『 二、 』 (@たぶん中学1年の。)
2007年6月17日 連載(2周目・最終戦争伝説)二、
清峰鋭(きよみね・えい)は捨て児でした。
秋の終りの冷たく澄んだ朝、泣きもせずじっと空を見上げていた赤ん坊を、見つけてくれたのは院長先生です。
一目で混血児(ハーフ)とわかる顔だちと、貧しいけれど一針一針の細かい手縫いの産着の「Α」の縫い取り。
利発そうな瞳をしているからと、てっとり早く頭文字に漢字をあてて、始め彼には鋭子という名前がつけられたそうです。無論おしめを替える段になって、慌てて下の一字は取り払われたのですが。
とにかく一目見て誰もが女の子だと信じ込んでしまう程の透けるような美しさと、理知的とでも言うべき瞳の光を持った、珍らしい赤ん坊ではありました。
名前にふさわしく、彼が類い稀な高度な知能を持って生まれた事に周囲の人間が気づき始めたのは、彼鋭が小学校へ入学した頃でした。
入学時の知能検査でIQ300という数値がはじきだされた時にはまさかと笑って130の間違いであろうと考えていた大人たちも、どこで字を覚えたものか一年坊主が生意気に大人の新聞を読み始め、稚拙ながらもかなりまともな「見解」を熱心に話すようになった時、“これは!”と思ったそうです。
彼の興味は最初からもっぱら科学に向けられていたらしく、童話や絵本の変わりに難解なSF小説を読みあさり、近所の大学生の所へ入りびたっては、相対性理論やら万有引力やらを聞きかじって帰るようになりました。
彼の夢は科学者となり大宇宙船を建造する事。
そしてそれが災厄をまねいたのです!
その男がやって来た時、園庭で鉄棒をしていた鋭は一目で不吉なものを感じとった。
それがどこから来るものだったか。
もしかしたらそいつの蛇のようなてらてらと光を反射させる眼に原因があったのかも知れないが、なにも世界中に蛇眼が奴一人しかいないわけではなし、わけのわからない異様な恐怖を感じた事の方に、かえって鋭は疑問を感じた。
そう、何かを恐れる必要などありはしなかったのだ。
男は設立されたばかりの国立科学者養成センターの事務官の一人であり、IQ300という類い稀な知能を有している鋭を、全額支給の特待生という形で編入させたいと申し入れて来たのだ。
願ってもないこと。
科学だけが目的の孤児である鋭にとっては、正に福音の鐘の調べのような話である。
否も応もなく鋭は承知し、
「では明後日。」
迎えをよこすと言って男は帰って行った。
鋭は降って湧いた幸運に日頃からの成人顔負けの冷静な洞察力を失ってい、帰り際に男の見せた不吉な笑いにも気づく事なく、ただ彼を我が子同様にかわいがってくれた孤児院の院長だけが、苦渋に満ちた青い顔をして凝っと額を押さえていた。
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『 序章 一、 』 (@たぶん中学1年の?)
2007年6月16日 連載(2周目・最終戦争伝説)序章 一、
深夜、満月の晩。
人間言う所の妖精の輪(フェアリー・リング)に繰り広げられる饗宴の、お祭り騒ぎの中央ややはずれ、一つの大きな車座の一環に、真里砂(マーシャ)は歌い、手を打ち、笑いさんざめきながら座っていました。
なにも世間一般には普通の人間で通っているところの連中が彼女の他に混じっていないわけではなく、それどころか同じ朝日ヶ森学園の仲間たちなど一人二人に限らず、(全地球的に見れば)かなりの高率でまぎれ混んているに違いないと彼女は踏んでいたのだが、それでもやはり誰かにその場を目撃されたとしたら、
「気が狂っておりました。」
以外思いつける言いわけはなかったでしょう。
けれど無論、彼女はそんな事を心配してはいなかったのです。
なぜか磁石(コンパス)の利かない人跡稀な大森林。
とりわけ険しい山崖に囲まれて、自然の力で十重にも二十重にも注意深く隠されているからこその集会場です。
仲間、友人、もしくは味方でも客でもない人間に発見される可能性は万に一つもありませんでした。
あかあかと篝り火は燃えさかり、虹の火花の尾を引いて、極彩色の虎が天空高く駆け上りました。
それを追うかのように別の一角から極楽鳥が舞い上ります。
魔法の大家たちが、余興にとその技を一部披露し始めたのです。
青い帽子に銀のスカーフを身につけた、かの老魔法使いの姿も見られるようでした。
夜空が彩られる度に、気のいい野次と、嘆息と、掛け値なしの喝采が上がります。
森の彼方の小さな街(まち)に、もしまだ起きている人間がいたとしたら、雲一つない星だらけの空の、小さな雷ほどにも見えるのでしょうか。
だれかが舞い装束の真里砂を描きだして見せたので、返礼に彼女は、その術の主の頭上に銀の流星を十ほども降らせました。
その流星の最後の一つが地面に落ちて、青色のほっそりした草に姿を変えた丁度その時です。
真里砂の脳裏、心の奥深くに、誰かの救けを求める声が響きました。
その声を捕えた途端
いきなり目の前の空間に現われ出た人物に皆は騒然となりました。
年の頃十二・三の、真里砂と同年代。
一見して黄白混血とわかる顔だちと、日本人にしては明るい髪の色。
包帯がわりに巻かけた血に染まったシャツの切れ端が痛々しい大腿。
飢え渇き疲弊した青く冷えきった体
誰?
