(※ この頃は、まだ「漫画家」を目指していたので、
    設定資料、ほとんど「絵」で描かれております。
    皆さまに、お目に掛けられないのが……以下略☆)
 
 
 
 「足、はずれない……」
 
 
 「 生きぬいて見せる、なにがあっても!! 」
 
 
 「わたし、このこにちっともかまってやらなかったわ。
  生きるのがせいいっぱいで、
  姉としての思いやりも何ももたなかったわ。」
 
 
 
 
 
 +++++++++++++++++++++

 思いっきり「夢ネタ」なのですが。

 小学校低学年頃から連続して見ていた「恐い夢」のラスト頃。
 だんだん映像(?)が、ハッキリして来て……。

 アトル・アンタイスの帝国末期。
 空から突然の来襲者が……来て。

 空からの砲火に焼かれ、
 戦乱に追われて、
 崩壊する文明の中で逃げまどう、
 ひとりの少女=私の前世?の話。





 
 ……ってことで、これにてひとまず、
 
 「恥ずかしい資料大公開・水の大陸編」は終了です。

 明日からは、「 同上 ・大地世界編」行きま〜す♪
 
 根源未詳。かの四世界鎖国時のどさくさに紛れてアトル・アン・ティス中西部森林地帯、通称《谷》に定住していた。精霊の力や大地の不思議に関して優れた知識を持つので、史学上、しばしば天人族エルシャマーリャの系統と解されていたが、複数神信仰や後世における一処不住性など、それでは説明のつききらない特質・属性を多く持つ。また惑星リスタルラーナへ漂着した移民船フェアリスティラーヤの乗客中、単性長寿のイシール族、これは人種的特徴から推して明らかに天人族であろうと思われるが、史略初期に示される行動形態にはむしろ《白の一族》にこそふさわしい大胆さと情愛の深さが見られる。実験的に創造された種族かあるいは異界からの移住民であるにせよ、おそらくその起源は天界エルシャムリアの時代に遡って求めるべきであろう。上古の資料を入手する術がないのが残念である。リステラス辺境、惑星 《緑》および《白沙》 における同系の文化も、どの時点での移民の成果であるのか現在のところ不明である。

 ☆ 惑星《地球》における史略。

 アトル・アン・ティス中西部森林地帯の北辺、大河スウェンの上流域《谷》における定住時代が、現在判明している限りでは最古のものである。当時は《白の》とは自称せず、サンサラ、《谷の一族》という呼称が使われていた。四囲を深く広大な森林に守られて、平和な狩猟・採集・農耕の時代が長く続き、安定した芸能文化が発達していた。が、この時点で既に、一族の漂着の伝説と流浪への予言が存在していたという。来たるべき存亡の危機に際して一族の守り手とする為に戦士の村ザグに才能ある者を送るセンド・レーサなる伝統があり、活火山カリンシカの隆起により東方との交易の道を断たれて後は、帝国の臣領として少数の優れた戦士を提供し続けた。
 《異界からの侵入者》ゼクートにより帝国が一時瓦解した際、広大な森と谷から焼け出され、難民の群れと行を共にした一族は、その後、戦乱が収束してからも再び安住の地を持とうとはせず、《白》を最首とする各色の派にわかれて大陸内を流転し、各処でその芸能や知識によって生活の糧を求めた。
 星船来襲によって大陸もろとも帝国が失なわれた後、長い時代を彼らはその時代その土地に合わせて生きのびてきたが、ユーラシア全域を結ぶ東西交易の路が開けると各色支族は商人や旅芸人と紛れて再合流し、また大航海時代と共に惑星規模での血族結社となった。ただし、最首たる《白の一族》が好んで版図としたのはアフリカ北西部から中国奥地にかけての乾燥地帯であり、どのような死の砂漠も徒手空拳で渡る不死の一族、また、水枯れの年にどこからともなく現れて水の場を復活させる魔法の歌と舞の一族として、周辺諸族の畏敬を受け、多くの土俗的信仰に半神として受け容れられた。また、中東地方において唯一神教が流布した後には、超人的な力を持つ異教の魔神として、誇張された説話の中に《白の一族》と覚しき事跡が散見される。その他、下層支族である《緑》や《紫》は流浪芸人や流しの職人としてしばしばジプシー部族とその存在を混同視され、《茶》は多くが商人や奴隷に溶け込み、《青》は海洋民として、南太平洋諸島を根城に世界へ出て行った。
 第三次大戦終息直前、多くのESP者を輩出した時代、《白の一族》から独立した《黄金》のイルレアーナがESP者の同盟《ア・ルーヴァ・タゥーレ》を建国、各支族の生き残りの殆どがこれに参加し、一族としては発展的解消をとげた。地表に残った者は新たに部族外の者も加えて《灰色の一族》アイン・ヌウマを名告り、極東草原地帯に広大な遊牧の版図をかまえたが、惑星政府統一に際し部族の解散を宣した。


