『水の大陸』 〜ヤツィー族の伝承歌〜 II
2006年4月13日 連載 コメント (1)《空の王》から犯されて
《水の娘》が生んだ子は
水気を吸うこと能わずに
ははのなかでは溺れ死ぬ。
母は困って必死になって
泥をこねあげ押し上げて
小さな小さな突起を作り
子たちを水より外に出す。
すると無慈悲な風が来て
子らは今にも乾涸らびる。
母は困って雲靄となって、
ひよわな子らに被さった。
それを見かけた《空の王》
あまりに惨めで見苦しい、
わが子と呼べぬと罵った。
嘲りムチ打ち踏み敷いた。
《水の娘》が生んだ子は
水気を吸うこと能わずに
ははのなかでは溺れ死ぬ。
母は困って必死になって
泥をこねあげ押し上げて
小さな小さな突起を作り
子たちを水より外に出す。
すると無慈悲な風が来て
子らは今にも乾涸らびる。
母は困って雲靄となって、
ひよわな子らに被さった。
それを見かけた《空の王》
あまりに惨めで見苦しい、
わが子と呼べぬと罵った。
嘲りムチ打ち踏み敷いた。
『水の大陸』 〜ヤツィー族の伝承歌〜 I
2006年4月10日 連載 コメント (2)神は無慈悲で浅慮であった。
[重さ]という名の罠をはり、
すべてのものを閉じこめた。
雑にまるめた泥団子の上に。
ひとつの大きな氷精が
[重さ]の罠に捉えられ、
泥団子に墜ちた衝撃で
砕け四散し滴となった。
罠の虜囚の全てのものが
水精たちを犯し喰らった。
さまざまな者に犯されて、
さまざまな子を水は産む。
無力な小さい水の子が、
[空の王]から犯された。
これがわれらの母である。
われらを産んだ母である。
[重さ]という名の罠をはり、
すべてのものを閉じこめた。
雑にまるめた泥団子の上に。
ひとつの大きな氷精が
[重さ]の罠に捉えられ、
泥団子に墜ちた衝撃で
砕け四散し滴となった。
罠の虜囚の全てのものが
水精たちを犯し喰らった。
さまざまな者に犯されて、
さまざまな子を水は産む。
無力な小さい水の子が、
[空の王]から犯された。
これがわれらの母である。
われらを産んだ母である。
大地世界物語 〜人代編〜 (地誌と年代記) II
2006年4月9日 連載 コメント (1)【年代記】II
[大分裂]
大地世界の最多の生命である地人族は、おおむね《銀波青流》の流れに沿って長い年月をかけ移住と拡散を繰り返した。拡散につれ集落相互の連絡も途絶えがちとなり、多くの場合、《本家》と呼ばれる《神統主》の他に、各集落の統治を司る《分統主》や、河筋や街道筋を束ねる《神統補》が選ばれた。やがて各地の様々な《神統》家を支持する者同士で派閥が分かれ、争いが多発し、魔族の残党もまたこれに便乗して跳梁跋扈し、各地方は孤立して、安全な往来が途絶える時代となった。
[再統治]
《神統》家系のはしくれとは言え産まれながらに《血の薄い娘》と蔑称で呼ばれる無力な少女と、その地人族の従兄弟と、偶然知り合った智水学派の青年とが、往来の絶えた大地のありようを憂えて長い長い旅に出た。大地をあまねく経巡り、各地の主たちを説得し、ついには大地の自由な往来を取り戻す。埋もれし古道は整備されて《白の街道》と名付けられ、初の貨幣と貢納(税)制度が定められて、界全体の交易が始まった。
[双統家]
《血の薄い娘》は成人し《女神の遠い孫》の美称を得て大地世界全体を束ねる《白王家》の開祖となり、交易の要衝たる大いなる《銀波青流》の《瀬分けの丘》の一帯の森を開いて《白の都》と定めた。
しかしここで自らの聖統を唱える《最も濃い家系》からの横やりが入った。《血の薄い娘》が大地再統一の功績をもって《神統主》の位に就くのは構わぬが、その後継づくりを考慮すれば、統主の伴侶は《最も濃い家系》の者が務めるべきだというのである。
