仙魔人(エスパッション)集団(サークル)
 
   1.
 
 残暑のきびしい秋だった。
巨大都市リスタルラニア  いや、実は首都惑星リスタルラーナそのものが一つの超巨大都市なのだが  でも、この辺りまで来ると説明不足。、“真夏”というのは暦(こよみ)の6〜7月にかけてなのである。したがって、8月の今は、“秋”。
が、小部屋の窓は『非自然的』な冷暖房を迫害したがるサキの好みで開け放ってあり、内部は朝っぱらからかなりの蒸し暑さだった。
加えてご丁寧な事には、すぐ窓下から始まる公園地区の雑木林の中で、リスタルラーナゼミがギンギンワンワン鳴きたてているのである。
極寒地育ちのレイには、とてもじゃないが寝ていられるものではなかったらしい。ベッドの隣でごそごそやっている物音にせっつかれて、サキもしかたなく眠りからひきずりだされた。
無精がってまずは片方だけ薄目を開け、壁に埋め込み式の時計に目を遣る。
まだ、かなり早いはずだ。
 が、壁にはいつもの時計はなかった。
   ああ、そうだったっけ……。
サキはようやく思い出して、のそのそ起き上がった。
ここは船の中の自分の部屋ではないのである。
周回軌道上にある研究所兼居住用宇宙船エスパッション号に戻る暇がなくて、昨夜はそのままこのソレル女史の小さな臨時用マンションに泊まり込んだのだ。
「……あ、ふ……」
眠い目をしばたいてあくびをする。枕もとのナイトテーブルから腕時計を取り上げると……あれ、もう8時半だ。9時間の眠っちゃったのか  やれやれ。
何がやれやれなのか、とにかくしかたがないので起きる事にした。
レイはと言えばもう既に服を着がえて  彼女はいつも毛布の中で着がえてしまうのだ。幼少時からの習慣で  ベッドから出て行くところだった。
サキもベッドの端に腰掛けて、頭から服をひっかぶる。
なんだか靴をはくのがおっくうだった。が、仕様もない。ここは自分の生まれ育った家ではないのだ。
地球でも、リスタルラーナでも、常に床面を清潔に保って裸足で生活する素晴らしい  サキにとって  風習は、既に事実上姿を消して久しかった。
 さて着変えると言っても替えの服なぞ持って来ているわけはない。どうせ昨日と同じ服に、いい加減摩耗しだした髪止めでとかしもせずに伸び放題の髪をひっくくると、それだけで朝の仕度は終りだった。後はお腹になにか詰めこめば良い。
 化粧? 整髪? ……!?
例えそろそろさほどおかしくはない顔つきになりつつはあったとしても、14歳と14歳半のサキとレイとはどちらも自分の持つ美しさに気がついてはおらず、したがって自分を飾る事に対してもまだ何の興味も持っていないのだ。少なくとも普段の時は。
 「サキ」
「うん?」
なおもぼけっと覚めきらない顔で腰かけている彼女にレイが窓辺から声をかけた。
「来てみ、ちょっといいながめ」
乗りだしつつ言うレイ自身も、白い肌に青色の髪がよく映える。
声の調子につられて立ち上がったサキは、レイの気紛れな金色の瞳を見ながら、もうずいぶんの間朝日というものを見ていないと思った。 それにしても、どうしてこう気分が晴れないのかな。あながち眠気のせいばかりでもないようだけれど。
「ああ、わ、ほんとだ。」
確かに一日の始めにながめるには素適な景色だった。
窓下5m、距離にして10mくらいのところから種々の緑がそよぐ公園地区の木立ちが始まっており、太陽は朝日と呼ぶにはやや昇りすぎのきらいもあったが、それでも遠く小さく青白色の安定した光を投げかけて来る。
空は、金緑色のかかった水色だった。(※)
 二人ともしばらくは無言のままたたずんでいたが、しばらくすると
「あ、あ、あ。また会議場かあ」レイの方が先に口をきいた。
「あは、大変でしょう。マス・コミ相手にするのは」
「そーおサ。それを昨日は車をまわして来るとかなんとか言っちゃ先に逃げちまって、この薄情モン。」
「だってあの場合わたしら関係ないもん。それにちゃんと頃合い見はからって助けに行ったじゃない」
「よく言うよ。10分も人を質問責めに合わせといて」
「それが“頃合い”だったんだよ」
「はっ!」
 レイがすねてみせるのを横目に、サキはくつくつ笑いだした。
 サキ・ラン=アークタス14歳と4ヶ月目。なる顔のイラストあり。
(……だって。レイが真面目な顔してあんなに行儀良くしてる図なんて……そうそう見られたものじゃないんだもの……)
 
聞きつけてレイが、サキの額のすぐ横の所でパチンと軽く空気を弾けさせた。
サキは慌てて“遮蔽”を降ろし、さっと瞬時に臨戦体制に入る。
  つまり、背後のベッドに飛び乗って取っ組み合いのために身構えたのである。
このいたって効率の良い原始的スキンシップ法を二人の間に持ち込んだのは、もちろんレイの方だ。
 が、その時、ちょうど階下から  この建て物は丁度上二部屋下二部屋の2階層式マンションになっていたので  お呼びがかかった。
「サーキ! レイ! 食事ができたってー、降りて来て!」
お仲間兼二人の被保護者、2つ年下のケイが叫んでいる。
サキとレイはちらりと互いに見交すと、無言のまま先を争ってドアへ突進した。
サキは目覚めた時の心の曇りを、すっかり忘れてしまっていた。
 
              ☆
 
 
「視ていましたよ。またやってましたね、あなたがた。」
階下  実は三階  のLDKに飛びこんだ途端、珍しくエプロンなどした姿のソレル女史が、非難と言うよりはあきれかえったという声でいきなり話しかけた。
「まったく嘆かわしいですよ二人とも。14歳にもなったというのに……」
「おはようございます女史。レイはもう3ヶ月で15になりますよ」
 サキが朝のキスで、さっさとその口をふさいでしまった。
 
        ☆         ☆
 
 

(※「空は金緑色のかかった水色だった。<ちょっとたんま! 教科書見て考えておくから! Sep.15」なる姉の書き込みあり。……ってことは、姉が高校で地学を取ってて、私がまだ中学2年時点……の文章だということだ? ☆(^◇^;)☆
 
★さらにラスト部分に「ごちゃごちゃぬかす割にはイギリスファンタジイ風対応だな Sep.20」とか書いてあるし……★( ̄^ ̄;)★

 
 うぅ〜るせぇぇぇぇっ!!
 中坊にそんな高踏的なSF設定ができるわけないだろうっ!

★( ̄^ ̄;)( ̄^ ̄;)( ̄^ ̄;)( ̄^ ̄;)( ̄^ ̄;)( ̄^ ̄;)★””””
 
 
 
 ってことで、そろそろこの辺りから姉に自分の原稿を見せないように隠し始めた頃……だと思われます★ (^◇^;)d

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