そして語られた通りに、星間連盟と呼ばれるリスタルラーナ文明圏と、地球系・開拓惑星連邦が国交を結んでから十年の歳月がながれた。
 その、サキ。
 サキ・ラン=アークタスという名で戸籍登録された少女は、ひとけのない自習室で最後の入力をすませようとしていた。
 もと稿は、植物の繊維でできた、あまり厚さが均等ではない、紙である。紙を、動物質の糸で幾重にもつづりあわせたものである。
 そこにいっぱいにプリントコピーされた古代文明文字  前アーマゲドン期文化の  まわりいっぱいに少女みずからの手で紙面が黒くなるほどに注釈や構文が書きこまれ、ところどころ、あたらしいプラ紙を耐性のりではりこんで、あるていどまとめた対訳がつけてある。
 それを目で追って、ディスプレイのうえの指が、 うごく はしる。
 翻訳のさいごの一行を打ちおえて、少女はいすの背にもたれかかり、かるくため息をつく。机の卓のコンピューターにメモリーパックの注出を命じ、ほおづえをついた
 ……ほおずえをついてついた少女は確認のために画面にうかんでくる全文(今日うちこんだ分の、だ、もちろん。作業自体にはここ半年以上かかずらっていたのだから)にすばやく目を通してGOのボタンを押す。
 カタリ、と2巻目のパックが少女の手におちた。

     ☆ここでセイ登場でもいい。
 
   妖精、魔法使い、導師、仙人、小鬼。
 これらの概念は“神”や悪魔、宗教という単語とともに、リスタルラーナ文明にはすでにないものだった。
 かたや地球には、統一後、4半世紀をこえるいまにいたっても、それらに類する能力をもつといわれる人々が、たしかにいる。
 なるほど、地球の文化を理解するうえで、これらの研究はたしかに欠かせないものだろう。(  ほんとうにそれだけだろうか?)それだけの目的で、たんに口頭にレクチャーにたよるだけでなく、これだけの量の資料の、翻訳をたのむものだろうか。
 
 正確に知りたい、という要求は、ただ好奇心、探求心というものをこえる、より深い必要に根ざすものであるはずだ。…………
 
 
   ☆サエム夫人、16即位、18解散、20婚姻、
          22出産、28サキ、35死亡、
 
 
 「どう思い考えますか? これらの概念について。」
 かつて存在実在していたものが、時をへて語り草に変化していったものか、それともやはり、文化文明の救いのない闇と恐怖の夜が、人類の心理にふきこんだ数多な想像力にすぎないもんか……」
 
 「原典は、あったのだとおもいます。たとえそれが噂やらによって後代にどれほどゆがめられたにしても。」
 現に、わたしの母は……」
 「あなたは? サキ・ラン」
 
 「……そうして、それに類する現象が……
  あらわれはじめていると言ったら、どうします?
  このリスタルラーナに。」

 
 
(リ)のコンピューター、“糸でんわ”操作にすること。
 
              .
 
 女装の美形か男装の麗人か、区別がつかないから、レイは困る。
 大抵の場合は、素直(?)に男に見える。実のところ染色体は、
 XX(ダブルエックス)で、ある。(!!)
 並の男性より高いんじゃないかという身長、どんと低いハスキーボイス、ざりざりに刈りこんじゃった感じの短かい青い髪、色気のかけらもない金色眼。
 唇は薄いし胸も腰も皆無だし、これで男と思うな、って方が理不尽といおうものだが、それにも増して  どうも、本人が、自分を女とは考えていないらしいフシがある。
 
 
 
(※シャーペン描きにサインペンで髪だけ彩色した上半身イラストあり)
                 .
 
 “ステメン”主メンバー
 
 
○ 高橋薫(カオ・ターク=モトナカジマ)
  サキに1番声質が近い。ただし“地についた”声。
  オリ・キャラーズ副団長。
 
○ ラーラ(ライオネル・ライヤー=シュテット)
  黒に近い褐色の肌。
 
○ リーク(セーレ,リレキス)
 
○ アルサー・ジャン=ジャック
  オリ・キャラーズ団長
 
○ ジョーグ
 
○ リーツ・ミエア
 
 
○ オランジュ(フランィシ,オラーン)
 
○ シェリル・プラネット(サキ・ラン=アークタス)
 
○ ボルグ・ビヨルン=ブランナー
 
 
 
(※ページ全体にバッテンして「廃案!」と書いてある☆)
              .
 
 ここに来てから泣いてばかりいる新入りに
 レイはいいかげんうんざりしていた。
 
 
 
                  .
 
