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5-2-1-1 『ありえる・たうん』
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5-2-1-1 『ありえる・たうん』
(エンタテインメント小説部門)
題名・ ありえるたうん
筆名・ 土岐真扉(とき・まさと)
本名・ ************
住所・ ************
電話・ ************
学歴・ 横浜市立桜丘高等学校・卒(?)
(登校拒否で中退スレスレの出席日数でした★)
職業・ 流しのワープロ打ちこと人材派遣員。
あるいは怪しげな、タロット占い師。
またはたんなるプーとも、いう。
筆歴・ ネタと、書き損じの原稿なら山ほど
年齢・ 三〇歳(なにをやっているんだろう、このトシで……)
(ありえるたうん・梗概)(あらすじ)
一、 まちとの遭遇
あるはずのない架空のまち・良野(おおの)。
古代から語り継がれる白鳥天人(しらとりてんにん)の伝説に、
明治時代の洋風文化がふしぎにマッチした、奇妙な町並み。
山奥のくせに外来者(そとくもん)に開放的な、お祭気質のこのまちに、
父親の仕事の都合で磯原兄弟は引っ越してきた。
もといた横浜ではイジメにあって登校拒否
だった末っ子の清(きよし)も、ひとなつこい良野者の
友人たちに可愛がられて、いつのまにか中学校に馴染んでいった。
二、 十三さいの禁ようび
このまちに伝わる色々なシキタリのなかに
<御々十三斎>(ごみそみそぎ)というのがある。
もっとも古い九家と、
その血縁(ちながり)の八十一家(やそかみや)の
子供たちは、九歳から始めて九ヶ月ごとの十三回、
岩屋に篭もって良野の口伝を習うというやつだ。
前回の〈斎〉(そぎ)の日に、相撲部の試合出場を
優先してしまった出来良(できら)家の三男坊は、
罰として一年遅れの衆(組)に落第(いそぎ)することになり、
同い歳の従兄弟にバカにされてしまった。
「〜こうなったら自力で秘密を探る!」と、
叫んだ出来良の友人一同(含む磯原清)は、
夏休み返上で謎解きに協力するハメになった。
聖域をまもる注連護衆(しめごし)に掟破りがバレたら、
大変なんだけど……。
三、 E.T.〜外から来たもの〜
戦国期には隠れ里とも呼ばれた山深い良野に、
開発という時代の波がよせてくる。
良野を細切れにしようとする杉谷産業は、
もとは八十一家の一員だった裏切り者が経営する企業だ。
勝手に測量や基礎工事を進め、開発反対派の市民運動や、
政治家や有力者をまきこんでの
注連護衆(しめごし)たちの攻防が、水面下で続く。
そんな中、杉谷産業の社長の息子であり、
それを理由に〈斎〉から村八分(そぎのけ)にされている
杉谷好一(すぎたに・こういち)は、
やはり自力で〈良野間道〉(おおのはざまみち)伝承の
謎を解くべく、マイペースで行動していた。
四、 はてしのない街道(Never Ending Street)
結局、出来良たちのモクロミは、注連護衆(しめごし)からの
厳重注意をくらって挫折した。
ひとり、「俺は良野者(のもん)じゃないから、
罰とか関係ないもんね〜」と探索を続けた清も、
山中の洞窟までの急坂で、侵入者よけの 罠(トラップ)にハマり、
体力がつきてダウン。
気絶している清を偶然ひろって、仕方なく肩にかついだ
杉谷が、良野の〈神座〉(かあざ)である〈はざま杜〉の
洞窟で見つけたものは……。
数万年の昔から地球に隣接している異世界
〈誰夢明日〉(ダィレムアース)の首府へと続く、
今は使われていない神代の通廊だった……。
……ただ、それだけの話です。
題名・ ありえるたうん
筆名・ 土岐真扉(とき・まさと)
本名・ ************
住所・ ************
電話・ ************
学歴・ 横浜市立桜丘高等学校・卒(?)
