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 すると、突然、急を告げる角笛の叫びが森中に響き渡って真里砂を驚ろかせた。
高く、低く、高く。危険を知らせるかのようにせわしなく音色が変わって行くのだが、困った事に、それを聞きつけたとたんパスタの顔がさっとこわばった。
「あの吹き方は“異変”の笛だ! 館で何が起ったんだろう?!」
 それから抱えるようにして持っていた大きな袋包みを真里砂に渡して、
「大変だ。ぼくはすぐに館に戻らなくちゃ! この中には着換えと、当座の食糧と、粗末なやつだけど届けられてた旅の道具一式。それに路銀も少々入れておきました入ってますから。それじゃっ!」
 余程慌てているのかそれだけ言うとパッと翼を開げて広げて飛び立とうとしたパスタを、真里砂は慌ててギョッとして引き止めた。その場に一人とり残される事に恐怖を感じたのだ。パスタは持ち上げた翼もそのままにいとももどかしそうに首だけで振り向いた。
「なにか  ……」
「あ、いいえ! なんでもないの。あの……あなたはわたしの事を名前正体を知っているの?」
「いいえ……呼び名以外は聞いてません」と、あとなにかわけがあって地球(ティカース)からへ行ってた身分の高い姫宮だって事以外聞いてません。」
「あの、  そう。ありがとう。気をつけて、ね」
 真里砂はしかたなく言った。
「マーライシャ様もお元気で。」
 言うが早いか、あっというまに少年の姿は木々梢の向うへ飛び去ってしまった。
 真里砂が、溜め息をつき、急にのしかかってくるような静寂の恐しさに怯えた時    
 真里砂の背後で下枝ややぶのしげみをかきわけ押しのける音がして、「おーっ!! いた、居た!!」
 声と共に2人の少年が姿を現したわした。
 
 「雄輝! 鋭! ……どうして     ?!」
 
 
 
 
(つづく)           .

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