誰だ。
この少年は誰!?
すぐさま、その場を取りしきる立場にある、不思議の長老たちが中央に歩み出て来て声高に呼ばわりました。
「静かに。皆静かにしてくれ! この者をここに呼び寄せたのはだれ。この少年は何者?」
「私です。」
真里砂は立って素直に前へ出てゆきました。
「突然の非礼おわび申し上げます。救けを求める声が聞こえたので咄嗟に呼び寄せてしまいました。いったい誰なのかは存じません。
彼女は振り返って呼ばわりました。
「すみません。この人が危険と感じているものが何なのか、教えてもらえませんか。
フィフィシス。
フィと呼ばれたその女性は、足もとまでも長く流れる緑の髪をひいて盲いた瞳で横たわっている少年のそばへ歩り寄り、ひざまづいて、すっ、とさしのばした両手の平を、ぴたりと彼の額に押し当てました。
「……(キ・ケ・ン……)」
少年の頭から読みとれる、きれぎれの思考の断片が、低い少女の声で語られました。
「(見ツカリタクナイ)……(見ツカレバ、記憶ノ消去)……(洗脳・科学者養成せんたあ)
フィは立ち上がると、出て来た時と同じように静かに人の輪の外へ戻ってゆきました。
事情の飲み込めた者(主として混じっている人間たちですが)たちの間に低いざわめきが起り、長老たちが再び真里砂の方へ向き直りました。
(……で? どうするつもりですか?)
真里砂は考える時の癖で少し右の眉をつり上げていましたが、すぐに
「……呼び寄せた以上、わたしには責任がありますし……それにどうやら、どのみちわたしの仕事のようですから。」
それだけ言うと一礼して、少年の体を負い上げて歩き出します。
有難い事に少年の体は思ったより重くなく、真里砂は楽に歩く事ができました。
はるかに年上の友人たちと別れの挨拶を交わし、草地を横切って岩まで来る頃には、背後では再び歌と踊りが始まったようです。
ひとまず少年の傷の手当てができる泉の所まで歩くつもりで、12歳の美少女は慣れた足つきで真暗な地下道の中へ降りてゆきました。
(☆「人間言う所の妖精の輪」と、「魔法の大家たち」だの「青い帽子に銀のスカーフを身につけた、かの老魔法使い」(^^;)”……たぶんこのフレーズが出て来るということは、甲斐悠紀子の『フェネラ』を読んだ直後で、英文直訳体である「〜ところの」を習ったばかり、くわえて既に『指輪物語』の影響下にもある……、中学1年後半(二学期以降)時点の原稿です……☆ A^-^;)” )
『 一、 』 (@中学1年か2年?)
2007年6月15日 連載(2周目・大地世界物語)
◎就学年齢の年に、皇女は隠れた館で
育てられるため大つ森に向かったが、
ボルドムにおそわれ(!?)絶体絶命の
ところを白狐に引き入れられ、
夢が夢中で反対側に飛び出してしまった…… 資料No.1
一、
少女が森の中の有澄(ありずみ)夫妻の別荘に現われたのは、昭和の時代が終って新しい天皇が即位してより六年目のことだった。
十月の高地の嵐の晩に、別荘の裏手を流れる急流の天然のダムに打ちあげられていた所を有澄夫人に発見されたのである。
三日三晩の生死の境をさ迷う高熱が引いた後、小女の心の中には過去の一切の記憶が既に残っていなかった。
が、不思議なことに、この少女は自分に記憶がないことになんの恐怖も疑問も抱かないようであったばかりか、長い戦いが過ぎて久し振りの休暇をもらった戦士のような一種の雰囲気、
少女は明るく、愛らしく、無邪気で、慣れぬ耳には絶えず旋律の変化する歌のようにも聞こえる風変わりな言葉を使い、(有澄夫妻には通じないのは承知の上で)しょっちゅう楽しげに話しかけた。
まるで生まれたばかりのまだ空を飛べそうな赤ちゃん(バリの『ピーターパン』参照)のようだったと後に有澄夫人が語っているが、とにかく言葉が通じないのではしかたがないと夫人が身振り手振りを混えて教え始めた日本語を、あっと言う間に驚くべき速さで身につけてしまった。
一月もたつうちには、発音や言い回しを別にして、年相応に(推定で6歳前後と見られた。)正確な日本語をしゃべることができるようになったのである。
(★「昭和の時代が終って新しい天皇が即位してより六年目」
……と、いう、文章を書いていたのは、私が中学校の頃だから、つまり
昭和の50年代前半です☆ (<「近未来FT」だったのね〜☆)
(☆「コクヨ ケ−60 20×20」原稿用紙、シャーペン縦書き。)
P7.