 「蘭咲子。咲子  咲く子」
 「花が咲く子、新しい文化の花開く子。
    ……咲子と呼ばれていた頃、わたしには意味があったんだよ。今ではサキ・ランは単なる記号に過ぎない」
 
 
 
 「帰りたい?」
 レイが尋ねる。秘やかに、心の寂しさのありったけをこめて。
 「帰れない」 サキが答える。
 「帰りたい?」
 「帰れない」
 「帰りたい?」          ……
 
 幾度も繰り返される、同じ言葉。幾度も繰り返される、同じ、答。
 
 
 
 
 繰り返し、繰り返し、波のように   向き合った二面のガラスの鏡のように、他のもろもろの感情を押し流して、ただ深い寂静とした哀しみだけが今の二人の間には残されていた。
 「帰りたい?」
        「還れない」
 誰よりもその答を良く知っていて、知っているくせに、レイは、また尋ねるのだった。
 窓の外はただ無限の世界。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                   .
 
 「サーキ♪」
 「
 「レイにね、頼まれたの。落ち込んでるからなぐさめてくれって。
 あたしじゃだめだ  って、すごく暗い顔してた。」
 「そう……」
 「それでね、わたし少しうれしかったの。」
 「え?」
 「ほら、今までわたしずっとおミソだったでしょう。わたしがいるとみんな気を使って、暗くならないよー、深刻な話題さけて通ってたでしょう。」
 「え、そう  かな、」
 「そうよ。だからわたし今日、わたしの目の前でレイが落ちこんで見せてくれたのって、そりゃ少しはびっくりしたけど、実はとてもうれしかったのよ。」
 「落ちこむと  うれしいの?」
 「ええ♪ だって、ほら、やっと自分も1人前にあつかってもらえたんだな  、みんなの役に立てるくらい大人になれたんだなー、って、満足感があるじゃない。」
 「そ、そうゆうもん?」
 「だからね、サキも頑張って落ちこんでてね。
 これからは、その分わたしがしっかりしててあげるから♪」
 
 
                .
 
 「動物は好きなの?」
 「正直だから」
 「ウソだね。あなたは人間も好きなはずだよ、違う?」
 
 ケイニー。無気味がられて両親には捨てられ、叔父のところで働く。
 
 
 極上の茶にめいっぱいミルクを注ぎ入れたような肌の色。
 
 
 
                .
 
 「わたしゃ“普通の”女のなんぞじゃないってば。そっちこそ普通の、ただの、単なる男の人でしょオっ!!」
 「……あのな。」
 ルイック、振り向いて、こうなれば最後の手段。
 「オレはねェ、ただの、連盟保安局特務部員なの。了解?」
 「ほあん……きょく!?」
 サキは鳩が豆鉄砲の顔をして。
 ルイックの眼がきゅっと細まって職業用おどしの表情に近くなった。もう1度たずねて念を押す。
 「了解?」
 したら部屋で大人しくしていろと言おうとして、
 「りょう、かい、……し・な・い。」
 灰色と銀の瞳に彼がたじろぐほどの物騒な微笑。
 「肩書きがつけば偉いってもんでもないでしょ。」
 
    ☆
 
 
                .
 
 1. 国境の町。
 
 辺境惑星リネークーラは雨。
 「……あ〜あ、あ。」
 ようやっと雨やどりに手頃な場所をみつけて駆け込んできた彼女は大きなため息をついた。
 服もカバンも防水加工だから構わないけど問題なのは、髪。やたら長いのが面倒で高々とポニー・テールっぽく結わえておいたのが見事に裏目。水を含んで重いったらありゃしない。
 「携帯式乾燥器、貸そうか?」
 雨宿の先客が声をかけた。
 「ついでに暇つぶしのお茶の1杯くらいにもおつきあいいただけると嬉しいんだけどな。」
 籠っている幌(ほろ)のうしろは居酒屋。
 御注文はの到着をお待ち申し上げる間に個室を借りて、長い髪はすっかり復調したようだ。
 「わたし、サキ。お宅は?」
 「ソルデネーレ,ルイッカクセス。古めかしい名前だろ。」
 「る、ルイッくぁく……」
 「ルイッカクセス。」
 「地球人(テラズ)にはその発音は無理だよお。」
 「へ? キミ地球人!?」
 「そ。……見えないだろー。」
 少女は(
 
 
           (草稿未完).
 