(登校拒否で中退スレスレの出席日数でした★)
職業・ 流しのワープロ打ちこと人材派遣員。
あるいは怪しげな、タロット占い師。
またはたんなるプーとも、いう。
筆歴・ ネタと、書き損じの原稿なら山ほど
年齢・ 三〇歳(なにをやっているんだろう、このトシで……)
(ありえるたうん・梗概)(あらすじ)
一、 まちとの遭遇
あるはずのない架空のまち・良野(おおの)。
古代から語り継がれる白鳥天人(しらとりてんにん)の伝説に、
明治時代の洋風文化がふしぎにマッチした、奇妙な町並み。
山奥のくせに外来者(そとくもん)に開放的な、お祭気質のこのまちに、
父親の仕事の都合で磯原兄弟は引っ越してきた。
もといた横浜ではイジメにあって登校拒否
だった末っ子の清(きよし)も、ひとなつこい良野者の
友人たちに可愛がられて、いつのまにか中学校に馴染んでいった。
二、 十三さいの禁ようび
このまちに伝わる色々なシキタリのなかに
<御々十三斎>(ごみそみそぎ)というのがある。
もっとも古い九家と、
その血縁(ちながり)の八十一家(やそかみや)の
子供たちは、九歳から始めて九ヶ月ごとの十三回、
岩屋に篭もって良野の口伝を習うというやつだ。
前回の〈斎〉(そぎ)の日に、相撲部の試合出場を
優先してしまった出来良(できら)家の三男坊は、
罰として一年遅れの衆(組)に落第(いそぎ)することになり、
同い歳の従兄弟にバカにされてしまった。
「〜こうなったら自力で秘密を探る!」と、
叫んだ出来良の友人一同(含む磯原清)は、
夏休み返上で謎解きに協力するハメになった。
聖域をまもる注連護衆(しめごし)に掟破りがバレたら、
大変なんだけど……。
三、 E.T.〜外から来たもの〜
戦国期には隠れ里とも呼ばれた山深い良野に、
開発という時代の波がよせてくる。
良野を細切れにしようとする杉谷産業は、
もとは八十一家の一員だった裏切り者が経営する企業だ。
勝手に測量や基礎工事を進め、開発反対派の市民運動や、
政治家や有力者をまきこんでの
注連護衆(しめごし)たちの攻防が、水面下で続く。
そんな中、杉谷産業の社長の息子であり、
それを理由に〈斎〉から村八分(そぎのけ)にされている
杉谷好一(すぎたに・こういち)は、
やはり自力で〈良野間道〉(おおのはざまみち)伝承の
謎を解くべく、マイペースで行動していた。
四、 はてしのない街道(Never Ending Street)
結局、出来良たちのモクロミは、注連護衆(しめごし)からの
厳重注意をくらって挫折した。
ひとり、「俺は良野者(のもん)じゃないから、
罰とか関係ないもんね〜」と探索を続けた清も、
山中の洞窟までの急坂で、侵入者よけの 罠(トラップ)にハマり、
体力がつきてダウン。
気絶している清を偶然ひろって、仕方なく肩にかついだ
杉谷が、良野の〈神座〉(かあざ)である〈はざま杜〉の
洞窟で見つけたものは……。
数万年の昔から地球に隣接している異世界
〈誰夢明日〉(ダィレムアース)の首府へと続く、
今は使われていない神代の通廊だった……。
……ただ、それだけの話です。
『 らくがき 』 (@派遣先の裏紙/JT長岡分岐〜RT長岡 w )
2006年8月31日 連載(2周目・善野物語ほか)いつものように学校へ出かけたはずの清が2時間も路上でうずくまっていたと、近所のおばさんにつれられて帰ってきた。
ぐしゃぐしゃに泣いたあとがあって、けれど理由は言わない。
放課後、心配してとんできた担任と母にむかって「もう限界」という言葉で、おとなしくて感受性の強い小学校4年生は、自分の状態を説明したそうだ。
「学校へ行きたいし、行かなくちゃいけないと思うけど、もうどうしても行かれない」と。
そうして、からだはやっと丈夫になって、ようやく普通の子と同じ暮らしができるか……と思われていた清の、こんどは「登校拒否」との闘病生活が、はじまってしまったのだ。
(☆清クンの1歳半ぐらいと11歳くらいのイラストと、
ユミちゃん(清のGF)12歳ぐらいのイラストと、
好(ユミちゃんの兄で清の親友?)イラストも、
シャーペン描きで、あるのですが、