冴子(さえこ)夫人は嵐の窓辺に立って森の荒れ狂う様をながめていました。
繰り返し聞こえる悲しい呼び声は、いくら幻聴だと自分に言い聞かせてみても激しく心をゆさぶります。
助けて 。ママ ! 暗くて寒いよ。恐いよォ!」
それは、遂に産声(うぶごえ)を聞かせてくれることのなかった冴子夫人の娘、真里子の救いを求め泣き叫ぶ声です。
結婚5年目に待ちに待った最初で最後の子供を流産し、二度と子供は持てないと宣告された時、夫人は半狂乱になって三日三晩泣き続けたものでした。
以来、朝に夕に真里子の泣き声が遠くから聞こえてきました。医者は、ショックによる精神衰弱から来る幻聴だと言い、勧められるままに森の奥深いこの小さな別荘へ療養に来てから1年が過ぎ、今、冴子夫人は辛い決心を固めようとしていました。
ピカッと稲妻が走り、寸暇をおかずに雷鳴が地をゆるがし、また一陣の突風が窓ガラスに大粒の雨をたたきつけて来ます。
が、その一瞬、冴子夫人は確かになにか動くものを見ました。
彼女の方をふいとふり返って見た透(とおる)氏は、そのひきつった表情を見てぎくりとしました。
「どうした!? また発作なのか!」
もう、治ったと思っていたのに……。
彼の言葉にはそんな悲痛な想いがこもっていました。
「いいえ、いいえ違うの。幻覚じゃないわ。あそこ……柵の所に、なにかがいるの」
「まさか、この嵐の中を出歩ける奴がいるものか」
その時、ひときわ明るい雷が空全体を紫色に浮かびあがらせました。
「まちがいないわ、透。ほら!」
P8.
とめる間もなく、冴子夫人は嵐の中へ飛びだして行きました。
「冴子!? おい冴子!!」
一足遅れて、透氏が追いかけてみると、柵の外に全身泥まみれになって小さな女の子が座っていました。
その傷だらけの姿を見て、透氏は冴子夫人が悲鳴をあげるのだろうと思いました。
が、冴子夫人も根はしっかりした心の強い女性です。
蒼ざめた顔できっと目を見開いてはいましたが、けっしてうろたえた真根はしませんでした。
「あなた、あなた! しっかりしなさいっ! 眠るんじゃないわよ!」
冷えきった体でぼうぜんと空を見つめていた少女は、冴子夫人に頬をたたかれてはっと我に帰りました。
「アルテス! アルテス ダレマヌウク!」
助けて。助けて、お母さん。
聞いたこともない言葉でしたが、言っていることは容易に理解できました。
少女は冴子夫人を自分の母親とまちがえて必死ですがりついてきたのです。
「スタクアラム ドル マリーク イマルスア?」
どうしたらこの森から出られるの……
それだけ言って再び沈み込むようにくずおれた少女の瞳は恐怖でいっぱいになっていました。
少女を暖かい家の中に運び込んだ時、透氏はまず夫人に服を替えてくるように言いましたが、彼女はがんとして聞き入れませんでした。
壁の中央に切り込みになっている古めかしい暖炉に、どんどん石炭をくべて部屋の中が暑くるしく感じられるほどになりました。
泥だらけの服を脱がされて、かわいた暖かい所に移された少女は、額も頬も燃えるように熱く、それでいて手足は冷えきったまま、少しもぬくもりが戻ってきません。
もし、この子がこのまま死んでしまったら……。
P9.
必死で少女の看病をしている冴子夫人を見て透氏はぞっとしました。
どこから来たとも知れないこの少女が、もし、このまま死んでしまうような事になったら、彼女は今度こそ本当に気が狂ってしまうのではないでしょうか。
夫人自身もやはり同じことを考えていました。
少女が夫人にしがみついた時の顔が、夫人の心の中で、死んだ真里子の幻影と重なります。
生まれる前に死んでしまった娘、と、今ここで生死の境をさ迷っている見知らぬ少女と、面影が似ているというわけでは決してないのですが、どうしても、もう一人の自分の娘、さもなければ死んだ真里子の生まれ変わりのように思われてしかたがないのです。
…………続…………
.