 タ イ ム
 
   宇宙空間。真空。絶対零度。船の残骸。飛び交う熱線銃の輝やき。自分の手元から応酬の青い光がほとばしり、殆ど無意識に動く体がその度に確実に相手を倒して行く。
 サキは、どこか遠く離れた意識のどこかで、畏ろしいと感じていた。
 自分がつね日頃おもしろがって、スポーツとして訓練したものの結果がこれなのだ。初陣の、しかも絶対的に不利な条件下での撃ち合いに参加していて、何らの精神的プレッシャーを受けもしないで人を殺している。護るべき相手を背後に控えているとは云え、その事に対して恐怖感を覚えないというのは少し異常に過ぎる状態だった。心の中にうずくかすかな異和感。
 「バカヤロウこのボケ。殺されたいか!」
 しかし生まれついての熟練した戦士であるレイには、やはり初心者の危なっかしさが目に余るらしい。例によって口汚くののしられて、思わず言い返そうと意識をそちらへ振り向けた一瞬    ……
 「アホ  ッ!!」
 レイの絶叫がヘッドスピーカーの間で狂気のように反響する。だがそれにも増してサキの心に爪をたてたのは、ギリ、ともビリ、ともつかぬ不吉な運命のきしみだった。肩先の装甲が熱線に吹きちぎられたのだ。
 ぞっ、と背筋が凍りつかんばかりの数秒間。初めはかすかに、徐々に裂け目を押し広げながら、空気がもれだして行くのが感じられる。
 (宇宙デノ戦イノ時ニハ銃ノ目盛リハ絞ッテオク)出がけにレイに注意されたのだ。(えねるぎぃガ長持チスルシ、当リサエスレバ効果ハ得ラレル)。効果  とは、ではこの事だったのだ。装甲に傷を負った者は恐慌に陥ちいり、ほぼ完全に戦闘能力を失う。断末魔の長い分だけ、真空の戦場にあっては即死よりも酷い。
 レイが前面に踊り出て、楯となって狂ったようにビームを乱射している。後方から誰か必死で呼びかけて来るようだったが、もはや空白になったサキの心にはどんな強力なテレパシーですらとどいて聞こえてはこなかった。ぐらり。宇宙震のように世界がゆがむ感覚がある。意識がすっと遠のく。
 
 「バカヤロウこのボケ。殺されたいか!」
 しかし生まれついての熟練した戦士であるレイにはやはり初心者の危なっかしさが目に余るらしい。レイによって口汚くののしられて思わず言い返しそうになりながらも、サキは油断なくレイ・ガンをかまえてあたりに目を配っていた。
 と、まるで予知していたようなタイミングで、目を遣った方角から熱線が来る。サキがやりなれた動作でそれをよけると、背にとった残骸の一部が一瞬輝いて少しばかり溶けた。
 「はッ!」 急に透視能力が働き始めたようだ、サキは今撃ってきた奴の心臓を一撃のもとに貫くと、無意識のうちに銃のゲージを引き上げて正確な連射をくり出し始めた。
 絶対的な暗闇の中、大小の残骸が無数に散らばる中にあって、それから後、サキに急所の貫通以外の傷を終わされた者は一人もいなかった。
 
 頼まれてレイが小型の衝撃銃を作ってやったのは、その事件からひと月程過ぎてのことである。サキは戦闘中の奇妙な重複感、一瞬の夢ともつかぬ恐怖を夢現つのうちに記憶していた。  そして、精一杯 のろいや 罵詈雑言をまくしたてながらも体を張ってかばおうとしてくれたレイの後ろ姿 の残像を
 「なんか最近あいつ気味じゃない?」
 いくらからかっても平然と笑っているようになったサキの事を、レイはそう評してひとしきり首をひねっていた。
 
 
 
                .
 
◎ 「邂逅」もしくは「宙暦0年」 ストーリィプロット

 ケティア・サーク23歳。リスタルラーナ星間連盟の全権大使として、同僚のエレンヌ,カートと二人で太陽系第三惑星テラに派遣されて、出発後2年目にしてようやく太陽系内にたどりついた所。船長であるキャプテン・ダーナーと喧嘩しながらも、地球連邦へメッセージ
 
 
                  .
 
○ ソレル女史、ESP及びESPERに関する説明語録

「つまり、親子の関係において、子供というものは常に親と同じ物の見方をするものではありません。むしろお香の場合で、子供は親とは異った、新しい考え方、新しい物の見方・感じ方をし、新しい取り組み方で社会に働きかけて行きます。そうしてそれが今日に至る我々の文明を築き上げたのだと言っても過言ではないでしょう。ESPERとは、人類全体の直系の子供なのです。
 どうか、上古の神話時代に逆上る狭隘な迷信に惑わされる事なく、偏見を持たずに、自由な新しい物の見方で彼らを受け入れて頂きたい。」
 
 
                 .
 