 ○ 史略上の重要な人物 ○

1. ハユン家のアマラーサ、及び、アグニス家のトゥード

 カリンシカ交易路が断たれる寸前、最後の児童送遣(センド・レーサ)として戦士の村ザグへ送られた2人組である。どちらも優れた戦士であり、慣習に基づく婚姻によって《谷》の血統をザグの村に伝えるものと思われていたが、ハユンのアマラーサは発心して月女神レリナルディの巫女となり、全ての人界の掟から解き放たれた聖戦士となった。
 《谷》を守る大河の精霊スウェナ・ラディが《砂漠の王》に略奪された際、同じくスウェナの対者として《谷》を守る風の精霊フエンがアグニスのトゥードに一族の危急を告げ知らせ、アマラーサの助力を得た彼は《砂漠の王》と戦い、スウェナを解放した。この旅の後、2人は再びザグの村へ戻ることはなく、生涯を共に漂泊のうちに過した。隆起後のカリンシカ連峰を最初に踏破して交易路を再開し、各地で住民を悩ます邪竜や悪王を退治した等、伝説に語られる武勲譚は数多い。また、月読み峠のレリナル神殿を訪ねたアマラーサは、女神及巫者集団である月読み衆との問答によって宗教史に新たな展開をもたらし、婚姻によらない個人の意志に基づいて出産した最初の巫者となった。
   (>月女神信仰の項、参照)
   (>女戦士 リィ・カタナ)

2. ディア家のディカール、
  (もしくは帝国風にディカール・デュア・ディアレスト)

 帝国の臣領としての《谷》の時代の末期、武家の子弟として兵教育を受け、トゥリアンギア公領に配された彼は、 いくつかの偶然から 不遇の公子ミアルドと出会い、その対者(ミトラ)となった。父帝崩御の際に異母兄たる新帝からの処刑命令を察して国を落ちた公子に付き添い、《谷》へと抜ける森の旅に出るが、途上で異界者ゼクルディ族の帝国侵攻を知り、唯一の帝位後継者となった公子を守って帝領奪還の長戦を指揮した。同時期にゼクルディの放火により《谷》は消失したが、彼はそれを救いえず、以後、流浪する一族のもとに戻ることもなかった。晩年は帝位を回復したミアルドの腹心として、また公子の養育係として仕え、自らは子をのこすことなくその生涯を閉じた。伝記には生年及び性別に関する記述に混乱があり、あるいは兄妹もしくは双生児による業績だったのかとする説もある。
  (>対者思想(ミトラ・タ・ヴィアタ)及び三身の法の項、参照)

3. ミーニエ・マリセ・ブランチェスカ=ガクト・イソハラ
   (磯原マリセ)

 生粋の白の一族として砂漠に生まれたが、少女の頃に縁あって欧州人のキリスト教宣教師の養女となり、フランスで医学を修めた後、国連所属の野戦(従軍)看護婦として難民及びゲリラ軍の救護に努めた。その地で遭難し奇跡的な生還をとげた世界的な報道カメラマンであった磯原岳人の妻として日本国へ帰化して四児の母となり、障害児施設に勤務するかたわら、緑慶年代の同国の暮らしについて優れた手記を残した。黄金のイルレアーナの《血の濃い(両縁の)》従姉であり、磯原清の実母であるとされている。

4. 《黄金》の イルレアーナ (アルヴァトーレの大后母)

 第三次世界大戦さなかの混乱期に白の一族として生まれたが、あまりに強すぎるそのP能力のゆえに長老たちにその存在を受容されず、自ら独立して《黄金》を名乗った。《ムーンII》衝突回避の際、アルカス・アルヴァトーレの呼びかけに最初に応じたひとりで、以後、彼と共にESP者のための王国建設に力を尽した。アルヴァトーレ大公国の初代公女ヘスティアは、2人の遺伝子から造られた人工授精体である。
  (>アルヴァトーレの項、参照)