女皇はこれを拒否して、従兄弟である地人族をみずからの夫とし、幾人かの後継者を産んだ。これにより、以後の諸皇の寿命はほとんど一般の地人と変わらぬまでに短いものとなった。
聖性を誇る《最も濃い家系》は彼らを《ただびと》と蔑み、これに臣従するを不服とし、自ら《聖帝家》を名乗り離反した。初代女皇の必死の懇請により戦は回避されたが、彼らは袂を分かち、《帝家》とその眷属は、再び移住と拡散の徒についた。
《白の皇都》の西方には、いにしえの暗洞界軍の魔厄によって永遠に緑の育たぬ《うつほの岩漠》が広がる。後代、それを西南に迂回して更に進んだ厳しい環境の中に、聖なる真力の強い者のみが入都を許される、《西の帝都》が築かれるに至った。
《東の白》と《西の聖》。
疎遠ながらも自由と和平を保つ双都の時代が終わりを告げるのは、はるか後の代に、《皇女戦記編》において語られる物語である。
[大分裂]
大地世界の最多の生命である地人族は、おおむね《銀波青流》の流れに沿って長い年月をかけ移住と拡散を繰り返した。拡散につれ集落相互の連絡も途絶えがちとなり、多くの場合、《本家》と呼ばれる《神統主》の他に、各集落の統治を司る《分統主》や、河筋や街道筋を束ねる《神統補》が選ばれた。やがて各地の様々な《神統》家を支持する者同士で派閥が分かれ、争いが多発し、魔族の残党もまたこれに便乗して跳梁跋扈し、各地方は孤立して、安全な往来が途絶える時代となった。
[再統治]
《神統》家系のはしくれとは言え産まれながらに《血の薄い娘》と蔑称で呼ばれる無力な少女と、その地人族の従兄弟と、偶然知り合った智水学派の青年とが、往来の絶えた大地のありようを憂えて長い長い旅に出た。大地をあまねく経巡り、各地の主たちを説得し、ついには大地の自由な往来を取り戻す。埋もれし古道は整備されて《白の街道》と名付けられ、初の貨幣と貢納(税)制度が定められて、界全体の交易が始まった。
[双統家]
《血の薄い娘》は成人し《女神の遠い孫》の美称を得て大地世界全体を束ねる《白王家》の開祖となり、交易の要衝たる大いなる《銀波青流》の《瀬分けの丘》の一帯の森を開いて《白の都》と定めた。
しかしここで自らの聖統を唱える《最も濃い家系》からの横やりが入った。《血の薄い娘》が大地再統一の功績をもって《神統主》の位に就くのは構わぬが、その後継づくりを考慮すれば、統主の伴侶は《最も濃い家系》の者が務めるべきだというのである。
女皇はこれを拒否して、従兄弟である地人族をみずからの夫とし、幾人かの後継者を産んだ。これにより、以後の諸皇の寿命はほとんど一般の地人と変わらぬまでに短いものとなった。
聖性を誇る《最も濃い家系》は彼らを《ただびと》と蔑み、これに臣従するを不服とし、自ら《聖帝家》を名乗り離反した。初代女皇の必死の懇請により戦は回避されたが、彼らは袂を分かち、《帝家》とその眷属は、再び移住と拡散の徒についた。
《白の皇都》の西方には、いにしえの暗洞界軍の魔厄によって永遠に緑の育たぬ《うつほの岩漠》が広がる。後代、それを西南に迂回して更に進んだ厳しい環境の中に、聖なる真力の強い者のみが入都を許される、《西の帝都》が築かれるに至った。
《東の白》と《西の聖》。
疎遠ながらも自由と和平を保つ双都の時代が終わりを告げるのは、はるか後の代に、《皇女戦記編》において語られる物語である。
大地世界物語 〜人代編〜 (地誌と年代記) I
2006年4月8日 連載【年代記】I
[神統譜]
女神の娘の無名のひとたりは地人族として生き、逝きし《智水神》の道半ばであった指導を惜しんでその智慧を祀る《智水神殿》を建て《智水学派》の開祖となった。短い寿命を全うし大地のめぐりに還った。