 「  さぁ?
  なんとなく考えごとして、
  なんとなく寝て、
  なんとなく寝つかれなくて、
  眼がさめたんで、
  考えごとの続きして、
  解決したんで寝た。」
 
 
 
         (たぶん、サキがレイに言ったセリフ)
 
あんまり入れ子構造にするのもマズイとは思うが。

 
                        1991.02.10
 
  ○ 序 ○
 
 地球が統一されてから30年ほど過ぎた。
 異星人類リスタルラーノとの第一遭遇を経て、公式名称を地球系開拓惑星連邦  通称・テラザニア  と改め、年号を宇宙暦としてから、20余年。まだまだ混乱も、難問も、山積みになっている。
 かたや星間連盟リスタルラーナ、高度に発達しすぎて停滞期を迎えていた文明圏にとっては、未知の文化形態との接触は数千年ぶりの賦活剤だった。
 つまり、地球からの留学生にとって、自国の文物を紹介するというのは、とてもいいおカネになる、ということである  
 
 
     ○
 
 
 ここは、リスタルラーナの首都惑星上にある総合芸術学府、アール・ニィ。留学生、と書いたが、地球でいう大学の概念とはだいぶ異なる。むしろ、規模は全然ちがうが、芸術村、とか呼んだ方がしっくり来るだろう。
 アール・ニィ府民の認定を得た者は、死ぬまで学生であると同時に、入府した瞬間から自分の才能で食べていくことになる。住居とアトリエ、講堂やステージなどは連盟政府から無償で提供されているが、管理運営は自治組織によってであり、自治会費用に食費に被服費、専攻分野の素材や道具類、そういったものはすべて自己負担なうえに、原則として外部からの仕送りは認められていない。自治会に納める学資も稼げない程度の才能なら、やめてしまえ、という、実力主義のリスタルラーナならではの、容謝のない制度である。
 とはいえ、それひとつでは収入につながらない芸、というのも多い。しぜん、複数の人間が集まり、音楽系なら演奏団単位、服飾なら意匠から立体染色までの工房単位で、外貨を獲得することになる。日中の講座時間帯以外の活動だから、地球でいえば学部外の同好会にあたるが、彼らにとってはそれが生活の手段でもある。要するに、アール・ニィ在住の学生は、全員がセミ・プロで  しかも片手間の趣味でもあることが有利に働いて、企業所属の職能集団より、むしろ高水準であることを誇っていたりするのだった。
  そんな共同体が そういった、ひとつの都市全体が芸術業(?)で盛え、種々雑多な共同体が数あるなかでも、とりわけみずぎわだった個性と能力が吹きだまってくる場所というのはやはりできるもので、ここ数年、自治会への納付金トップの記録を更新しているのが、オリ・ケアラン。リスタルラーナの上古語で“史書”を意味する名の、映像集団である。
 