5. 磯原 清 (キーヨ・エ・ミーニエ)

 外部に嫁したミーニエ・マリセの末子であるので正確には一族の者ではない。緑慶年代の日本国に生まれたが、月に遺されたエルシャムリアの母思考機械リーシェンによって仲間と共に時代を運ばれ、最終戦争中期のアルヴァトーレに転籍した。最盛期のアルカスに匹敵するP能力を持つことからその再来と呼ばれ、宇宙植民者連合軍ゲフィオンに協力。戦闘中死亡した。ゲフィオン隊長・杉谷好一の妹であるユミコ・フェア=スギタニとの間の一児、杉谷 狼 は、後に地表上で《青狼伝説》団を結成、《灰色の一族》に合流した。
  (>最終戦争の項、参照)

6.蘭家の冴夢 (サエム・ラン=アークタス)

 《最終戦争後》と呼ばれる時代の末期、極東草原地帯全域をその版図とした《灰色》=《人間の一族》アイン=ヌウマの最後の族長であり、地球統一政府との戦争を、その使者ヨセフィア・アークタスとの婚姻によって回避。部族の解散を宣して新らしい時代へと溶け込むよう主張し、自ら範を示してシゾカ市へ移住した。吟詠詩人として名高かったが、二女を残し夭逝した。

7. サキ・ラン=アークタス (蘭家の咲子)

 解散を宣した後の、部族外との婚姻による出生であるので、自らを一族の者とは認めなかった。サエムとヨセフィアの二番目の娘であり、第一期官費留学生となって地球を離れ、生涯の殆どをリスタルラーナで過した。科学者マリア,ソレルの腹心として働き、鎖国を続けていたアルヴァトーレ女王国との間に国交を回復させ、その地を借りてESP者の訓練校、エスパッション・スクールの開設に力を尽した。その後、深宇宙探査船に同乗し、子供を残すことなく消息を断った。
  (>エスパッションの項、参照)

 ☆ 惑星《白沙》(しろきすな)における史略 ☆
 
 (前略)

  ○

 エオランジュの国のリノの街(まち)の、少しばかり昔の寄宿学校での話だ。オイゲンクローク学院はリノの街でも古くて有名で、だから国中から若い男の子たちが集まっていた。名門なだけに躾も厳しく、特に寄宿舎ではうるさく言われる。その、オイゲンクロークで、今は一年中でも最も騒々しい季節 …… 新学期と部屋替えの季節なのだった。

 (中略)

 「トルカ、トールッカ、トールンカ!」
      (騒ぎ屋) (お調子者)

 (中略)

 「一年間よろしく。
  きみがトイラーカ・サルマスベイン?」

 「……さ、サイラス・デュ・ヨカナイン?
  優等生(おきにいられ)の……!?」

 「……ぼくはそんなふうに呼ばれているの?
  知らなかったな。」

 (後略)



 (トルカ) トイラーカ・サルマスベイン
 (サイラス)サイラス・デュ・ヨカナイン
 (ジュノー)ジュノ・ペッデゼン
 (イロン) イロンド・タオ=カイ

 (サリユ) トルカの彼女







 恒沙 真谷人 (こうしゃ・まやと)
 コーシャ・マヤ=トー
 ナンナ・シマオミ
 クァバ・キヨーエ
 カチラ・ヒ=ツータ

 カワサキア
 ヨクフ・マーの国
 ツ・ルーミ

 サクラガーキャの学術堂。



 (後略)


