さて。

 大量なる「後世の歴史家」たち、こと、単なる歴オタ(歴史マニア集団)とも言える「イロニナンズ」らによって、後の世には《黄金の千年紀》と名付けられ懐かしまれた、この時代の、主な制度上の変化は、2つあります。

 まず第一に、当初は「万人平等」のタテマエであった《リ・ズ》星圏内で、「遺伝子等級別階級差別」ともいうべき現象が自然発生的に現れ、それに関しては何ら法的根拠は認められない(法定されていない)にも拘わらず、社会の非文法として一般常識化してしまった、という点。
 この直接的な原因としては、自由恋愛による自然出産率が非常に低下したことが挙げられます。地球系人類には過去の原子力・化学戦争の後遺症として遺伝子疾患や変異を持つ少数種族が非常に多い為に、全人類の中から自由恋愛で無作為に繁殖相手を選んだ場合、遺伝子の相性が悪くて妊娠不可能な確率が非常に高くなりますし、さらにそれがリスタルラーノ系やジースト・ゼネラ系と恋愛してSEXして自前の遺伝子だけで天然自然に子どもを授かろうと思うと……宝クジなみの出生率になってしまいます……。
 また、「まったく働かなくてもとりあえず生きて行かれる」程度に社会保障が充実しすぎた為に、身を持ち崩すとゆーか、生活習慣が乱れまくるとゆーか、「恋愛もしくはSEXだけなら興味はなくもないけど、家庭だの子どもだの子どもの人権に配慮した子育てだの教育だの、面倒な責任は持ちたくないよ」というライフスタイルを選択する人々も、年々歳々、増加の一途を辿ります。
 上記2点の帰結として、「とりあえず双方の遺伝子の使える部分をつなぎ合わせて、双方の特徴を受け継いだ部分のある、そして自力で長期生存が可能な健康体で、できればなるべく見た目やオツムや性格が優秀な、自前の子どもが欲しい」というカップル達からの要求と、「ボランティアの提供者たちから蒐集した遺伝子(※)を総当たり戦的にフル活用しつつ厳重に選別して、自主的に勤労への意欲やヤリガイを見出し、積極的に社会を維持するべく参画する、行政組織の構成人員を、安定的に【大量生産】しないと、今の体制が維持できない★」と危機感を抱いた行政組織からの試験管ベビーの大量安定生産(市場出荷)の要求と……、を満たす為の、遺伝子操作(設計)と乳幼児〜学童期の集団養育(人材育成)のノウハウを持った、幾つかの民間企業が大きな存在感を持つようになります。

(※蒐集した遺伝子: 後には遺伝子の提供が「義務」制度になります。)

 で……。

 「優秀な遺伝子配列」や、「ニーズに合わせた適性教育(政治家とか音楽家とかスポーツ選手とか単純肉体労働者とかセックスワーカーとか軍隊の歯車とかとか)の行い易い半規格品(セミオーダー)人種の安定生産ノウハウ」などが特許の対象となり、当然のように生産価格にランク付けやステイタス化が起こり。

 大雑把に言うなら全ての「知性保有人類」が、その依って立つ遺伝子の優劣によって「ABCDE」の5段階にランク付けされて呼ばれるようになります。当然?その遺伝子のランクによって、選択できる職業や、昇進できる役職に、差別や偏見や抑圧が、発生して来てしまうわけです……★
 。(=_=)。”

(※後に、それぞれの階級の平均より優秀なS−スペシャル−級をカウントする方式が導入されて、10段階評価になります。)

 

 そしてこの時代の大きな変化の第二に、そうした「生まれつきの」規定値に制限される生き方を好まなかったり、あるいは押し付けられた「万人平等」というタテマエのヌルマ湯的な日々を潔しとしない人々が、「機械化」や「生体脳の増設処置」等々の人工的手段を選択(※そのこと自体は合法的かつ積極的に行政府により推奨されていますが)したり、その費用を調達するためにしばしば非合法的な手段(犯罪)を採用したり、費用調達の手間さえ惜しんで他人様の装備を丸取りする為の「勝ち抜き武闘大会」(※勝った者が負けた者の人工増設部分を「好きに解体して持ち帰っていい」というルールの、ある意味メンコのような?非合法スレスレのスポーツ?の賭け試合)を考案したり。そこでプロ化した賞金稼ぎや、他人のパーツを勝ち取ってはジャンク屋に叩き売った金で豪勇したり、それを買ったり売ったり改造したり修理したり闇市を開催したり……という、関連する職業に携わる人種や、武闘大会を観戦したり賭けに噛んだりする人や、その家族や恋人や……が、徐々に徐々に、かなりのスピードで、増殖していきます。

