『 ドームシティ・82 』 (@高校かな?)
2006年12月4日 連載(2周目・地球統一〜ESPA)……時計が12時を告げ、今日も彼女の“子供たち”は静まりかえっていた。
グランマは今日もまた優しく語り始める。
「昔、昔、まだドームの外にも、世界があった頃のはなし……」
× × ×
“閉じた球”世界、ドームシティ82。それは、最も深く、最も頑丈に、最高の技術と頭脳によって、一番最後になって作られた世界だった。
当時の混乱状態から見れば、信じられない程のスピードでその建設は行なわれたのだ。だが、それでも完成するのが遅すぎた。知らせを受けとるなり各地の隠れ場所から飛び出して来た、学者、科学者に、その家族たちの大半は、中途にもさしかからぬうちに“最後の熱風”のえじきになった。骨も残らず、遺言も残らなかった。
ために、シティ82には予定の人員の10分の1すら集まらなかった。特に女と子供。シティに入っていた人間の大部分が建設にたずさわっていた技術員たちだったし、若い彼らは、おおかたが独身だったのだ。
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