◎ 部屋替え騒動

◎ トルカがジュノかまうのをサイラスが見ている。

◎ 門限のはなし、そのいち。

◎ 


◎ トルカくん酔って御帰還

◎ トルカのおはなし

◎ サイラスのおはなし


◎ 街の火事

◎ トルカを出迎えるサイラス

◎ 自習室にて。……ジュノーをからかう連中とトルカの殴り合い。
          最新技術で作られたミスラス神像が壊れる。

◎ 怒るトルカと、ぶったおれるサイラス。

◎ 医務室にて。


 荒れるほどでもない砂風でぼんやり煙っている日だった。
 黄色い砂塵をとおしてさしてくる陽光をさらに濃い黄昏にかえる玻璃(はり)の透かし絵窓の下で私は狩り具の手入れをしていた。
 透かし絵は希望と絶望の神アゾルディアドのずいぶん凝った絵柄で、この砂岩洞のまえの持ち主だった玻璃細工師がひまをみては造りあげたものだという話だ。
 最後の一枚、アゾルの顔の左眼をはめ残したままに、結局それは老いた細工師の遺作となり、縁起が悪いからと誰も買わずに、空き家になっていた洞窟を他所者の私が手に入れてから二年半になる。
 気がむけば岩洞のすぐ裏手からはじまる沙漠へ【牙】を狩りに行き、そこそこの喰いぶちを稼ぎながら、天候の悪い日にはこうして道具を整えるか、書きとめるわけでもなく頭のなかで詩作にふけってみるか。
 ここの暮らしは、けっこう安楽だった …… 《生死をわかつ神》(アゾルディアド)の《闇の半面》(アゾル)を見つめながら、長すぎる余生を送る流刑の身としては。
 コトリ。
 三本目の矢はずをそろえおえたとき、こまかい砂の小路から岩洞の石段へあがる、かすかな足音がひびいた。
 −−……かい? おはいり。
 近所の子供が使い走りで小遣いを稼ぎに来たのかと、私は顔をあげもせず声をかけた。
  先触れの使いも出さず急に訪ってすまないが
 静かに踏み入ってきた見知らぬ旅人は、旅に汚れた貧しげな外被をつけ、やはり 汚れた すりきれた 頭おおいを 手甲をつけた手で頭のおおいをはずす。
 そこには、息をのむほどの美しいかんばせがあった。
 かつて私の、唯一の、《希望》(ディアド)であった者の顔が。

 ……水流(すいる)。なぜ。 ここに。
 ……久しいの、綾士(あやし)。街の者に聞いて来たのじゃ。先触れの使いもせず訪うてすまないことだが。

 皇帝(みかど)の寵を一身にうける高貴の若者は、宮廷儀礼そのままに優美に一ゆうして言った。

 ……聖君ぶりか。それも時と場合による。路銀がつきて、この三日みずだけだ。
 このよい匂いの源を、少し




香蛇竜(カダル)

 


 1991.1.8.

 神の声の記憶を持つ、マーシャタイプの少女。借金の為に身売りをせまられた村仲間に代わって進んで遊里に身を落とすが、決して崩れない。
 ある日、暴れ牛が市に逃げ出して、子供が踏まれそうになるのを突き飛ばして彼女が危うくなった時、弓の一撃で救い出した旅の一行の若者がいた。
 若者は東方より来た皇子であり、その時は一言二言かわしただけで「ご無礼を」すぐ別れる。





 1979.6.12.

 東方の国より旅をして来たうら若き剣士(ヒゲクマさんの沖田総司、もしくは信吾風)と仲間(一応家来)、王都に自分らを探している気配があるのを感じて身分を隠して入るが、見つかって王の家来にとりたてられる。
 遊女となってはいるが、税が払えないでしょっぴかれようとしている人を見ると飛び出して行っては役人にあり金全てを渡してしまう少女。けれどそれではほんのわずかな人々しか救えないので、権力と肩書きが必要になった。
 そこに、かの剣士のうわさを聞き、また直接、話をした事もあったので、ある夜半、単身、彼の館へ潜り込む。
 「この世にはなんの地位も血統もございませぬ。でも、わたくしはもう何世代も前から救世主たるべく運命づけられ、そのための準備をしているのです。」
 「なんですって。あなたは神の声を聞いたのですか? そして、生まれる前の事を覚えている?
 なんと、それではあなたこそ私の探していた人なのだ。」
 「え!?」
 「わたしも神の声を聞いたのです。救世主たるものを助けるように言われた。だからわたしははるばる旅をして来たのです。」
 「おお!! では、《東方より来る正義》というのはあなたの事でしたか。ありがたい。今こそ時は来たのです。」

                    ……完。





 1981.1.8.

 ☆ 一人の宿命を負った少女の、魂の成長記として。
   アトランの純ティカース系の少女にしては《神》が
   出て来るのはおかしい。滅びし、リース神か。





 1981.5.17.

