『 (無題) 』 (@派遣先の昼休みor仕事中……??)
2006年8月25日 連載(2周目・善野物語ほか) コメント (4)この話を書いたのは、正確には、僕のいちばん下のおとうとの清なのだけれど、まあ誤字脱字のあらしの一人称手紙文を整理してワープロで打ったのは僕だし、
弟から毎日のように送ってくる手紙の内容の、本題にはいるまえに少しぼくら兄弟のことを説明しないといけない。
ぼく、磯原広(いそはら・ひろし)を筆頭に、高、透、厚、と続いてしんがりが清という男ばっかりの五人で、母が異国から嫁いで来たひとなので、みんなそろって世間一般の日本人とはちょっと違った外見をしている。
基本的には僕を見てくれればわかる通り、すこし浅黒くてホリが深め、目と髪がまっくろで天パーで……というパターンだ。
古今を問わず「まわりとちがう子供」というのはえてして仲間はずれというか、まあイジメの対象にされてしまいやすい訳で、僕らもごたぶんにもれない例だったが、幸か不幸か並よりはちょっといい頭と運動神経は
のこる五分の二のうちまんなかっ子の透に関しては、こいつには
話がそれた。
問題の末っ子、清には、「混血の美少年」(
超古代文明(エルシャムリア)の月面遺跡、なんていうハタ迷惑なものがあって、こいつには時空移動装置がついている。過去も未来も、行けちゃう行かれるうえに、パラレルワールドなんてやっかいなものにも勝手に御招待してくれちゃうという、ひとの都合をてんから無視した母思考機械に牛耳られていて、すべての世界はこいつの外ではなくて、こいつの "内側" に存在しているらしい。