女神の娘の名のあるひとたりは半神女として在ることを選び、残された地人族を統治し、また半神たる真力を以て魔族の残党を狩り、あらゆる大地の生命の守護者となった。地人の寿命の数倍のあいだ大地に留まり、幾人かの地人の夫との間に多くの子を産んだ。半神女であり帰天は叶わず、大地のめぐりに還る(※)にしては聖位にすぎる存在であったので、やがてその生ある暮らしに飽いた時、母なる女神の眠る大地の真奥の洞窟の門を守護する形で、やはり界果てまでの眠りについた。
女神の娘の血を継ぐ者たちは《神統》と呼ばれ、特に血の濃い者や能力識見に優れた者の間でゆるやかな互選制を敷いて、一族の統治者たる役目を委譲し繋いだ。
※ひとつの人格として、大地人または獣人・鳥人族の、転生の輪に還ること。
[大移住]
数代を経て、地人族の最初の居住地であった《太古の平原》は、隆起を続ける背骨山脈に取り囲まれる形で大気の稀薄な高原盆地となり、また《最初の泉》の水位上昇につれ湿地域が広がり、増え続ける人口に比して農耕・居住条件が劣化する一方だった。
どのような対策を採るべきかについて有力な《神統》同士の間でも激しく意見が分かれた(※)が、やがて北東壁の《界果て峠》が水圧に耐えかねて崩落し、平原外に出る道が開かれると、積極的に山脈外縁部へと移住を重ねる者たちが増えてきた。
しかしこれに反対し、聖圏結界外への移住をあくまで拒否する残留者たちとの間にはしだいに距離が広がり、疎遠となっていった。
※この時の口論がもとで、移住組の各《神統》同士の間でも親睦が失われ、後の[大分裂]の遠因となったとも言われる。
[神統譜]
女神の娘の無名のひとたりは地人族として生き、逝きし《智水神》の道半ばであった指導を惜しんでその智慧を祀る《智水神殿》を建て《智水学派》の開祖となった。短い寿命を全うし大地のめぐりに還った。
女神の娘の名のあるひとたりは半神女として在ることを選び、残された地人族を統治し、また半神たる真力を以て魔族の残党を狩り、あらゆる大地の生命の守護者となった。地人の寿命の数倍のあいだ大地に留まり、幾人かの地人の夫との間に多くの子を産んだ。半神女であり帰天は叶わず、大地のめぐりに還る(※)にしては聖位にすぎる存在であったので、やがてその生ある暮らしに飽いた時、母なる女神の眠る大地の真奥の洞窟の門を守護する形で、やはり界果てまでの眠りについた。
女神の娘の血を継ぐ者たちは《神統》と呼ばれ、特に血の濃い者や能力識見に優れた者の間でゆるやかな互選制を敷いて、一族の統治者たる役目を委譲し繋いだ。
※ひとつの人格として、大地人または獣人・鳥人族の、転生の輪に還ること。
[大移住]
数代を経て、地人族の最初の居住地であった《太古の平原》は、隆起を続ける背骨山脈に取り囲まれる形で大気の稀薄な高原盆地となり、また《最初の泉》の水位上昇につれ湿地域が広がり、増え続ける人口に比して農耕・居住条件が劣化する一方だった。
どのような対策を採るべきかについて有力な《神統》同士の間でも激しく意見が分かれた(※)が、やがて北東壁の《界果て峠》が水圧に耐えかねて崩落し、平原外に出る道が開かれると、積極的に山脈外縁部へと移住を重ねる者たちが増えてきた。
しかしこれに反対し、聖圏結界外への移住をあくまで拒否する残留者たちとの間にはしだいに距離が広がり、疎遠となっていった。
※この時の口論がもとで、移住組の各《神統》同士の間でも親睦が失われ、後の[大分裂]の遠因となったとも言われる。
大地世界物語 〜人代編〜 (地誌と年代記)
2006年4月7日 連載 コメント (1)【地誌】
[山脈]
はじめに世界は無辺無窮の大いなる平面として成された。平面は無毛の砂漠であった。女神と仲間たちの御幸に伴い、その足音や舞の音色の韻律につれ大地に起伏が成り、《智水神》が数々の泉を呼び出すに従い、あたりに緑が芽生えた。緑の命は広がり、木陰と草原とを形作った。その緑の命をはむ者らが産み出され、それらの巣穴や集落があちこちに形作られた。