 出資企業との交渉に出向いていた連中が笑いながら室内になだれこんできた。どうやら全面的に条件を呑ませたらしい。もっとも、これまでの5年間で、地球政府の統一に至る歴史を実録もの風に再現したシリーズで大当りをとったという実績がある。多少のわがままなら黙っていても通るというものだ。
 今度の企画は最終戦争伝説。異星文明のリスタルラーナのみならず、地球文化圏の人間にとってこそ、謎と迷信の彼方への好奇心を満足させる作品となるはずだ。
 すでに地球政府の文化庁から協賛と、考古学界の全面協力の約束をとりつけてある。それどころか、早々と、教材としての使用の申し入れが教育庁からあったという。資金源はたいそう潤沢だ。資料探しにも力がはいろうというものである。地球本星の考古史料機構に超時通信でアクセスした端末のすみで料金標示が走っているが……。オリ・ケアランの本部兼作業室は、うわんとうなるように賑やかだった。
 奥まった一角では、続きものに当然なる予定の、全体の構成を定めるべく、脚本担当者たちがかなり混乱した表情でよりあつまっている。
 紙片をかたてに大方のながれを説明しているのは灰色の髪の地球人だ。古文書解読の達人で、何冊も出している訳本のおかげで彼女自身が学資や生活費に困るということは決してないのだが、何故かひきずりこまれて以来、いつのまにか主要メンバーにおさまっている。
 「  で、以上が最後にこれが、今回のタネ本に使えそうな文献の時代と著者なんだけど」
 言葉が切れたとたん、地球公用語でもリスタルランでも形容しがたいような擬音で悲鳴をあげて何人かが机につっぷした。
 「うわあ〜〜、ややこいっ」
 誰が言いだした企画か知らないが、地球考古学界の専門家ですら最終戦争前後の地球史を理解しやすいように説明するというのは困難なのである。それをまず、自分で覚えたうえで、ひとにわかりやすく、かつ面白く、しかも今回は誰か実在人物を主人公に据えての物語形式で脚本を書け……というのが、監督兼総団長からの厳命である。言われた方の苦労ときたら前回までの五作の比ではない。かといって、意地っぱりの負けず嫌いがオリ・ケアランの身上だから、ここで出来ませんなぞと言うくらいなら本課の単位を犠牲にしてでも、期日までに仕上げてのけるに違いない。
 こうなると本末転倒の見本だな。
 歴史考証担当の地球人  サキ・ランという  は、内心で苦笑した。地球式の大学とちがって卒業年限のないアール・ニィだからこそ出来るぜいだくた。
 「とにかく、」
 と、脚本家のなかでもまとめ役の、ひときわ小柄なリスタルラーノが片手をあげて言う。
 「ちょっとマトを絞ろう。ひとくちに最終戦争伝説と言っても、前後100年くらいの幅があるワケだし、舞台の範囲も広すぎる。そのうえ移時空装置なんてモンが出てきてくれた日には  ……」
 「ちょっとサキ、確認しておきたいけど、その超古代文明とやらも地球式の迷信の類と違うの? 時間移動なんてマネは私達リスタルラーナの技術でだって考えもつかないわよ」
 「ところがこれは史実として正確な記録が残ってるんだな」
 「この……なんだっけ、チョウノウリョク? とかいうのも本当に実在したの?」
 「うん、そう。」
 「信じらんない。思っただけで物を動かしたりできる人間の心理描写なんて……どうやって表現しろって……」
 「でも主人公に据えるとしたら、このコがいちばん面白そうじゃない?」
 「ええっ、あたしとしてはコロニスツ成立あたりがやってみたい」
 「時代が早過ぎるよ。そこから始めて一年放映で、どうやって最終期まで……」
  
 
 
 
 「しかしよく地球人類って絶滅しなかったものだね」
 
 
 
 

 俗説
 
 地球第三期文明(いまを第四期とする)
 
 
                 .
 
                            10
 
 リスタルラーナ代表の一人、ケティア・サーク大使は、彼女の個室にと割り当てられた一室で、もう三度めほどの嘆息をついた。
  地球人ときたら、どうしてこうも頭が固いのかしら!!
目の前に置かれた受像機には、延々とあきもせず繰り返される、地球系星間国家連邦政府特殊総会議場の舌戦風景が映し出されている。
今年25歳の女性大使・ケティア・サークは、彼女らを派遣するや否やで自国リスタルラーナ星間国家連盟が会議に費やした時間と税金との事は、都合良く棚の最上段へ放り上げて、ひたすら地球政府の非迅速性に対する批判の言葉を探していた。
会議に慎重を要するのは解る。
なんとは言っても、両種族共に、始めて経験する、宇宙人との接触なのだ。全権大使ともなれば、相手国の会議中に、落ちついていられるわけはない。
 →彼女は手元においた地球産のアルコール飲料を更にたてつづけて2〜3杯、おそろしいスピードで飲みほした。
実はもういい加減に酔っている。

 
 

 派遣するや否や < 派遣するか否か
 と、ジツアネによる校正?が入っているが……
 姉! この時点(中学1〜2年)で既に、
 作文(国語)と作画(デッサン)能力だけは、
 私がアナタを抜いた後だったんだがねっ!! o( ̄^ ̄;)o
 

 
 
 
 
 
 第一部 

 1.浜辺にて 

 開国以来5年、つまり、サキ五歳の初夏。
 ちょうど11歳を迎えたサユリと、母のサエムと、母娘三人は
ごく穏やかに、岬へと向う海岸沿いの遊歩道を散策していた。
金色の木もれ日ごしに青い空、左手にはどこまでも続く白い
まぶしい砂浜。遠浅の海のエメラルド色。
 三人が歩く遊歩道はちょうど浜の終りに沿っていて、やや
砂まじりの赤いひいやりした土の上、左に海、右手に美しい林を
たずさえて、どこまでも歩いてゆくのはなかなか満ちたりた心地
良さがあった。
 岬の鼻へ出るまでは、サキもサキも大人しく母さまの手につながれて
いたのだけれど、

 
 