 多分、大地母神の事でしょう。


 

 6/12 夢

「この世にはなんの地位も血統もありませぬ。
 でも、わたくしはもう何世代も前から救世主たるべく
 運命づけられ、そのための準備をしているのです。」

「なんですって!! あなたは神の声を聞いたのですか?
 そして…… 生まれる前のことを覚えている!?」

「お信じにならなくてもかまいませぬ。
 でもどうかお願いでございます」

「なんと……それではあなたこそわたしの探していた人なのだ」

「え?」

「わたしも神の声を聞いたのです。そして救世主となるものを
 救けるように言われた。だからわたしははるばる旅をして
 きたのです。」

「おお!! では《東方より来る正義》というのは
 あなたのことでしたか!!
 ありがたい。いまこそ時は来たのです。」




 東方の国より旅をして来たうら若き剣士(沖田宗司風≒信吾)と
 仲間たち
 王都に探している者のいる気配を感じて身分をかくして入るが、
 見つかって王の家来にとりたてられる。

 遊女となってはいるが、もうけた金をすべて他人を救うために
 使ってしまう娘。
 税が払えないでしょっぴかれムチうたれる人を見ると
 飛びだしていっては役人にあり金全てを渡してしまう。
 けれどそれではほんのわずかの人しか救えないので
 権力と肩書きが必要になった。

  そこで そこに力の剣士のうわさを聞き、
 また直接話をしたこともあったので


 
   2.

 「くそっ(ヴァル)!」
 あまり上品とは言えない悪罵をつぶやいてカナヤは汗をぬぐった。
 塩気が、とうにすりむけた手のまめにしみて顔をしかめる。
 もとをただせば農奴などではない。

 「歌女、昼餉だよ」


 (※シャーペンと色鉛筆描きのイラストがあるのですが、
   みなさんにお見せできないのが……以下同文……☆ )

 
カナヤ
タニヤ
タミヤ
カムヤ

オドゥン
オ・ドゥン
オウドン
オードン
ドゥオン
オドゥン

☆サタナクラ。奴隷文化の土地。
☆そこに売られてきたタニヤはすこし獣じみた野生の眼をもつ、赤い肌、赤い髪の歌女(ウタヒメ)である。
季節農奴はブナンジュの摘み取りと植え替えに忙しい。   ……読めねーな★(※)
☆各地の奴隷農場では《主義者》の取り締まりが厳しくなっていた。
☆奴隷達の人気を集めるタニヤに、南方の白人の医師、ドゥオニは自ら主義者であると名乗って近付くが、
☆夏至の太陰の奴隷祭の夜、密告者であることが知れて皆になぶり殺しにされた。
☆そして季節の終わり。タニヤは迎えの主義者達と共にサタナクラを去った。

 破滅(ヴァルス)の名を持つ男。

 
   1.

 ひょおっと風が吹きさ泣く。
 サタナクラは奴隷文化の中心をなす土地である。
 朝、遠い地平の日の出とともに銅鑼や鐘の音(ね)が響きわたり、使役される人々の群れは幾百幾千もの列を作って移動をはじめる。

 ……はいよぉー。
 ……ほいぃ……

 長く尾をひく独特のかけ声が順送りに園地へ去って行ったあと、北斜面の掘っ立て小屋に残されるものといえば、にわとりに荒地山羊か。
 光さしそめた広大な盆地はすぐに熱気の鍋となる。
 川はない。
 赤く灼けた世界をわたる風が月日にさらされた帆をまわし、ゆっくり、ゆっくりと、木組みの動輪がわずかばかりの濁水を汲みあげる。
 水運びは子供の仕事だ。
 女は固い黒紫の果実をもいで、ずっしりと、身の丈ほどの籠に積みあげてどこまでも引いてゆく。その、後から、枝をはらい、根を掘りおこして、男たちが来年のための苗木を植えて続く。