冴子(さえこ)夫人は嵐の窓辺に立って森の荒れ狂う様をながめていました。
繰り返し聞こえる悲しい呼び声は、いくら幻聴だと自分に言い聞かせてみても激しく心をゆさぶります。
それは、遂に産声(うぶごえ)を聞かせてくれることのなかった冴子夫人の娘、真里子の救いを求め泣き叫ぶ声です。
結婚5年目に待ちに待った最初で最後の子供を流産し、二度と子供は持てないと宣告された時、夫人は半狂乱になって三日三晩泣き続けたものでした。
以来、朝に夕に真里子の泣き声が遠くから聞こえてきました。医者は、ショックによる精神衰弱から来る幻聴だと言い、勧められるままに森の奥深いこの小さな別荘へ療養に来てから1年が過ぎ、今、冴子夫人は辛い決心を固めようとしていました。
ピカッと稲妻が走り、寸暇をおかずに雷鳴が地をゆるがし、また一陣の突風が窓ガラスに大粒の雨をたたきつけて来ます。
が、その一瞬、冴子夫人は確かになにか動くものを見ました。
彼女の方をふいとふり返って見た透(とおる)氏は、そのひきつった表情を見てぎくりとしました。
「どうした!? また発作なのか!」
彼の言葉にはそんな悲痛な想いがこもっていました。
「いいえ、いいえ違うの。幻覚じゃないわ。あそこ……柵の所に、なにかがいるの」
「まさか、この嵐の中を出歩ける奴がいるものか」
その時、ひときわ明るい雷が空全体を紫色に浮かびあがらせました。
「まちがいないわ、透。ほら!」
P8.
とめる間もなく、冴子夫人は嵐の中へ飛びだして行きました。
「冴子!? おい冴子!!」
一足遅れて、透氏が追いかけてみると、柵の外に全身泥まみれになって小さな女の子が座っていました。
その傷だらけの姿を見て、透氏は冴子夫人が悲鳴をあげるのだろうと思いました。
が、冴子夫人も根はしっかりした心の強い女性です。
蒼ざめた顔できっと目を見開いてはいましたが、けっしてうろたえた真根はしませんでした。
「あなた、あなた! しっかりしなさいっ! 眠るんじゃないわよ!」
冷えきった体でぼうぜんと空を見つめていた少女は、冴子夫人に頬をたたかれてはっと我に帰りました。
「アルテス! アルテス ダレマヌウク!」
聞いたこともない言葉でしたが、言っていることは容易に理解できました。
少女は冴子夫人を自分の母親とまちがえて必死ですがりついてきたのです。
「スタクアラム ドル マリーク イマルスア?」
それだけ言って再び沈み込むようにくずおれた少女の瞳は恐怖でいっぱいになっていました。
少女を暖かい家の中に運び込んだ時、透氏はまず夫人に服を替えてくるように言いましたが、彼女はがんとして聞き入れませんでした。
壁の中央に切り込みになっている古めかしい暖炉に、どんどん石炭をくべて部屋の中が暑くるしく感じられるほどになりました。
泥だらけの服を脱がされて、かわいた暖かい所に移された少女は、額も頬も燃えるように熱く、それでいて手足は冷えきったまま、少しもぬくもりが戻ってきません。
P9.
必死で少女の看病をしている冴子夫人を見て透氏はぞっとしました。
どこから来たとも知れないこの少女が、もし、このまま死んでしまうような事になったら、彼女は今度こそ本当に気が狂ってしまうのではないでしょうか。
夫人自身もやはり同じことを考えていました。
少女が夫人にしがみついた時の顔が、夫人の心の中で、死んだ真里子の幻影と重なります。
生まれる前に死んでしまった娘、と、今ここで生死の境をさ迷っている見知らぬ少女と、面影が似ているというわけでは決してないのですが、どうしても、もう一人の自分の娘、さもなければ死んだ真里子の生まれ変わりのように思われてしかたがないのです。
…………続…………
.
P1
大地の国(ダレムアス)物語・「皇女・緑の炎」
第一部 地球 森の少女
どうどうとたけぶ荒れ狂う嵐の森の中を、少女は必死で逃げていました。
雷(いかづち)が天をさき、風が木をひき倒し、大つぶの雨は横なぐりにたたきつけて、闇の中、一寸先も見ることはできません。
枝の先や鋭い下草が、少女の手足を刺し、衣服をとらえてひきちぎります。
冷たい雨に打たれて、少女はすでに感覚を失っていました。
あるのはただ恐怖と、少しでも遠くへ逃げなければというあせりだけです。
追手があるのか、ないのか、どちらへ行けばこの樹海から抜け出ることができるのか。今の少女にはそんなことは何もわかりません。恐怖に耐えるにはあまりに幼なすぎて、無我夢中で遠くへ、遠くへと走って行く以外、他に何ができましたろう。たでしょう。
安全な所へ!