 901031
 
 リスの地表は地球よりも若干気圧が高いだろう。惑星が大きいので引き止めておく気体の量が地球よりも多く、大気圏は厚く、大気の底である地表の気圧は高くなる。酸素・窒素の割合は地球より若干酸素が少ないのではないかと考えられる。
 重力は絶対に地球より大きい筈なんだが…… そーすると人々の体格は総じて、ずんぐり、むっくり、たくましくなってしまう筈なんだよな。
 リスの近年5000年が宇宙時代だったので、体格に影響が出るのでは? との指摘があったが、それは“宇宙時代”の定義にもよる。地球だって(1990現在)とっくに有人宇宙船は何度も飛ばしているし、太陽系外探査機も送り出していて、宇宙時代たけなわの感があるが、一般の人々には何ら影響は現れていない。(テレビの衛星放送が見れるし、お天気予報で、気象衛星からの映像が見れるが)意識の方は何やら色々変化のある人もいるよーだが、少なくとも体格に関しては。
 骨格に変化が現れるくらいの宇宙時代とゆーと低・高・無重力下で長期暮らす人々が人口の大半を占める、あるいは発生発育段階において宇宙空間(それも、コロニーのよーに地表の環境を可能な限り真似た空間ではなく、いわゆる閉じた宇宙船)で過ごす子供が多いとか、そのくらいになってからの話だろう。
 
 リスはやたら沢山の植民地を持っているかのよーな記述があったが、地表以外、居住空間はみな人工的なコロニーとかドーム都市とかなんだろーか? それともオープンな空間で生活できる程によその“惑星を改造”した実績もあるのか? 筆者は前者程度だと思っているが。
(筆者のリスに関する記述は遭遇から約40年間に時間が絞られている)
 
 どこの世界にも変な奴ってのはいるもんで。遭遇後しばらくは地球人ゴーホームだのリス人の地球侵略を許すな、だの、と言った動きも、だいぶ、あっただろう。
 
 
                .
 
 901026
 
 リスにはエネルギー問題があると昔から言われてきたが、一体、何故だろう。
 また、その本質は何だろう?
 はるばる恒星間宇宙を越えて隣りの文明世界を訪れよーと言うくらいだから科学は大変進んでいるだろう。何か未知の元素を利用した未知のエネルギー源を用いていて、その材料となる元素の供給が不足して来ているのだろうか?
 だがしかし。そんな難しい未知のものに頼らなくても、ちょっと進んだ科学ならば低温核融合を実用化し、採算に乗せ、安価、安全、安定供給の、文句なしのエネルギー源を当然、利用している筈である。
 
 低温核融合とは何か? 水素原子2つをぶつけてHe(ヘリウム)にしてしまい、その時、出て来る、莫大な(水爆の数十倍と言われる)エネルギーを利用しよー、と言う仕組みである。材料となる水素は宇宙で最も普遍的な物質であるし、エネルギー生産のしすぎでヘリウムがどんどん放出されたとしても、誰にも何の害もあるまい。
 設備が老朽化したのだろーか? 人口の増加に設備の増産が追いつかないのか? 運搬施設がうまく作動せず、エネルギー発生源ではあり余っていても人の生活する都市まで運ばれて来ないのだろーか?
 分配が公平に行われないのだろーか?
 エネルギー生産工業で働くロボットがある日、反乱を起こして工場を占拠………… などとは言ってくれるなよ★
 
 物理的には問題のないエネルギー源なのだから(恒星が光るのと同じ原理)、何か人為的なトラブルだと思われる  
 
 ・ 不正が行われた。
  (あり余ってるのに不正してどーするんだ?)
 
 ・ 管理がずさんで事故が起こった。
  (管理はとっくに自動化されてるだろーし……)
 
 ・ 宗教上の理由(リスでは考えられんな……)
 
 ・ 特殊な要求をかかげるグループによって、
   運搬施設の破壊がおこなわれた。
  (成田問題の書きすぎだ、革マル派じゃあるまいし)
 
 ・ 原因不明の精神病が広まり、人々が根拠もなく、
   低温核融合を否定する。
  (ある日突然、電気を忘れよう、たいまつに戻ろう、などと
   全世界が合意する事が、あり得るとは思えない……)
 
 それともリスのエネルギー危機は、なくなったのだろーか?
 ぜひとも詳細を知りたいもんだ。
 
                .
 