 ……仕事は辛くはない。
 生まれてから死ぬまで。
 ひとは園地で年をとる。
 ……けっして辛くはない。

 ひょおぉ……
 今日も、ブナン樹の固い葉だけが揺れるすりばち状の広原を、熱砂と日差しが吹きぬけてゆく。

 赤い風ふくサタナクラ。

 ……そう、ひとは彼の地を呼んだ。



 
 苦 夏 


サタナクラ  人口10万前後の盆地。
       嗜好品ブナンジュのプランテーションで、
       どれいの街。

カムヤ    自由農民から歌を詠んで詩人になり、
       シュギシャとなる。統(トウ)の者。

オドゥン   密告者。偽ってカムヤに近づく。

カンナキアス 伝説の家統(カトゥ)の創始者。 

 アトランの西南に位置したと思われる大国レグの国史の中に、少女ウィナ …… 後の処女王アーゴンシュカ …… の両親であるとされる2人は上のような形で登場して来る。2人はありとあらゆる因襲を一笑に付して払いのけ、自ら成した巨額の財力を背景に、この時代、この地方に於ては信じられない程の自主独立の姿勢を保っていた らしい 。レブの一臣下の立ち場でありながら、帰順した周辺諸国家の元首並みの扱いを、ダイ王から受けていた、と記録にはある。とまれレブのダイ王の三十七年、ズードリブールの侯爵妃は一女をもうけ、ウィナ・アケイン・アンゴルシュカと名づけられた。(※)


 バシャッ。
 中庭で起った水音は、幼いウィナが泉水の中に飛び込んだのである。熱い夏陽のもとで、芝を敷いた中の石造りの泉はいかにも涼味を誘う。八歳になったばかりの生意気盛りの少女が母の言いつけを破っても再三泳ぎたがるのは、まあ、無理からぬ事であった。
 館(たち)の中で執務中であった父母も窓下で虹をはね散らして遊ぶ楽しそうな様を見てしまっては、我が子の親ゆずりの反骨精神を苦笑する以外手がないのだろう。もとより溺死の危険性を案じての禁止であったのだから、ウィナが魚なみに泳げる程になってしまえば止める理由もないのである。
 ウィナは背中を下に、手先と脚だけを使って深く深く、水面下へともぐって行く。泉水の深さは3m程か、ピタリ、と張りつくような姿勢で30秒も横たわっていればすぐに息が苦しくなって浮上してしまうのだが、それでも少女はそうやって光きらめく空 − 水面をながめるのが好きだった。
 ひとしきり1人で泳ぎ回った後、ウィナは泉の噴き出しの上によじのぼって体をかわかすのが常である。周囲の木立の影では遊び仲間の子供達が女頭領の帰りをながめながら待っているわけなのだが、



(※)アンゴルシュカの娘ウィナの意。当時正式名は成人式の際に贈られた。

   ウィナ様 …… で、ウィラ。
   ウィラ・アーゴンシュカ = アーゴン王のウィナ様。
 
 ある昼下がり。埃のたつ雑踏の市の辻で、道を行く婢女(はしため)の1人が頓狂に声をあげた。
 「あれ見さいのう。あれに行かしゃるはズードリブールのお館さまでは」
 ズードリブールの名が出ると共に、人々の顔が自然と指された方を向く。
 と、そこには長い絹裳の裾を風になびかせて、堂々と馬上にある貴婦人の行列があった。
 白にえんじの鮮やかな上衣に 同色 逆配色の裳を着けて、宵闇色の被衣を涼やかに浅く打ち掛けただけの姿である。ズードリブールの館さまと呼ばれる女性は、衆人の中で輿の垂れ衣を降すどころか、美しい横顔をさえ陽にさらして、馬に乗っているのだった。
 わずかに臆した様子でやはり馬の背に揺られながら続く、華やかでいてどこか清楚な装(なり)の従女達。頬を紅潮させ、よしや乙女らや美しい女主人に無礼の儀を働く者のあれば、と、まだ幼なさの残る美しい青年兵が後衛に就いている。
 市場中に散開していた群集の眼と心とを一身に捕えて、ズードリブールの侯爵正妃は悠然と市の一角を目指して進んで行った。
 「なんと、アヴィン。我が妃(みめ)よ」
 一行が近づくにつれ、異国の隊商の天幕から身軽く迎えに現われたのは、おそらく舎人が知らせに入っていたものであろう、ズードリブール侯爵その人である。
 彼は口先程には驚愕した様子も無いようで、楽々とした大股で優雅に歩み寄って来ると、 アフィンと呼んだ 妻が鞍から降りるのに手を貸した。
 豪奢な、殆ど黒一色の服に身を固めた長身の侯爵の隣に立って、黒髪の侯爵妃アヴィラ・アンゴルシュカの姿は、華奢で小柄ながらも凛とした気品と気高さに光りを放たんばかりである。
 王都に住む者なら誰知らぬ事のないこの2人の並んでいる様は、嵐の天を貫く稲妻のような、それとも昼日中太陽が消えてしまった時に残るあの不思議な蒼い炎のごとき輝きを帯びているかのようで、見る者の心を思わず魅きつけてしまわずにはおかない。 なぜなら、彼らはこの時代、この世界において唯一、何ものからも束縛されない心を持った人間だったのだから。
 それでも侯爵は試みに妻をなじってみせる。
 「アヴィン、そなた、街中に出るなとまでは言わぬが、せめて輿なと車なと使うわけには行かぬのか。女人の身で馬に乗り、人前に姿をさらすなど」
 侯爵妃は笑う。侯爵の舎人たちや取り引き相手の異人たちすらが居並ぶ中で、生き生きとした声をたて、扇で顔を隠すような振る舞いもしない。
 「輿の垂れ衣越しでは民人の生活を見る事もできませぬ、馬の方が性に合うて楽にござりますわ。わたくしは、全てわたくしの自由にしてよいというお約束であなたのもとに参ったのですから、侯爵」