足を踏みはずしたその一瞬、自分をかばうために後に残った、おそらくはもう殺されてしまったろうトルザン卿の、最後の声が頭に響きました。
「お逃げなさい。少しでも遠くへ。安全な所へ。そして身を隠すのです。
けっして御身分をあかしてはなりませんぞ。けっして!」
けっして けっして けっして ....
がんがんと割れるような頭の中に最後まで残っていたのはそれだけでした。
濁流に足下を大きくえぐり取られていた崖のふちは、少女の重みに耐えかねて、ぐらりとばかりに傾くと、少女を乗せたまま数メートル下の激しい流れの中に落ちて行きます。
遠のいてゆく意識の中で、少女は渦巻く水面(みなも)に見えかくれする黒くなめらかな腕が、稲光りの中にぼうっと浮かびあがるのを見たような気がしました。
腕の主たちはとても美しく、猛々しくて、かみつき、ひきさき、踏みにじって、およそ思いつく限りの乱暴をしながらも、なぜか少女にだけはその荒々しい手を出そうとはしませんでした………。
P2.
次に気づいた時、少女は川の中州にうちあげられていました。
嵐はいっこうにおとろえる気配を見せず、川の水位はどんどん上がってきます。
このままここにいれば、再びこの濁流に飲み込まれてしまうでしょう。
そうなったらおしまいです。
少女の体は冷えきっていて、これ以上川の中にいて、生きのびられるだけの体力は残っていないのです。
少女にはそれがわかりました。
それでもいいような気もしました。
全ての望みを失ってしまったように思える今、幼ない少女にとって死ぬということはそれほど怖しい意味を持たなかったのです。
少女の心の中に、死人(しびと)の霊魂(たましい)を冥界へ運ぶ者たちの誘う声が響きました。
おいで。おいで。少し体をずらして、川の流れに身をまかせるのだ。
おまえの肉体(からだ)は川がいいようにしてくれるよ。海へ運んでゆくよ。
「海へ?」 少女はなんとか体を持ち上げて尋ねました。
そうさ、この世界では人間の肉体(からだ)は海から生まれ、海へ還ってゆくのだ。この丸い地の国(ティカース)ではな。
「……ここは大地の国(ダレムアス)ではないのね……」
そうだ。ここはおまえの故郷からは遠くはなれているよ。
「大地の国(ダレムアス)へ帰りたい。お母さまの所へ帰らせて。」
“声”たちはしばらく答えませんでした。そのうちに一つの“声”が言いました。
残念だがそれはできない。……わしらにその力は与えられていないのだ。わしらにできるのはおまえを冥界へつれてゆくことだけなのだ。
「そこにはなにがあるの。」
P3.
なにもない。冥界にいるのは魂(たましい)の司(つかさ)たちと、たくさんの眠っているたましいだけだよ。
“声”の語る言葉を夢現(ゆめうつつ)に聞きながら、少女は川の中へ体を入れました。冷たい水がすぐに少女の心を肉体からひきはなします。
そうだ。それがいい。おまえの背負った運命(さだめ)はおまえには重すぎる。別の世界へ行った方が良いのだ。 さあ、もう足下に道が見えるだろう。真直ぐ行くのだよ。
言われた通りに少女は歩きはじめました。
気がつくとすぐ隣になにか明るいものを掲げた人がいます。
それが少女を導く“声”の主(ぬし)でした。
暗くて悲しい闇の中の道にぽつんぽつんと同じようなかすかな明かりが動いてゆきます。
すぐ前にいるのはトルザン卿なのでしょうか?
それは自分自身を送る死者たちの葬列でした。
「これからどうするの?」
なにも。冥界では人はなにもしないのだ。ただ、眠って自分の過ごしてきた一生の夢を見る。
夢が終った時、また別の世界へ、新しい人生に向って船出する……。
おまえの次の人生が今より楽なものであることを祈っているぞ。
……ほら、あそこじゃ。
前の方に死者と生者を隔てる大いなる扉がありました。
いかなる賢者、魔法使いといえど、生きてあの扉の内に入ることはかないません。
「あれは……?」
少女は扉のわきを通ってはるかにのびていくもう一本の道を指して尋ねましたが、答えを得ることはできませんでした。
扉が音もなく開かれました。
ここへ入れば、今までのことはすべて忘れられる。眠って心の傷をいやすがいい。
P4.