お見せできないのが……以下略w)
狷介
剣呑
喧嘩
嫌悪
険悪
好が動く理由。
onlyユミ、キヨ、会田さん、あとエイミ。
父親だとシチュエイションによっては動かない
母親ならかなり無条件。
ユミちゃんは好に守られてるのを知っているから
無理なことはしないが、
キヨくんは自覚がないので
おかまいなし、
会田さんは苦笑い。
『 まえがき 』 (1991.03.06.(水)〜03.10(日))
2006年8月31日 連載(2周目・善野物語ほか)この話を書いたのは、正確には僕のいちばん下のおとうとの清なのだけれど、まあ誤字脱字のあらしの一人称手紙文を構成しなおしてワープロで打ったのは僕だし、大学のサークル誌に中坊の作文が載るのも妙な具合だし、弟にはあらかじめ話をつけて、夏休みのプール3回・昼食とアイス付き、という条件で著作権はぶんどってあるので、とりあえず僕のノルマ分としてページを埋めるのを許してほしいと思う。
弟から毎日のように送ってくる日記がわりの手紙の内容の、本題にはいるまえに少しぼくら兄弟のことを説明しなくちゃいけない。
問題の末っ子、清には、「混血(ハーフ)」の「美少年」(マジで)のうえに「病弱」という、絵に描きたいようなオマケがついた。
ほんの赤ん坊のころから、誰がみても「まあ可愛らしいお嬢さんね」とほめちぎる、ぱっちりした目とくるくるの天パーあたま。客がくれば母親のスカートにかくれる人見知りの気性といい、なにかといえば熱を出して「かかりつけのお医者さま」の往診をお願いする体質といい……。
ずっと女の子がほしくて息子ばかり五人も持ってしまった母さんが、ついつい一人娘を育てるように手をかけて、かけすぎてしまったのがまずかったか知れない。まして上に四人もけんかの達者な兄がゴロゴロしていれば、蝶よ花よとまではいかないものの、すっかり猫かわいがりのお座敷むすこになってしまう。
三つ四つになる頃には、
そんな清が幼稚園で、ほかの女の子がいじめられてるのを助けようとして、かわりに十二月の薄氷の池のなかへ突き落とされた、
僕ら兄弟の父親は、若い頃かなり高名なカメラマンで、そのおかげで外国で死にかけたときに
とうぜん、何かと事情のある末息子もそこのお世話になろうというのが両親の計画ではあったのだけど、肝心の受験日に40度近い高熱で、池に落ちた幼稚園児は集中治療室にいたのだ。それにたぶん、退院しても片道30分の朝のバス通学は体力的に無理でしょうという医師の言葉もあって、清はひとり、歩いて10分の近所の小学校への入学手続きが決まった。
ところで、入院したのが年の瀬で、何度も悪化したせいでいろいろ併発し、退院は梅雨あけどき、通学を許可されたのは七月もなかばになって、夏休みまでの数日間、ためしに、ということだった。
ピッカピカの新一年生がランドセルもしょいなれて、すっかり仲よしのグループも固まり、プールだ花火だとはしゃいでいるところへ、「からだが弱くてみんなとは遊べない」という、ひとみしりの子供が、おずおずと数日まぎれこんでいたところで、しかも男の子というのに、ものすごくかわいい顔だちながら、肌の色濃い、ちがう外見をしているとなれば、遠まきにじろじろと見物されるのが関の山で、とうてい仲間になんか入れてもらえない。しかも、学校になじむ間もなく始まった夏休みのあいだじゅう、プールにも参加できずに家の敷地のなかだけで過した清が二学期の始業式に出た頃には、もの珍しさだけはすでに薄れてしまい、「ああ、そんな子もいたっけね」程度の扱いで…………。
からだがほんとうに弱くて週に3日は休む、という末っ子が、それでも熱のない日には律気に時間割をそろえて静かに登校しているので、学校も違って内情のわからない僕たちは、せめて授業に遅れることはないように、と、せっせと交替で勉強をみてやった。これも、愛情から出た逆効果で、進学率の良さで知られる名門私立校の、しかも兄弟同士の暗黙の競争意識で学年での席次を10番と下らずせりあっているような兄貴たちは……自分の感覚でふつうの小学生を、「おちこぼれ」ないよう、教育したのである。