 『れぶノだい王ノ二十五年、騎馬民族 西ヨリ来タリテ れぶ ヲ攻ム。だい王・あぜんノ役戦ニ敗シテ和ヲ請ヒ、正妃ぐおりヲシテ騎馬ノ長ニ嫁ガシム。ソノ子ゆでぃん、マタ姫 あう゛ぃん、二児ナリ。
 あんごる トハ あう゛ぃん・あんごる妃(しゅか) ナリ。れぶノ白キ肌ト騎馬ノ族ノ黒キ髪トヲ持チテ、れぶノよしゅいノ西北、青ガ草ノ原ノ幕舎ニテ生マレタリ。十ノ歳ニ至ルマデヲ彼ノ地ニテ過ゴシ、れぶノだい王ノ三十四年、都ごどむニ来タル。
 ごどむニ侯爵アリ。貴キ血ヲ汲ム者ニシテ富裕ナルずうどりぶるノ領主。武将ノ生マレナガラ異邦ノ輩ト易交シ、巨財ヲ得ル。マタ妖術錬金術ヲモ技トシタト人ニハ語リツガル。
 だい王、宮ニ上ガリタルあう゛ぃんヲ欲ス。あう゛ぃん返言シテ曰ク、
 「吾ハ吾ガ心ノママニ生クルコトヲ欲ス。君、王ハ吾ガ望ミヲカナエルカト。」
 だい王、コレヲ拒否ス。スナハチあう゛ぃん、王ヲシテ退出セシム。
 侯爵、ソノ噂ヲ伝聞シシテあう゛ぃんニ求婚ス。あう゛ぃん再度問フ。侯爵諾シテ即ワチ後宮ノ妻妾ラヲ解キ払イ、あう゛ぃんタダ一人ノミヲ正妃トシテ娶ル。諸侯彼ヲ嘲ス。彼辞セズ。』

           …… レブ史 悲妃伝 ……



処女王アーゴンシュカの父母であると伝えられる2人について、
             実の両親であると思われる

アンティゴンウル
ウィラ=アゴン
イラ
ユリ
アヴィン


 運命(さだめ)に抗って勝てた者はいない
 もし抗って勝てるものなら
 それは運命とはいわないのだ……




 『アイネ……』の断片なのか、
 他の『長寿人』シリーズの構想なのか、
 もはや忘れた☆

 イラストは、「銀」のつもりで描いているのかな〜??
 

 オリ・キャラ劇団版「おりょうの木」

 『アイネ・イム・リザンデの滝つぼ』

 キャスト
 リザンド・デリル …… 年若い女領主
 ステラ・リー・ジョゼフィーヌ ……




  カァーリア
  ドュードナ
  ジャンナ・モルタス・ナルドール


 
 「今日は、わたしの方から尋ねたいことがあるのだが、構わないかしら。」
 稚い 領主 主人 あるじからこう切り出された時、(ディゼンドラ)は、その内容について、深く予測することもなく、応諾の返事をしてしまっていた。
 「よかった。何人かに尋いたのだが、だれも話をそらしたがってしまって、満足のいく答えを与えてくれないのだ……ミトラ のことなの について、なのだが。」
 老練な男の表情がさっと揺ぎ、質問者である公子は、やはり、答えてはもらえないのだろうかと、疑念するように第一の家令の顔を遠慮がちにのぞきこんで待っていた。
 ……そこは、王国随一のトゥリアンギアの公領の、公子の居間につづく南面の、中庭のように高い壁によって囲われた、テラスの一画だった。
 