少女が恐るおそる扉の内へ踏み込むと、とたんになんとも言いようのない安らかな眠気があたりを覆います。
少女がその中に自分を委ねようとした、その一瞬。 扉の外から一本の腕がのびて、ぐい、と少女を引き戻しました。
扉の外のもう一本の道から、不意に現われた影があったのです。
「無礼者!はなしてっ!」
突然の事にかっとなって少女が叫びました。
いまだかつて手荒な扱いを受けたことのない高貴な生まれの者に対して、なんというまねをするのでしょう。
心地(ここち)良い眠りから引き戻された怒りと相まって、激怒している少女の頬に、ばしり! と 平手打ちが飛びました。
「お目をお覚ましなさい!」
厳しい口調にはっとして顔をあげると、そこには、少女の故郷の衣服をつけた女戦士の姿がありました。
どこかで見たことのある女性です。
そしてその人は生きていました。
少女を追って、生きたまま、世界の外へやってきていたのです。
「おまえは……」
女戦士は片ひざをついて少女の手をとりました。
「皇女…」
深いまなざしがまっすぐ少女にそそがれているので、おのずから視線をかえさずにはいられません。
いつのまにか、少女は女戦士に対する怒りを忘れていました。
「皇女。あなたにはまだ、この扉を越えることの意味がわかっておられないのです。この扉の内側に入った時、人は全ての記憶を失ってしまわれるうのですよ。」
信念を持って話しているのは確かでしたが、なぜかひどくつらそうな顔をしていました。
「今現在あなたがその事をどう思われようと、あなたは皇の御息女としてお生まれになられました。そしてそれは過去の幾多の人生の中
P5.
の行動を通して、あなた御自身がお選びになられた事なのです。
行末の困難が案じられるからといって、今になってそれからお逃げになるのですか? あなただけの事ならばともかく、皇女は国の存亡の鍵を握る方なのです。あなたがいなくなれば、大地の国人(ダレムアト)たちはどうなるのです。……皇女、幼ないあなたに対してむごいことだとは思います。思いますがどうか、どうかお戻りになられますよう…………。」
戦士が言葉を切った時、冥界への導びき手が吼えるように叫びました。
ならん。ならんぞ。いかな不死人(ふしびと)のおまえでも、一度(ひとたび)扉の内に足を踏み入れた者を連れ帰ることはできぬ。来るのが遅かったのじゃ。その娘は既に冥界の人間ぞ!」
「わたしが連れ帰るのではない。御自分の意志で帰られるのだ」
戦士はきっとなって言い返しました。
「皇女にはそれだけの“力”がある!」
力があってもそんなことはせぬ。おまえたちがこの娘に負わせた運命は重すぎるぞ。好き好んで身にあまる重荷を背負おうとするものがどこにいる。
戦士はうなだれて、言い返す言葉を持たぬようでした。
これで決まりだな。……さ、こちらへおいで。おまえはもっと自分にふさわしい人生を歩むべきだ。
少女はなおも扉に目をうばわれながら必死で後ろへさがりました。
あの安らかな眠りの中に入りたくて入りたくて泣きたいくらいです。
でも、でも……。
「辛い所より楽しい所に行きたいと思うのは逃げることになるのね」
逃げることは罪ではない。おまえにはそうする権利があるのだ。
少女は懸命にかぶりをふりました。
だめ!だめ!
涙があふれて扉の姿がぼやけました。
「わたしは皇女なの。皇の娘はどんなことがあっても逃げてはいけないって、
P6.
お母さまに言われたの……」
「皇女!」
戦士は叫び、導びき手は低くうなって扉を閉じました。
「行きます! 帰ります! つれて行って下さい! ……もう、もう道がわかりません!」
少女はそのまま泣きくずれてしまいました。
(☆大学ノートにシャーペン書き。翌頁に鉛筆と色鉛筆で、多彩な闇黒の中に聳える「扉」と宝珠のついた「杖」を掲げる「導びき手」と、幼い少女と、ひざまずいて少女の手をとる女戦士(黒百合)の「挿し絵」あり。……たぶんに山田ミネコの影響が散見される……☆(^◇^;)☆”)
大地の国(ダレムアス)物語・「皇女・緑の炎」
第一部 地球
どうどうと
雷(いかづち)が天をさき、風が木をひき倒し、大つぶの雨は横なぐりにたたきつけて、闇の中、一寸先も見ることはできません。
枝の先や鋭い下草が、少女の手足を刺し、衣服をとらえてひきちぎります。
冷たい雨に打たれて、少女はすでに感覚を失っていました。
あるのはただ恐怖と、少しでも遠くへ逃げなければというあせりだけです。
追手があるのか、ないのか、どちらへ行けばこの樹海から抜け出ることができるのか。今の少女にはそんなことは何もわかりません。恐怖に耐えるにはあまりに幼なすぎて、無我夢中で遠くへ、遠くへと走って行く以外、他に何ができ
足を踏みはずしたその一瞬、自分をかばうために後に残った、おそらくはもう殺されてしまったろうトルザン卿の、最後の声が頭に響きました。
「お逃げなさい。少しでも遠くへ。安全な所へ。そして身を隠すのです。
けっして御身分をあかしてはなりませんぞ。けっして!」
けっして けっして けっして ....
