1.時代不詳。かの大地震以来『大東京荒野』と化した地での物語。
初め荒野には“隠雀(インジャン)”と呼ばれる赤銅色に日焼けした男たちが砦城を築いて原始共産制めいた暮らし向きで住みついていたが、ある日“捕吏司(ポリス)”の1団がその地を占有するためにやって来て、戦いになる。(捕吏司は白面赤髪)。古典的武器ながらも人数と戦意でまさる隠雀側の勝ちかと見えるが、2度目の攻撃に物量作戦を敷いた捕吏司国に敗退する。戦士の大半を捕え、丸腰にむいたまま占拠した砦に凱旋して来る捕吏司たち。
ちょうどその頃、風の吹くままという感じでふらりと砦城に現われたなり、居ついて隠雀たちと生活を共にしていた、小柄な黄色の女性がいた。彼女はやがて若き勇士ベルガを恋するようになるが、そんな平和な日々に捕吏司による破局がおとずれる。
「武器はなくても戦える。」
奇しくも、丸腰のまま連行されるベルガと、日本人なのに、かどわかされてここにいたと訴えて救いを求めると見せかけ、捕吏司側の総大将を刺殺した彼女とが、仲間たちに向けて呼びかけた言葉は同じだった。
勢いを盛り返すかに見えた隠雀たち。だが捕吏司を追い払い、疲れ切った彼らの所へ、新たに攻め寄せて来たのは“皇帝”の兵だった。
あっさり全滅させられる戦士たち。生き残った者たちをも『劣等人種』として量殺されようとして、“皇帝”に身を投げ出した彼女。
そうしてそこから隠雀たちの長い歴史が始まるのだ……。
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