清の持ちかえってくるテストはほとんど100点とか98点だった。たまに間違えて80点などあろうものなら、一生懸命みんなでなぐさめて、どこが解らないのかとことん調べてやって。(公立小の低学年のクラス平均なんて60とればいい方だ、なんて、僕らは気付かなかったのだ)。
おもえば当時から、父は、片脚を失ってカメラを手離して以来、自分が私立中学の英語教師として勤めている……早い話がぼくの担任だった……こともあって、そこまでする必要はないんだと、何度も僕たちをいさめていたのだけれど。
自分が高校受験の体勢にはいってカリカリしていた僕は、からだが弱いからといって成績まで悪くなったら可哀相じゃないか、と、ムキになて反論したことがあるのを覚えている。
そんなわけで。
あまり学校に来ず、いてもだれとも遊ばず、まちがっても昼休みのドッヂボールに参加したりはしないで、学級文庫のまえでおとなしく本を読んでいるか、あれいないなと気付くと保健室で寝ていたり、ガイコクジンの母親が迎えに来て帰ってしまったあとだったり……そうでなくても「ゼンソクにわるい」とかでホコリのたつお掃除の時間を免除されていて、みんなより早い時間に、いつも消えてしまう。
(だから、このクラスだけ、HRをしてから掃除になるのだ)。
そのくせ、テストの成績はやたらによくてしょっちゅう先生にほめられ、授業中だけは兄貴たちのお仕込みよろしく積極的に手をあげて、しかもよくあてられる、とくれば…………。
今となっては、僕は、清をいじめた子たちを責められないとは、思う。
そう。学年があがり、からだのほうは段々と丈夫になるのに反比例して、清はいじめられっ子にされたのだ。それも、へたをして「発作」をおこしたら困る、という程度の知恵は小学校も3年、4年となってくるとまわるようになるから、殴る蹴るよりもっと陰湿な、「言葉の暴力」というやつでもって。
「ガイジン」
「ちゃいろ」
「キタナイ」
それが、いちばんよく使われた単語だと、あとで書かれたクラスの反省文集で、僕らは知った。
僕らもしょっちゅう、言われた。言われるたびに殴りかえして、とっくみあいで相手を泣かして、とうとう誰も何も言わなくなるまで、喧嘩をしつづけたし、それは言ったほうが悪いとさとしてHRをひらいてくれる、先生たちのサポートの期待できる学校だった。そうでなくても僕ら、うえの四人は全員、頑として、絶対に譲らなかったと思うが。
清は、ひとことも、だれにもなにも告げ口しなかったのだ。
本当に、ことが発覚するまで、僕らは、両親も教師も含めて、ただ清を「甘えんぼうの、口数のすくない、内弁慶で、からだの弱い」としか、見ていなかったと思う。
しょっちゅう、何ヶ月も何週間もの入院生活だとか、苦い薬や痛い注射や、今度こそ危ないかというほどの喘息の発作を繰り返しながら、けれど泣き言や、まわりを本気で困らせるようなワガママを、そういえば決して口にしない子だったと、ずいぶん遅くなってしまってから、はたっと気がついたのだ。
プールで泳ぐのは喘息にいい、というのは定説だそうだけど、プール開きになる前まで
夏休みの泊まりがけの臨海教室に、清は始めて参加した。出がけに気のすすまないふうにしているのを、発作が起こるのを心配しているのかと、僕らは励ましたのだったけれど……。
その時、なにがあったのか詳しいことは知らない。清はけして言わないし、反省文集のなかでも、多くは書かれていない。朝になったら廊下で布団もなく泣き寝入りしていたと、担任が一日早く連れ帰ってきたときにはすでに高熱を発してフラフラで、そのまま夏休みの残りを、また病院で過ごした。
二学期。自家中毒の症状がはじまり、幾度も吐いた。喘息はほとんどよくなっているのに、原因不明の熱が出たりして、学校を休む日が続いた。
本当に病気のあいだは、一度も学校へ行けないのを苦にする様子を見せなかった清が、朝、母が欠席の電話をかける度に泣き笑いの顔をして、ひどく自分を責める風で、ふさぎこみ、落ち込み。
ようやく、何かがおかしいと両親と担任が連絡をとりはじめた頃、
大野は、行政上では加賀県の最南端にあたり、地形・交通の便からいえば、長野の北西端になる。