がんがんと割れるような頭の中に最後まで残っていたのはそれだけでした。
濁流に足下を大きくえぐり取られていた崖のふちは、少女の重みに耐えかねて、ぐらりとばかりに傾くと、少女を乗せたまま数メートル下の激しい流れの中に落ちて行きます。
遠のいてゆく意識の中で、少女は渦巻く水面(みなも)に見えかくれする黒くなめらかな腕が、稲光りの中にぼうっと浮かびあがるのを見たような気がしました。
腕の主たちはとても美しく、猛々しくて、かみつき、ひきさき、踏みにじって、およそ思いつく限りの乱暴をしながらも、なぜか少女にだけはその荒々しい手を出そうとはしませんでした………。
P2.
次に気づいた時、少女は川の中州にうちあげられていました。
嵐はいっこうにおとろえる気配を見せず、川の水位はどんどん上がってきます。
このままここにいれば、再びこの濁流に飲み込まれてしまうでしょう。
そうなったらおしまいです。
少女の体は冷えきっていて、これ以上川の中にいて、生きのびられるだけの体力は残っていないのです。
少女にはそれがわかりました。
それでもいいような気もしました。
全ての望みを失ってしまったように思える今、幼ない少女にとって死ぬということはそれほど怖しい意味を持たなかったのです。
少女の心の中に、死人(しびと)の霊魂(たましい)を冥界へ運ぶ者たちの誘う声が響きました。
おまえの肉体(からだ)は川がいいようにしてくれるよ。海へ運んでゆくよ。
「海へ?」 少女はなんとか体を持ち上げて尋ねました。
「……ここは大地の国(ダレムアス)ではないのね……」
「大地の国(ダレムアス)へ帰りたい。お母さまの所へ帰らせて。」
“声”たちはしばらく答えませんでした。そのうちに一つの“声”が言いました。
「そこにはなにがあるの。」
P3.
“声”の語る言葉を夢現(ゆめうつつ)に聞きながら、少女は川の中へ体を入れました。冷たい水がすぐに少女の心を肉体からひきはなします。
言われた通りに少女は歩きはじめました。
気がつくとすぐ隣になにか明るいものを掲げた人がいます。
それが少女を導く“声”の主(ぬし)でした。
暗くて悲しい闇の中の道にぽつんぽつんと同じようなかすかな明かりが動いてゆきます。
すぐ前にいるのはトルザン卿なのでしょうか?
それは自分自身を送る死者たちの葬列でした。
「これからどうするの?」
夢が終った時、また別の世界へ、新しい人生に向って船出する……。
おまえの次の人生が今より楽なものであることを祈っているぞ。
……ほら、あそこじゃ。
前の方に死者と生者を隔てる大いなる扉がありました。
いかなる賢者、魔法使いといえど、生きてあの扉の内に入ることはかないません。
「あれは……?」
少女は扉のわきを通ってはるかにのびていくもう一本の道を指して尋ねましたが、答えを得ることはできませんでした。
扉が音もなく開かれました。
P4.
少女が恐るおそる扉の内へ踏み込むと、とたんになんとも言いようのない安らかな眠気があたりを覆います。
少女がその中に自分を委ねようとした、その一瞬。
扉の外のもう一本の道から、不意に現われた影があったのです。
「無礼者!はなしてっ!」
突然の事にかっとなって少女が叫びました。
いまだかつて手荒な扱いを受けたことのない高貴な生まれの者に対して、なんというまねをするのでしょう。
心地(ここち)良い眠りから引き戻された怒りと相まって、激怒している少女の頬に、ばしり! と 平手打ちが飛びました。
「お目をお覚ましなさい!」
厳しい口調にはっとして顔をあげると、そこには、少女の故郷の衣服をつけた女戦士の姿がありました。
どこかで見たことのある女性です。
そしてその人は生きていました。
少女を追って、生きたまま、世界の外へやってきていたのです。
「おまえは……」
女戦士は片ひざをついて少女の手をとりました。
「皇女…」
深いまなざしがまっすぐ少女にそそがれているので、おのずから視線をかえさずにはいられません。
いつのまにか、少女は女戦士に対する怒りを忘れていました。
「皇女。あなたにはまだ、この扉を越えることの意味がわかっておられないのです。この扉の内側に入った時、人は全ての記憶を失ってしま
信念を持って話しているのは確かでしたが、なぜかひどくつらそうな顔をしていました。
「今現在あなたがその事をどう思われようと、あなたは皇の御息女としてお生まれになられました。そしてそれは過去の幾多の人生の中
P5.