暗洞界の魔軍が攻め来たり、智水神が帰天して後、大地に泉の増えることは無かった。大地母神が大地の深奥で界果てまでの眠りについた後、その周辺の地は眠れる女神の放つ夢の気を受けて徐々に隆起をはじめ、長い年月の間に、その頂きが大気の稀薄な天上界に近付くほどになり、大地世界の中心をなす《大地の背骨山脈》と名付けられるに至った。
[水脈]
《大地の背骨》の中心に位置する《智神の最初の泉》からは尽きることなく命の真清水が湧き、背骨の隆起に伴って取り残された盆地を満たして《太古の湖(うみ)》となった。ほどなく水位が限界まで上がり、やがて盆地の北東端の《界果て峠》の岩壁を打ち砕いて山脈を流れ下った。幾つもの峡谷と渓谷と深い淵や穏やかな岸辺を刻んで大地世界最長の大河《銀波青流》と呼ばれる。大河は北東に下り、山裾で北西に転じ、西南に蛇行して白の街道の半ばで大いなる瀬を分け、大地世界最大の水面(うみ)である《北方太湖》と、南に遠く離れて砂漠に流れ込み、地熱で干上がりかけた《南方塩湖》の、源流でもある。
[版図]
《銀波青流》沿いの気候温暖な各平野と、《北方太湖》周辺の起伏の激しい森と草原地帯、《南の曲流河》沿いの高温多湿な湖沼地帯、そして西の半砂漠地方が、地人族の主な版図である。
東方の広大な樹林地帯はもっぱら翅仙族と飛仙族、鳥人など《飛ぶ民》の居住空間であり、大地の背骨山中には、数多の獣人種族の領土とともに、ひそかに隠れ住む魔軍の裔の罠砦などがある。
その他の、生身ある者にとっては過酷な環境の諸域には、今も女神の仲間の末裔や、幻獣、精霊などが疎らに回遊している。
[山脈]
はじめに世界は無辺無窮の大いなる平面として成された。平面は無毛の砂漠であった。女神と仲間たちの御幸に伴い、その足音や舞の音色の韻律につれ大地に起伏が成り、《智水神》が数々の泉を呼び出すに従い、あたりに緑が芽生えた。緑の命は広がり、木陰と草原とを形作った。その緑の命をはむ者らが産み出され、それらの巣穴や集落があちこちに形作られた。
暗洞界の魔軍が攻め来たり、智水神が帰天して後、大地に泉の増えることは無かった。大地母神が大地の深奥で界果てまでの眠りについた後、その周辺の地は眠れる女神の放つ夢の気を受けて徐々に隆起をはじめ、長い年月の間に、その頂きが大気の稀薄な天上界に近付くほどになり、大地世界の中心をなす《大地の背骨山脈》と名付けられるに至った。
[水脈]
《大地の背骨》の中心に位置する《智神の最初の泉》からは尽きることなく命の真清水が湧き、背骨の隆起に伴って取り残された盆地を満たして《太古の湖(うみ)》となった。ほどなく水位が限界まで上がり、やがて盆地の北東端の《界果て峠》の岩壁を打ち砕いて山脈を流れ下った。幾つもの峡谷と渓谷と深い淵や穏やかな岸辺を刻んで大地世界最長の大河《銀波青流》と呼ばれる。大河は北東に下り、山裾で北西に転じ、西南に蛇行して白の街道の半ばで大いなる瀬を分け、大地世界最大の水面(うみ)である《北方太湖》と、南に遠く離れて砂漠に流れ込み、地熱で干上がりかけた《南方塩湖》の、源流でもある。
[版図]
《銀波青流》沿いの気候温暖な各平野と、《北方太湖》周辺の起伏の激しい森と草原地帯、《南の曲流河》沿いの高温多湿な湖沼地帯、そして西の半砂漠地方が、地人族の主な版図である。
東方の広大な樹林地帯はもっぱら翅仙族と飛仙族、鳥人など《飛ぶ民》の居住空間であり、大地の背骨山中には、数多の獣人種族の領土とともに、ひそかに隠れ住む魔軍の裔の罠砦などがある。
その他の、生身ある者にとっては過酷な環境の諸域には、今も女神の仲間の末裔や、幻獣、精霊などが疎らに回遊している。
大地世界物語 〜上古編〜 IX
2006年4月6日 連載 コメント (1)女神も己が命数を分け与え、
大地の真芯で眠りについた。
女神の娘が統治を引き継ぎ、
人の地道な暮らしが始まる。
大地の真芯で眠りについた。