市に昇格したのは割合さいきんだが、江戸期には小なりといえど歴とした独立したひとつの藩であり、大政奉還以来も、明治から緑慶の時代に至るまで、
一、
ひゅーると鳴きながらとんびが円をかく。
寝転がって見る晩夏の天はいっそ眩しくて暗いほどだ。緑深い杉の斜面が鋭角的に空に切れこんでいる。
「こーあらっ」
呼ぶ声に子供は飛び起きた。
「こあらじゃないやい!」
ベランダ越しに叫びかえしてドダダと階段を駆け降りる。
「幾時に帰るの」
母が尋ねる頃には白いバッシュで門扉を開けている。
「わかんなーい」
けんけんで靴を直すのに、もたれかかる表札には磯原とある。
末男 清(キヨシ)
そう書いてあるのが、子供の名前。
中学一年であるから、少年と言った方が正しいかも知れない。
けれどクラスで一番のチビ。
泣き虫で、喧嘩早くて、甘ったれ。
誰かれ構わず背中に抱きつく癖があるのと、中近東との混血でココア色の肌をしている所為でか、よく似たオンブにダッコの動物の、渾名(あだな)を付けられた。
本人は、男の子であるので、可愛い(かわいい)という世間の評価には抵抗している。
もっとも両親はたいそう喜んだのだ。この大野市に越して来る前、末っ子は、同じ肌の色が原因で、学校でいじめに遭っていた……。
「お待たっ」
かつての登校拒否児が元気に家の角を曲がると、すっかり慣染みになったいつもの面子が待っている。
出来良 了(できら・りょう)
高橋 博文(たかはし・ひろふみ)
七木 千 (しちき・せん)
横河 雄治(よこかわ・ゆうじ)
市立二中の一年三組、いつでも騒ぎの中心(もと)になるグループだ。
「おう、行くぜ」
親分らしく出来良が顎をしゃくる。身軽に歩きだすのは千(せん)が最初だ。
「おまえ、帽子は?」
顔をしかめてすぐ怒るのはクラス委員の高橋。
「あ、忘れた」
「おばさーん、コアラの帽子ー!!」
生け垣から乗り出して雄治(ゆーじ)がどなるのは、新来の都会っ子がまた貧血になるのを心配してと言うよりは、単におばさんのファンなのだ。
「先、行くぞー」
じれて千が叫べば、肝心の清がとっとと駆け出して行く。
「おまえなあっ」
高橋は腕をふりまわして追いかけた。プロレスのしめ技のふたつも試しているうち、雄治が野球帽を持って学年一の俊足で合流する。
夏休みは残り少ない。
スパイ活動をするとなればなおさらだ。
住宅街のはずれからは小川をはさんで裏山で、雑木林のなかを三十分も走りあがれば見事な杉の植栽された林業地帯になる。
『 (下書き) 』 (時期不詳)
2006年8月30日 連載(2周目・善野物語ほか)「それじゃ、お願いね!」
洗いものを片づけた手ですばやく頭巾とエプロンをはずし、玄関のわきで姿見をあらためながら彼女は云った。
五人もの子供を育てたとはとても思えない若々しい細身で、ながい指が器用に、腰まである金褐色の巻き毛をくるくると編み込みにしていく。
ココアクリームの色の肌。……母は、異国の女性(ひと)だ。
「all right。そっちも頑張って」
自家製ライ麦パンを消化しながら手をふると、飛び出していく寸前に、
「もちろんよ!」
笑う。彼女は今日から出勤だ。子育ての終ったこの時期に、適職が見つかって嬉しくないはずがない。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「さて、と……」
いつも通り、きっちり清潔に片付けられた窓の広い台所をみまわし、おれは自分の皿をシンクの洗いおけに沈めた。
父はとうに出掛けたあとである。
問題が、あとひとり残っていた。
どこまで外国問題>現代日本のふつーの感覚に準じる。
「大野の特徴」入れるの?>(のどかで人なつこい地方都市)
○ 暮らしていくことの幸福の証明。
○ ママ・マリ出掛ける。
○ 台所
○ 引っ越し
○ 父はとうに出掛けた
○ あとひとり問題が
○ うちの兄弟全員がおれを含めて重度のマザコンなのは
ママ・マリが本当にすごい女性なのだから仕方がない
として、それにしても末っ子の清は……
『桜の日 …… 転校初日は3日目』 (@平成元年?)