 彼らの価値観は「チカラがすべて」。「強い者(単独)が正義」で「正義はカッコイイ」。「カッコイイ個人を集団のチカラで無理矢理ねじふせるのは、不正義でカッコワルイ。=悪=」という基準になります。で、「集団のチカラ」の典型とも言うべき、「行政(お役所)」は、カッコわるさ(=悪=)の総本山。……という、帰結になるわけです。

( ついでに言えば、「個人的な強さ」(=超天才で、かつ最強のESP能力者=)として史上に名高いサキ・ラン=アークタスとその相棒のシスターナ・レイズの二人組が、何故かこの時代には「神格化」されていて、「勝利の女神(超美少女)と黄金のトラ」というキャラクタライズで、武闘大会のシンボルとなり、かなり本気で「信仰」の対象となり、崇拝されています。 <よってこの人々を「中央」側では便宜上「女神教徒」と呼んでいます。 )


 《リ・ズ》体制に従順な「中央側の」人口に比べれば、せいぜいがとこ1000分の1ぐらいの割合なのですが、その増殖スピードに不安を抱いた行政サイドは、武闘会における人権・生命の軽視と非合法性を指摘追求して、合法的な「解散」を迫ります。が……。「法と軍隊」をもって「制圧」にかかられるのは、彼らにとっては最も忌むべき事態で。意固地になって逆ギレした「カッコイイ=強い=個人同士のチームワーク共同戦隊」みたいなものをにわかに結成した彼らは、断固不退転・徹底抗戦。膠着して泥沼化して長期戦に転じて要塞化して、持ち出す武器や装備もだんだん本格化して……。

 もともとが烏合の衆である彼らにはそもそも指揮系統というものが無いので、それが逆に体制側の指導者にとっては「取り締まり」が難しい要因となり、後追い的に追加派兵を重ねては散々な人的被害を被り……。
 数十年にわたり徐々に深刻化して悪化した「抗争」の挙げ句、それは「内乱」とか「武装蜂起=クーデター=」とか呼べる規模になってしまい、人口比で言えば千分の一程度だった「女神教徒」は、ゲリラ戦的に出没しては超強度の「気波壁」で取り囲んだエリア(宙域)を拡げて行くことで、もともと《リ・ズ》の中では人口密度が薄かった旧《ジ・レイズ》エリアを中心に、星圏版図(銀河系)の10分の1ぐらいを「治外法権自治区」として掠め取り、勝手に「独立」を宣言して、鎖国を断行。そのまま「とじこもり」の体制に入ってしまいます……。





 んで……。

 この「対《女神教徒》戦役」の際に、《リ・ズ》側総指揮官(初代)の不手際によって非常に無用に大量の戦死者を出してしまった悲惨な戦場がありました。で、そのゲリラ戦の泥沼から九死に一生を得て生還した現場の指揮官が、その功績その他によって順調に昇進を重ね、最後には何とか「対等」な立場での「休戦条約の締結」まで持ち込んだ……あと。

 「そのお手柄を表彰してやろう」と《中央》まで呼び出され、祝賀会(表彰式)のド真ん中……で。「部下を皆殺しにするよーな作戦を立案したテメーが無能なんだよ!!」と、当時の総指揮官で今は更に上に「出世」していたヤツを、全銀河ナマ中継で報道されていると知っての上でドカンと殴り倒し……。


 (^◇^;)げっ (^◇^;)げっ (^◇^;)げっ


 今までのお手柄からするとクビ(除隊)にするわけにもイカンので、思いっきし降格して閑職にまわして飼い殺しにして……おこう……と、僻地の舞台にトバされて不遇を囲っていたところで、

 次なる物語の主人公に、遭遇するわけです。

 d(・_・)

 

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