女神の娘が統治を引き継ぎ、
人の地道な暮らしが始まる。
大地世界物語 〜上古編〜 VII
2006年4月4日 連載 コメント (1)女神の夫が深手を負った。
女神の悲嘆に耐えかねて、
副主神たる《智水神》、
身代わりとなり* 帰天した※。
* その界における神格としての聖別命数(存在権限)を委譲し界を去ること。
※ 神格の帰天は、いわゆる人格の「死」とは異なる。
女神の悲嘆に耐えかねて、
副主神たる《智水神》、
身代わりとなり* 帰天した※。
* その界における神格としての聖別命数(存在権限)を委譲し界を去ること。
※ 神格の帰天は、いわゆる人格の「死」とは異なる。
大地世界物語 〜上古編〜 V
2006年4月2日 連載 コメント (1)ヒトも応えて女神と結ばれ、
やがて女神は双子を産んだ。
半神半女のやんちゃと泣き虫、
みる者すべてを笑顔にさせた。
やがて女神は双子を産んだ。
半神半女のやんちゃと泣き虫、
みる者すべてを笑顔にさせた。
大地世界物語 〜上古編〜 III
2006年3月31日 連載 コメント (1)歌って踊って笑って食べて、
女神と仲間は大地を巡った。
泉を呼び出しみどりを育て、
虫とけものとヒトを創った。
女神と仲間は大地を巡った。
泉を呼び出しみどりを育て、
虫とけものとヒトを創った。
大地世界物語 〜上古編〜 II
2006年3月30日 連載 コメント (1)女神の名前は《自在に踊る》。
四界の一つの主神となった。
多くの仲間の助力を受けて、
無限で無窮の大地を成した。
四界の一つの主神となった。
多くの仲間の助力を受けて、
無限で無窮の大地を成した。
創界記 −四界門書− V
2006年3月28日 連載妹神は深く悲嘆し兄神を責め立てた。
兄神はこれを疎んじ自ら軍勢を率い、
穏やかなる開地平界に侵攻蹂躙した。
かくて四界の絆は断たれ、
界峡月女神の監視の下に、
四界の渡橋は閉ざされた。
兄神はこれを疎んじ自ら軍勢を率い、
穏やかなる開地平界に侵攻蹂躙した。
かくて四界の絆は断たれ、
界峡月女神の監視の下に、
四界の渡橋は閉ざされた。
創界記 −四界門書− IV
2006年3月28日 連載 コメント (1)兄神は姉神を恋慕した。
姉神は邪欲を嫌悪した。
妹神は嘆き憂いて諫め、
弟神は冷笑し傍観した。
兄神は姉神の純潔を汚し、
姉神は永の眠りについた。
姉神は邪欲を嫌悪した。
妹神は嘆き憂いて諫め、
弟神は冷笑し傍観した。
兄神は姉神の純潔を汚し、
姉神は永の眠りについた。
創界記 −四界門書− III
2006年3月27日 連載 コメント (1)四界は相往来し互いに栄えた。
閉球浄界は学究と技芸を愛し、
閉球洞界は武勇と権勢を誇り、
開地平界は歌舞と自由を好み、
開地球界は進化の万華を選び、
日々は永遠に続くと思われた。
閉球浄界は学究と技芸を愛し、
閉球洞界は武勇と権勢を誇り、
開地平界は歌舞と自由を好み、
開地球界は進化の万華を選び、
日々は永遠に続くと思われた。
創界記 −四界門書− II
2006年3月27日 連載 コメント (5)四柱の神々と眷属は四界を創始した。
姉神の統べる閉球浄界。
兄神の統べる閉球洞界。
妹神の統べる開地平界。
弟神の統べる開地球界。
四界はまた一つの大界でもあった。
姉神の統べる閉球浄界。
兄神の統べる閉球洞界。
妹神の統べる開地平界。
弟神の統べる開地球界。
四界はまた一つの大界でもあった。
創界記 −四界門書 − I
2006年3月26日 連載 コメント (6)はじめに四柱の神々があった。
長姉たる姉神。
長兄たる兄神。
次姉たる妹神。
末子たる弟神。
四つ柱の神々は、それぞれに眷属を招集した。
長姉たる姉神。
長兄たる兄神。
次姉たる妹神。
末子たる弟神。
四つ柱の神々は、それぞれに眷属を招集した。