 リスタルラーナの原生物層 推論  901019
 
 リスタルラーナの地上世界で支配的な生物は植物であった。
 生物の歴史は古い。進化に充分な時間を持ちながら何故“動物”は上陸を果たさなかったのか? 考えられる主な原因は
 
1 原始生命の発達した暖かい浅海の周囲には大陸がなかった。
  リスの海陸比は 8:2 〜 8.5 : 1.5 。
  陸地は切れ切れな列島として中高緯度地方に分布し、“動物”
  達は陸地に巡り会わなかったので上陸のチャンスがなかった。
  (では何故、植物は“上陸”したのか?)
  光合成のため、少しでも明るい方へと進むからだろーか?
 
2 リスの主恒星はソルよりも高温、青白色で、発する紫外線の量も
  多く、生物は長い間、安全な水中を離れられなかった。
  オゾン層の形成が遅かった。
  (何故か? 酸素を大量に消費する原因があったのだろうか?)
  バンアレン帯の形成が遅かったのかも? 金属比が小さくて?
 
3 広大な海があったので上陸する必要がなかった。
  生物の生活圏は海中だけで充分だった。
 
4 地球のような外的要因による大絶滅(古生代、中生代の終わりの
  大隕石の衝突と環境破壊)がなかったので、生物の進化の
  スピードが遅かった。
  (何故なかったのだろう? すぐ外側に木星型の大型惑星XIIIが
   回っていたからだろーか?)
 
 何故、植物は大いに発達したか? 意志を持つ樹は可能か?
 進化の方向  より強く、より効率良く、
 
(1)種子の発芽率を高める。
   種子数を減らし、充分な養分を持たせる。
 
(2)共同体意識。
   森全体が調和しながら生長できるよう、知覚能力を持つ。
 
(3)反応の早さ。日光の方へ枝を伸ばす早さ。根を下ろす早さ。
 
(4)移動能力。現行の根を自ら見捨て、外へ外へ根を伸ばして
   行けば、森全体が数ヶ月で移動できる。
 
(5)地力の温存。土を消耗させ尽くさない、移動森林。
   自ら放牧する森。
 
(6)水の確保。海水をろ過しうる根毛細胞。
 
(7)受精の効率up。1つの樹が発達し広大な地域を占めれば、
   他樹との受精のチャンスが減る。
 
(8)森の中の最も条件の良い地域で種子の発芽・生育を守る。
   “育児行為”
 
 
 
              .
 
リスタルラーナの恒星系雑談     901019
 
彼らはきっと太陽に名前を持っているだろうから、その名前でその星系を呼ぶだろう。
恒星は、我々の太陽(ソル)よりも質量も温度も高く、見た目はやや青白い。ソルの約25倍のエネルギーを放散する。
惑星は全部で14〜15(不詳)。うち惑星リスタルラーナは内側から7つめ。内側から見て、?、?、?は質量も小さく、気体を持たず、岩石と重金属ばかりの、水星タイプ。衛星は小さく、0〜3個。?、?、?、?は質量がやや大きく、金属、岩石、気体から成り、?(リスタルラーナ)には大量の液体H2Oが、?には少量の気体H2Oが見られる。
それぞれ数個の小さな衛星を持つ。(リスに月はあるはず)なくてもいーや。
?、?、?、XIは、大量の気体(H2、He、N2、NH3等)から成る、木星型巨大惑星。多数の衛星を持つ。特に?、?、XIが大きい。
XII以降は質量はやや小さく、極低温の、天王星型惑星。
 
地球の半径 = 約 6376km
リスタルラーナ=約10000km〜12000km 地球の2倍弱
        表面積は地球の2.45〜3.54倍
恒星からの距離=地球−太陽間の約5倍(5AV)
公転周期  = 約10〜13地球年に相当 詳細別表
ヴァン・アレン帯を持つ    内部に熔解した鉄を持ち、
               速く自転するから。
 
                   A.U.
 ?      0     4    0.4
 ?、?、   3     7    0.7
 ?      6    10    1.0
 ?     12    16    1.6
 ?     24    28    2.8
*?     48    52    5.2
 ?     96   100   10.0
 ?    192   196   19.6
 ?    384   390   39.0
 XI   768   772   77.2
 XII  1536  1540  154.0

?、?、は公転軌道が極めて近接し、L4、L5でバランスを保つ。
小惑星群あり。
(※恒星〜惑星?、惑星?、小惑星が、ほぼ同一軌道の
  ラグランジュポイント?上に並んでいる配置図あり)
 
14の2乗=196
17の2乗=289
 
表面積=直径の2乗に比例
    半径
体積は 直径の3乗に比例
 
リス主恒星の発するエネルギー、ソルの約25倍
 
 

