてん)
 ●アルゼワ国が新興宗教にかぶれて軍備を固め、近隣諸国をおびやかす。
 ●二の王女に求婚の使者がくる。
 ●不戦・開戦をめぐってフェンテル王家の外交政策ゆれる。

 華苑(かえん)
 ●一の王子に先陣の命が下り、王子、副将として星華蘭に参陣を要請する。
 ●「女の身でそのようなこと」とつっぱねる星華蘭、大喧嘩のすえ王子と和解する。


 二、雪宴

 つまるところ、つるしあげというものをくらっていたのだ、彼女は。



 七家のうちとはいえども席次の低い航家の、それも三男坊のそのまた息子とあっては市井の子供と変わらぬ。  


(※ 王家の家系図と、
   成人後の色っぽい(笑)「神妃将軍・星華蘭」の絵が
   描いてあるんですけど……、省略 ※)
 

 

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