2006年8月30日 連載(2周目・善野物語ほか) コメント (1)桜の日 …… 転校初日は3日目
蛍の夕
祭の夜
雪の朝
ミーニエ・ブランチェスカ = 岳人 =?=
・マリセ・磯原 (B)| (AB) |
| |
−−−−−−−−−− |
| | | | |
広 高 厚 清 秀
A AB B AB A
21歳 18歳 14歳 11歳 17歳
☆ 大野を"理想郷"にするために必要不可欠なもの。
○ 多国籍人・混血児 …… 杉谷良、磯原家、他
○ 在日朝鮮人(II〜III世)
→ 李 順子(い・すんじゃ)はクラス委員、生物部長
○ 身障者 …… (障害児のための養護施設にマリセ夫人つとめる。
ただし、国籍の点でパートの扱い。)
○ 身よりのないお年寄り
○ エコロジスト(本当の)
○ 疑問や信念をもってしまった中高生。
…… こんな人たちが幸せでなければ
大野はなりたたない。
もちろん、企業戦士の権謀術数、なんてものが しょせん学校生活しか知らない親のスネかじりにまともに再現できるはずはないんだし、ウソくさいとか、ホントはこんなじゃないとかいう批評は、わざわざ送ってくれなくても、いいからね。
最後の最後になったけれども、推敲と取材を手伝ってくれ、わざわざスケッチ旅行に出かけてまでイラストを描いてくれた琴音まき子嬢に、感謝をこめて。
緑慶……年(西暦20……年)……月……日
磯原 広
解説:
えー、この本は、K大文芸サークル会誌「 」の 号〜 号にのった……。
けっこうモテるわりには特定の女性に興味を示す風でもなく、周囲をやきもきさせていた氏は、ある日、超絶美人の新入生を部室にエスコートして来たかと思うと、こともあろうに「婚約者」といって皆に紹介したのである。(ばぁかやろ〜ぉ)
大学のサークル誌とはいえ、こんなことばっか書いている氏は、いつか情警(※)にとっつかまるにちがいないとあたりをハラハラさせているのだが、実のところ小生も同意見なので……
……と言うと、エラそうに説教たれたうえに、先生おちついて
「大丈夫。あいつの方が先に、とっつかまるから」
……あんな美女が情警なんぞにつかまって××されるなんて……
なんでこんな時代に生まれたんだろうなぁと嘆きつつ。
(※情警(じょうけー)=情報警備部)
Sugitani
Ezaki
Vivid
Evance, Sesil
Non-Queng-Hallu
Tais
Hi-quolity
= 七福神財団 =
……大野大祭始末記……『祭!』
○ まえがき by 磯原 広
1.レイライン探検隊
『 (無題) 』 (@派遣先の昼休みor仕事中……??)
2006年8月25日 連載(2周目・善野物語ほか) コメント (4)この話を書いたのは、正確には、僕のいちばん下のおとうとの清なのだけれど、まあ誤字脱字のあらしの一人称手紙文を整理してワープロで打ったのは僕だし、
弟から毎日のように送ってくる手紙の内容の、本題にはいるまえに少しぼくら兄弟のことを説明しないといけない。
ぼく、磯原広(いそはら・ひろし)を筆頭に、高、透、厚、と続いてしんがりが清という男ばっかりの五人で、母が異国から嫁いで来たひとなので、みんなそろって世間一般の日本人とはちょっと違った外見をしている。
基本的には僕を見てくれればわかる通り、すこし浅黒くてホリが深め、目と髪がまっくろで天パーで……というパターンだ。
古今を問わず「まわりとちがう子供」というのはえてして仲間はずれというか、まあイジメの対象にされてしまいやすい訳で、僕らもごたぶんにもれない例だったが、幸か不幸か並よりはちょっといい頭と運動神経は
のこる五分の二のうちまんなかっ子の透に関しては、こいつには
話がそれた。
問題の末っ子、清には、「混血の美少年」(
超古代文明(エルシャムリア)の月面遺跡、なんていうハタ迷惑なものがあって、こいつには時空移動装置がついている。過去も未来も、行けちゃう行かれるうえに、パラレルワールドなんてやっかいなものにも勝手に御招待してくれちゃうという、ひとの都合をてんから無視した母思考機械に牛耳られていて、すべての世界はこいつの外ではなくて、こいつの "内側" に存在しているらしい。
『 大野大祭 』コンセプト (1991.03.13.)
2006年8月23日 連載(2周目・善野物語ほか) コメント (1)☆『大野大祭』コンセプト 善し祀(おおしまつり)
<あらすじ>
大野という片田舎のまちがあって、埋もれた観光資源としてSEVENTHグループに目をつけられるが、「ふつうの暮らし」をこわされるのを嫌ったみんなで撃退してしまう、という話。主役は大野という土地柄そのものである。
祭! …… 大野大祭始末記 …… 善野大祀(おおのおおまつり)
「なにのどけたこといってんのよ里方は〜。
山方はいま大変じゃない。
一中とこなんか生物部でしめはりしよるって」
開店のためのお金がいるので、賞金狙いのできる形にする。
文学もしくは "仮想" 小説だが、できれば "若向けの読み物"にする。
あっかるい♪面をおしだして、深刻(シリアス)ではあっても
暗黒(ダーク)ではない話にする。
>( seventh側やダークサイドは大祭異聞としてまとめる?)