 別表
 
 VII (リスタルラーナ) 公転周期 試算
 
 公転半径(AU) 公転周期(地球年相当)
   4.5     9.55
   4.9    10.85
   5.0    11.18
   5.1    11.52
 * 5.2    11.86
   5.3    12.20
   5.4    12.55
   5.5    12.90
 
 この範囲内の値が可能。
 *が最もバランスのとれた自然な状態。
 異論がなければこの線で。
 
 

 ……異論も何も…… A^-^;)
 姉! 自分は1歳年上(2学年上)の上に
 大学では地学専攻しやがった根っからの「天文好き」だろーが!
 私は中学の数IIで赤ザブトン、
 高校の物理で赤点とった人間なんだっ★
 
 何が書いてあるんだかも、さっぱり(未だに)解りません!!
 
 (^◇^;)(-_-;)(^◇^;)(-_-;)(^◇^;)(-_-;)(^◇^;)(-_-;)”


 

   眼             髪
地球 黒、茶、青、(緑)(灰) (白)(銀)金、茶、黒(赤)
リス 
ジス 金、緑、紫、(青)    (黄)(オレンジ)赤、紫、青

 

 最初リスタルラーナではふくれあがる人口が余増する度にどうしようもなくて移民船を一隻づつ無計画に送り出すだけで、他の星でも次第にそうなって行ったが、相互の連絡星は非常にき薄だった。
 連明の大元が作られたのはリラクとリスラレルが発見されたからで、エネルギー供給の調節機関がそれ。
 500年程前のことである。

 

 サキは頬を濡らすのが涙なのか波のしぶきなのかもわからないまま、だれかが寝着の上にそっとコートをかけてくれるまでただじっと眼を閉じて空を向いていた。
「帰ろう」
 聞きなれたレイの声が静かにひびいた。

 

 グレートG
   vs
 抗ESP同盟 =・連盟内閣総監
         ・保安局長マリア,コルディ
         ・科学技術庁長官

 

 キャプテン・ディーン
 サンデラ星国自衛軍のがんこ一徹な艦長、ある戦役で片腕だった副長をなくして以来、がんとして代わりの人材をうけつけようとしない。が、対帝国紛争の際に、うけ入れるか首かと脅されて特別士官3名(サキと      )押し付けられた。

 

 宙暦16年=リスタルラーナ暦2654年
 公転周期405日、1月5週間で10ヶ月、1週18日。
 分散した5日は無曜日で休日である。
 四季は二ヶ月半制
 二季制・春と秋。
 新年の祭りは収穫祭週間の最後の日。

うそだろ☆私は春分の日を考えたのに」なる実姉のコメント書き込んであり。……某MIXIコミュ関係者にしか解らないハナシで恐縮だが…………………………
 私が「共同創作者」を振り落とすイキオイで、勝手な設定をどんどん膨らませて行くのは……………………
 この頃からの習性(?)なので、もはや修正は不可能☆★(^◇^;)

 

 
 ◎ 地球の(基本)教育制度
 
 家庭習得課程(幼児課、3〜5歳)(※1)
  − 初等課( 6〜11歳)
  − 基本課(12〜14歳)(※2)
  − 中等課(15〜16歳)(※3)
 
  ※ 17の歳には公民権を得て社会勉強をしてくる義務がある。
 
  − 高等課(18〜19歳)(※4)
  −   → (間にもなにか)
  − 生涯教育センター
  − 教育科学文化院(※5)
 

(※1)例外的な飛び級制度。S.C.(スペシャルチャイルド)は
    政府直轄の、より高度な教育機関へ移される。
 
(※2)例外的に有資格者による実地指導教育。通信制の義務あり。
 
(※3)就職者向けの専門分野実習課(インターン)もある。
 
(※4)義務教育ではなくなり、研究室や教師を目指す者がくる。
 
(※5)研究者のエリートコース、高等課の教師。


……なんで自分が中学1〜2年生のくせして、
こんなもん考えてるんだろうな………… ??(^◇^;)??

 
 

 
 S.C. → スペシャル・チャイルド
 
 政府の知能チェックで最高教育府へ送られる子供たちの総称。
 エスパッションスクールはずっと時間がたったあと、ファーツアロウやS.S.S、朝日ヶ森、生涯教育センター(アールニー)、などと統一されて、リステラス星界の最高教育府(ステラの母校の先祖)になる。

 

 
 「サキ! サキじゃないか!?」
 「……セイ!」
 「……でも、よくわかったね、わたしだって」
 「何言ってんだ、おまえ有名人だろーが」
 「へえ〜……、そうなの?」
 「おいおいっっ」
 

 

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