『水の大陸』 〜ヤツィー族の伝承歌〜 vII
2006年4月21日 連載いのなかみをすべてはきもどしてたべさせた。
いのちがけでおしてひいてさいごの母の涙へ。
おおいかぶさり天のにくい光の矢から守ろう。
このめすだけはじぶんよりはやくは死ぬなと。
めすはいのちをふきかえし、
ひびわれたこえで細く言う。
このかゆは姉者の味がする。
このみずは兄者の味がする。
やがてようよう母が戻った。
なぶるに飽いた父の元から、
はらんだ腹で逃げて戻った。
そしてみつけるわが子の姿。
月みちて水の初子の弟らも生まれ、
月みちて水の初子の子らも生まれた。
水の初子の雄はみずからを恥じて死に、
水の初子の雌も子らを遺して後を追う。
いのちがけでおしてひいてさいごの母の涙へ。
おおいかぶさり天のにくい光の矢から守ろう。
このめすだけはじぶんよりはやくは死ぬなと。
めすはいのちをふきかえし、
ひびわれたこえで細く言う。
このかゆは姉者の味がする。
このみずは兄者の味がする。
やがてようよう母が戻った。
なぶるに飽いた父の元から、
はらんだ腹で逃げて戻った。
そしてみつけるわが子の姿。
月みちて水の初子の弟らも生まれ、
月みちて水の初子の子らも生まれた。
水の初子の雄はみずからを恥じて死に、
水の初子の雌も子らを遺して後を追う。
『水の大陸』 〜ヤツィー族の伝承歌〜 VIII
2006年4月21日 連載 コメント (1)水の初子の弟妹は、
やはり水気は吸えねども、
父に良く似た傲慢で、
二足で歩いて広がった。
増えて広がりこれでは狭いと、
埋めよ増やせよ《水の島》。
ならねば母をも呪おうぞ。
憎むと脅して使役する。
水の初子の子どもらは、
いついつまでも悲しんで、
哀しみの泥をはい回り、
やがて母なる海へと還る。
母なる水はもう二度と、
天の子生まぬと決意する。
かなしみひしがれ重さのあまり、
死ぬることさえ奪われた。
これがわれらのはじまりである。
われらの呪いのはじまりである。
やはり水気は吸えねども、
父に良く似た傲慢で、
二足で歩いて広がった。
増えて広がりこれでは狭いと、
埋めよ増やせよ《水の島》。
ならねば母をも呪おうぞ。
憎むと脅して使役する。
水の初子の子どもらは、
いついつまでも悲しんで、
哀しみの泥をはい回り、
やがて母なる海へと還る。
母なる水はもう二度と、
天の子生まぬと決意する。
かなしみひしがれ重さのあまり、
死ぬることさえ奪われた。
これがわれらのはじまりである。
われらの呪いのはじまりである。
『水の大陸』 〜銀の道〜
2006年4月21日 連載 コメント (1) のちにアトル・アンタイス(水の大陸)初の女性騎士として伝説上の人物となる放浪の女剣士ユリィの、出生の謎と若き日の恋愛の物語。「剣と魔法と冒険」のレトロなファンタジーを装いつつ、実わタイムパラドックスものだったりするので、SF? (笑)
ユリィの残した「伝説」そのものは、長くて面倒臭いので、小説という形には書かないかもしれない。他の作品の中に劇中劇として描出するだけの可能性が大……。
ユリィの残した「伝説」そのものは、長くて面倒臭いので、小説という形には書かないかもしれない。他の作品の中に劇中劇として描出するだけの可能性が大……。