 ◎ 登場人物一覧

 ☆ ディカール・デュアレスト・ダム・サムサーラ
    (サムサラ出の若騎士ディカール)
    主役。イズルン森出城勤務の平凡な(?)若騎士。
               ……非凡だなぁ……

  > ディア・アッサム(ディカール・ディア)
     正体不明の謎の美女(?!)。
     自分では亡兄に武術を仕込まれた下級士族の娘と言っているが、
     言動に食い違いを作っても一向に気にかけない。
     ルマルウンに誓いをたてない。

 ☆ ミアルド・トゥリアンギア・サクア
    (トゥリアンギア領主ミアルド)
    主役。神王の不義の長子。

  > ミア・トゥ隊長
     忘れ病の勇戦士。ディアに助けられ、以来共にいる。


(ミアルド側)

 ● アルシア・ナタル …… 元公子の侍女。恩を受け、公子にミトラを捧げる。(ミトラ)
 ● リージア・ナタル …… アルシアの義妹。ルマルウンに剣を捧げるもの。(ミトラ)

 ● ク・スールァ侯 …… トゥリアンギアの実質的な管領。
             ミアルド公子の養・教育者。
             また目付・監視役でもあるをも課せられている。
             スールア家の族長。

 ● 男I …… 愛人である 女I が妾にやられるのを防ぐ為に、
        離縁してアセドの魔薬に手を出し、士卒に捕らえられた。
 ● 女I …… 男Iの愛人(ミトラ)。刑を受けた男を追って鉱山(やま)へ行く。



(ディカール側)

 ●早耳 …… 若騎士修業時代の友人。
      (もっと重い役割を負わせるか否か?)

 ●タジ・タン …… イズルンの馬飼い見習い。ディカールを慕う。
 ●タジ・ホン …… タンの姉。ディカールに恋する。

 ●母親 …… サムサーラの森の祭司・巫女の一人。ディカールの母。

 ●タッサール将軍(侯爵) …… タイマア軍側の総指揮官。
  女戦士ディアを愛し、ディカール・デュア、ミアルドの物語を知る。

 ●男II + 女II …… ミトラ・タと呼び合う中でありながら殺しあった。
           その事を公言して、男も怒る民衆に殺された。




 ミトラ = 《我が表裏 の 友》
          (をなす)



第1部・森のふところ 《ミトラなるもの》?

 ☆ テーマ …… ミトラ? もしくは愛情について。

 第1章・ ミトラなるもの
  = 荒筋1.and ディカールと盗賊の長と早耳くんとゾンビの話

第2部・還るべき者 『《母》?』

 ☆ 《還るべき掟》=『母』 についてディアが把握するまで。

 アトル・アン古伝説シリーズI.であることは間違いない。


◎粗筋Iについて。

 ヘッセはやめましょう。あたしはNaNaのやり方が好きだ……マンガと同様に、場面選択による具体的な描写によって……だけど少しは抽出的な表現も混ぜて。

☆ 三身の法 …… 第83代王タンプゲイルトが定めた。

 『大罪ありし時、その咎(とが)三身に及ぶべし』

   後に《罪》だけでなく「処分」に関する掟となってしまう。
   加えて《心をつないだ者》をも身内とみなす不文律があるが為に、
   立場の危しげな者とは親しくすることも同情をかける事もできない。

モチーフI. 公子11〜2歳くらいの時。

 教育係でもありトゥリアンギアの実質的な宰領でもあるタインジェア伯と公子との会話。「それではおまえもわたしの血縁以外の身内=ミトラとはみなされないのか、タイン伯?」「お許しを、閣下。今までの所わたくしは王陛下に申し付けられた事以外は決していたしませなんだ。この限りでは私は閣下(あなた)…… >原稿。

モチーフII. 公子18くらいかな。

 馬で領内をぶらついている。騒ぎがあるので寄って行ってみると罪人の刑罰についてである。 >原稿。


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