のどが焼けつくように感じてわたしは気がついたのね。目を開けると、そこには全然見知らない人達が三人、わたしをとり囲むようにしてのぞき込んでいたわ。丁度、気つけ代わりに強いお酒を飲まされていた所だったのよ。
「ここは……?」
わたしはそう尋ねたのだけれど、聞こえなかったのか、さもなければ聞こえても通じてなかったんでしょうね。三人のうちの一人が身振りで黙っているようにと答えたわ。
それで、まだ頭もぼんやりしていたし、しばらくは様子を見ることにしたのよ。
 
 「あ痛(いた)。いたた……あち☆」
罵声とも悲鳴ともつかない声を発しながら、真里砂はやっとの思いで立ち上がった。頭がひどく痛む。
  寒い!……」と思わず口に出してつぶやいた程、彼女の体は完全に冷えきっていた。気がつけば、どこでどうしたものだか薄手の体操着がすっかり濡れそぼって体に重くまとわりついている。
辺りの景色を見るに及んで、真里砂はしっかり腹をたててしまった。
木、木、木、     一面の樹。 うっそうと頭上におい茂る森の樹々が、陽の光さえもさえぎって真里砂を取り囲んでいるのである。   「なんてこと!」。
一旦はかんしゃくを爆発させようとした彼女も、怒鳴った声をこともなげに吸い込んでゆく森の静かさを悟って怖じけづいた。てしまった。
「いったい……何が起ったって言うの!?」
ここは、どこかしら   さしもの真里砂も除々に声が低くなった。実を言えば、彼女はしばらくの間、自分の身に起ったことを思い出せなかったのだ。それから、ようやく自分はとんでもない冒険に巻き込まれたらしい、ということを思い出した。に思い当たった。
と、その時である。真里砂の背後で木々の下枝をかきわけ押しのける音がして「お  っ! いた、いた!!」
声と共に二人の少年達の姿が現われた。が姿を現わした。
「雄輝!鋭!!……どうして!?」

(☆シャーペン描きで驚いているマーシャの斜め顔のイラストあり)

つかんで押した枝をそのままへし折って前に出ながら、雄輝は開いている方の手でバサバサの頭をかき上げた。ただでさえ着るのを面倒がって伸ばしっぱなしだった黒髪が、小枝やらくもの巣やらでひどい有様だ。

(☆森の枝をかきわけながらひどい有様になって藪漕ぎしている二人のシャーペン描きイラストあり。)

「どうしてって……何が“どうして”だよ?」
「だって、だって……なんだってあなたたちがいるのよ」
「決まってんだろ。おまえを追っかけて来たんだ。
 ……ふう! ああひでえ目に会った。」
「つまり僕らもあの穴に飛び込んだ。
 君と違うのは自由意志だって点だけで」
「なんですって!? 馬鹿な!
 何が起ったのか解ってるの?
 帰れないかも知れないのよ!!」
真里砂はあきれると同時にひどく腹が立った。
自分は恐怖していたというのに、こののほほんとした言い草はどうだろう!
 と、雄輝の答えて曰く、
「面白そうじゃん」。
「おも☆」ズル。
真里砂は絶句した。大いにズッこけた。
なんて神経! これでわたしより年上だなんて……
「鋭!あなたもなの?」無論そうだとでも言おうものならひっぱたちてやろう  と完全に頭に来ている。
「いや……僕は」返事に窮した鋭こそいい迷惑だった。
「僕はまずあの暗黒穴(ブラックホール)まがいの正体をつきとめてやろうと思って走りだしたんだよ。それを雄輝が先に飛び込んじゃったんで、やむなく……さ」。
「そう    」と真里砂。「なら、まあ、あなたは許してあげるわ。  雄輝!」「あん?」
ところが真里砂が凄まじいけんまくでまくしたてようとした時である。
「くしゃん! くしゃん!」

(10月25日分)         .

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