<あらすじ>
大野という片田舎のまちがあって、埋もれた観光資源としてSEVENTHグループに目をつけられるが、「ふつうの暮らし」をこわされるのを嫌ったみんなで撃退してしまう、という話。主役は大野という土地柄そのものである。
こんな町がほんとうにあるんだよと言ったら大抵のひとはまさかと笑うだろう。
いまどきの日本に、おとぎ話は似合わない。
そうそう都合のいいことがあるわけはない……と。
あるいは、
「小説家になれますね」と
誉めてくれてしまう人もいるかもしれない。
だけどこれはぼくの両親と弟たちが住んでいる
実在の場所で起こったことなのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大野市立第二中学(いちりつにちゅう)の職員室の、一年担当の一角で、「またあの、いつもの連中が」と、苦笑まじりで言われる時は、二組の四人のことである。
祭! …… 大野大祭始末記 …… 善野大祀(おおのおおまつり)
「なにのどけ
山方はいま大変じゃない。
一中とこなんか生物部でしめはりしよるって」
山合いをぬう一筋の清流を、囲むかたちで発達した盆地の、特産は木材に炭、草の実で染めた手織りの絹布。
気性の荒い木挽きの野郎衆、情の細やかな桑摘みの女たち。
戦乱の世も年貢の苦しみも、知らぬげに生き続けるこの小さな山国を、代々の在の者たちは "善き野(おおの)" と呼んだ。
……やがて、馬子の通った川沿いの山道にはじめての鉄路がはしり汽笛がひびき、いつかまたディーゼルへ、電車へと移ろいゆく足早な時節のなかを……
たゆまずに伝えられる、この野にはひとつの心があった。
『 (高橋豆腐店の間取り図) 』 (日付不詳)
2006年8月21日 連載(2周目・善野物語ほか) コメント (1)
___裏口______
| | ||便|風| | |
| |八百屋 ||所|呂| | 倉庫 |
|商|3Fだて || 台 |____ |
| | || 所 階 | |
| | 花 屋 ||居間 段 | 店 |
|店|2Fだて ||6畳 | |
| |____」 ___|_入り口_レジ」
| ________________
|街| |木 の 塀
| | 肉 屋 |
| | | 料 亭
高橋豆腐店
木造。築100年近い。
床(たたき)はセメント、
水まわりはステンレスにかえてあるが。
2Fに姉弟の部屋と仏間(もとおばあちゃんの部屋)と
屋根裏がある。
『 ちょっと哀しい恋の顛末 』 by 磯原 広
どうやら好きなコがいたらしい。
高橋博文、中学三年、昔ながらの手造り豆腐屋の、当節家計は苦しいなかで、突然、私立高校に行きたいと言いだして両親を慌てさせた。
女子の商業、男子の高専、そのほかには、この街には高校は二つしかないわけだから、県立の清風高校を受験するものとばかり、家族も、学校側も、思っていたのだが。
大野学園は試験がむずかしい。
それ以上に、高い学費と寄附金の支払いが、下町の豆腐屋には難しかった。
しっかり者の姉は、店を継ぐと自分で決めて以来、商業高校の調理科に通いながら、朝晩の豆の仕込みを手伝っている。
その、姉貴が、店に出す豆腐ハンバーグをまるめながら、行かせてやればと、かるく言った。
ひろちゃんの学費くらい、あたしが稼いでやるわよ。
それだけで、博文はもう自分の我がままを、諦めようとは、思った。
ただしひとつだけ、家族に負担をかけずに済ませる方法がある。
奨学金。
学年で一番の成績さえ取れれば、ほとんど無料で、入学させてくれるあたりが、私立校の良い点だろう。
宿題しかしたことのない博文が、ガリ勉をはじめた。
大野はいなかの街で、ぜんたいにのどかなうえに、市立二中は三年二学期後半に至るまで、お祭り騒ぎと部活に明け暮れるほかは予習も復習もやらない、というのが校風になっている。
そんななかで律気にクラス委員として遊びにつきあいながら、博文は、勉強して、勉強して、勉強した。
眠らないので食欲はなくなるし、みるみるうちに頬もこけて、周囲中の心配も忠告もよそに、単語帳を放さない。
そこまでする必要があるのかと、当の片思いの相手に説教されたというのは、切ないことだろうが。
本人には、必要だったのだ。
誰かと一緒の高校に行きたい。
その為だけに、努力を払うということが。
…………
どうやら好きなコがいたらしい。
高橋博文、中学三年、昔ながらの手造り豆腐屋の、当節家計は苦しいなかで、突然、私立
女子の商業、男子の高専、そのほかには、この街には高校は二つしかないわけだから、県立の清風高校を受験するものとばかり、家族も、学校側も、思っていたのだが。
大野学園は試験がむずかしい。
それ以上に、高い学費と寄附金の支払いが、下町の豆腐屋には難しかった。
しっかり者の姉は、店を継ぐと自分で決めて以来、商業高校の調理科に通いながら、朝晩の豆の仕込みを手伝っている。
その、姉貴が、店に出す豆腐ハンバーグをまるめながら、行かせてやればと、かるく言った。
ひろちゃんの学費くらい、あたしが稼いでやるわよ。
それだけで、博文はもう自分の我がままを、諦めようとは、思った。
ただしひとつだけ、家族に負担をかけずに済ませる方法がある。
奨学金。
学年で一番の成績さえ取れれば、ほとんど無料で、入学させてくれるあたりが、私立校の良い点だろう。
宿題しかしたことのない博文が、ガリ勉をはじめた。
大野はいなかの街で、ぜんたいにのどかなうえに、市立二中は三年二学期後半に至るまで、お祭り騒ぎと部活に明け暮れるほかは予習も復習もやらない、というのが校風になっている。
そんななかで律気にクラス委員として遊びにつきあいながら、博文は、勉強して、勉強して、勉強した。
眠らないので食欲はなくなるし、みるみるうちに頬もこけて、周囲中の心配も忠告もよそに、単語帳を放さない。
そこまでする必要があるのかと、当の片思いの相手に説教されたというのは、切ないことだろうが。
本人には、必要だったのだ。
誰かと一緒の高校に行きたい。
その為だけに、努力を払うということが。
…………
磯原 広 : 体力は、筋力・持久力ともにあるが、
なぜか教習所に半年以上通ってまだ通らない……
という反射神経をしている
6. 作家の卵 ・ 磯原 広、と、その婚約者、
関西の都市近郊の国立大学の教育学部児童心理科に在籍。高校2年の時に大検に合格、3年時はほとんど登校せず、自宅で登校拒否児の弟の家庭教師をつとめながら受験勉強をしていて、立派に国公立に受かり、奨学金までふんだくったんだから、かなり頭がよかろう。……性格は温厚な思索家タイプだが、視野が広すぎて、やや脈絡のない変人に見られることも。
かなり浅黒い肌に
尊敬する人、灰谷健次郎。読書傾向は乱読の一語に尽きる。
広が高校2年の折、関西で行なわれたSF・FTファンのための全国大会会場で、「未来のために緑をまもろう」というビラを一生懸命くばっていたのが、琴音まき子嬢。セミロングのおかっぱ頭に細い首、年齢よりかなり幼ない印象を与えるが、二浪して広と同学年になった(しかもそれを周囲に隠してへーぜんとしている)強者である。対人的な性格は勝ち気で過激で行動的、……が、猫かぶりも名人級の、射手座B型。北海道のナショナルトラスト運動のメンバーで、林野庁を目指すか、「さすらいのイラストレーターになって緑をまもる」。趣味はパソコン通信、マザーテレサのミーハーファン。
「日本ほど数多くの人種と民族がなんのこだわりもなく融合されている国家は例がないと思うんだ……」
広は言った。
「街を行く人たちの人相骨格を観察してると判るんだけど、ありとあらゆる人種の顔があるだろう? メラネシア・ポリネシア・アボリジニー……漢民族の南方系、北方系。モンゴロイドと呼ばれて、騎馬民族系の血統を色濃く表わしているのが日本人の標準みたいに言われているけれど、決してそうじゃない。北の街へ行けばエミシ、エゾ、アイヌ系にゲンダーヌ……端的に言って、京都市街を歩く人の波と奈良、遠くは鹿児島や高知、松本、新潟や青森……写真を並べてみればはっきり見えてくるよ。ひとつの人種としてカッコでくくってしまうのは乱暴すぎる。みんな、お互いに、異なった先祖と文化をもつ少数民族同士なんだ。それが全部、日本列島弧という気候条件に適応した色彩の肌と頭髪をして……ほぼ単一の言語を使うよう、自然に統制されてきている。」
「それ、今後の論文のネタ?」
「まあね。」
シャコンシャコンとカメラの連写ボタンを押して、自説の "証拠写真" を街ゆく人波から採集するのに余念がない。
「標準語の普及……は、つい近年の皇国教育とNHKテレビの影響が大だからあっちへおくとして、もともと、異文化をさほど抵抗……
「もともと相違をさほど気にせず適応できるっていう、原日本人の性格があったんじゃないか? そうでなきゃ、欧州のように群小の民族区が入り乱れて国家公用語の統一がきかないような状態になるだろう……? 受け入れて、互いのいい所を統合していくような……価値感の多様性というか……ヤマト朝廷その他の侵略による統一とおしつけがはじまる前、本当の原日本列島人には、そんな素質があったと思うんだ。」