の行動を通して、あなた御自身がお選びになられた事なのです。
行末の困難が案じられるからといって、今になってそれからお逃げになるのですか? あなただけの事ならばともかく、皇女は国の存亡の鍵を握る方なのです。あなたがいなくなれば、大地の国人(ダレムアト)たちはどうなるのです。……皇女、幼ないあなたに対してむごいことだとは思います。思いますがどうか、どうかお戻りになられますよう…………。」
戦士が言葉を切った時、冥界への導びき手が吼えるように叫びました。
「わたしが連れ帰るのではない。御自分の意志で帰られるのだ」
戦士はきっとなって言い返しました。
「皇女にはそれだけの“力”がある!」
戦士はうなだれて、言い返す言葉を持たぬようでした。
少女はなおも扉に目をうばわれながら必死で後ろへさがりました。
あの安らかな眠りの中に入りたくて入りたくて泣きたいくらいです。
でも、でも……。
「辛い所より楽しい所に行きたいと思うのは逃げることになるのね」
少女は懸命にかぶりをふりました。
だめ!だめ!
涙があふれて扉の姿がぼやけました。
「わたしは皇女なの。皇の娘はどんなことがあっても逃げてはいけないって、
P6.
お母さまに言われたの……」
「皇女!」
戦士は叫び、導びき手は低くうなって扉を閉じました。
「行きます! 帰ります! つれて行って下さい! ……もう、もう道がわかりません!」
少女はそのまま泣きくずれてしまいました。
(☆大学ノートにシャーペン書き。翌頁に鉛筆と色鉛筆で、多彩な闇黒の中に聳える「扉」と宝珠のついた「杖」を掲げる「導びき手」と、幼い少女と、ひざまずいて少女の手をとる女戦士(黒百合)の「挿し絵」あり。……たぶんに山田ミネコの影響が散見される……☆(^◇^;)☆”)
『 (無題) 』 (@中学か高校。)
2007年6月12日 連載(2周目・大地世界物語) コメント (2)業火。
美しかったルア・マルライン
「こっちだ、マ・リシャ!」
「はい、兄様(にいさま)!」
心を引き裂く程の苦しく辛い想いを、今、二人は考えてはならないのです。
駆け抜けて行く幾筋もの闇。火の手。
どこから現われるか知れない卑劣な地獄の群れ。
射かけられる火矢の一つ一つに対してさえも、互いにかばいあっている余裕はありません。
全神経を張りつめて走ってゆくさなかにあっては、涙で視界を乱す事、即ち死です。
幸いにも城のこちらの翼へは、まだあの悪鬼たちも入り込んでいないようでした。
二人が後にして来た皇の執政の間から、鈍い戦いの音がかすかに追いかけて来ます。
父母たる皇と女皇への強い愛情が、きりきりとちぎれんばかりに二人の眉をしめ上げ、唇からは細い糸のような血の筋が、涙の代りをつとめるかのように湧れ出してゆきました。
今はもう、聞こえる音といえばどこかで城が燃え落ちるゴウッという響きと、駆け続ける二人の足音と、荒い自分の息だけです。
マーライシャ皇女は必死で嗚咽をかみ殺しました。
皇統連綿たる女神マリアヌディアイムの直系、是が否でも生き残らねばならぬ皇位継承者であるという誇りと責任とだけが、この年若いというよりはあどけなさの多く残る幼い皇女を走り続けさせている全てでした。
回廊を一つ曲がると、そこはもう奥宮の西のはずれ。
自らつけた炎に照らされて、地獄鬼(ガラゴドム)どもの一隊が聞くもおぞましい下卑た喚声と共にちょうどその時攻めのぼって来ました。
建物の中の暗さが幸いして、まだ二人は見つかってはいません。
が、厩舎へ向う以上遅かれ早かれ真向からぶつからねばならない難関です。
皇子と皇女はほんの一瞬だけ立ち止まって互いに目を見交わし、それだけで全てを了解し、二振りの剣が同時にひき抜かれました。
もはや自分の二本の腕、二本の脚で、打って出るより他生きのびる道はないのです。
不意に皇女がのびあがって、兄皇子の頬に唇を触れました。
「どちらか一人だけでも」と皇女は言いました。
「必ず生きて逃げましょうね。」
兄皇子はすぐにその言わんとするところを悟り、思わず空いていた左手で妹を張りつけました。
剣において勝っているのは自分です。
足の速さにおいても、運の強さにおいても、生きのびる事のできる確率が高いのは妹皇女(ひめ)ではないのでしょう。
皇子はぎゅっと皇女を抱きしめました。
大地の国の明日のために、瀕死の深傷を負った父皇や全滅したに等しい軍を率いて最後を守ろうとしている母皇に、別れを告げて走って来る事はできても、妹皇女(ひめ)マーライシャを見殺しにする事だけは皇子マリシアルにはできませんでした。
正式の習練はまだ積んでいないとはいえ、生まれつき『見はるかす眼』と心話の術(すべ)とを身につけている兄妹にとって、相手の悲しみは過敏にすぎる程の鋭さをともなって互いの心につきささります。
皇子の皇女に対する愛が、単に妹を思う兄のそれからはるかにかけ離れている事は、とうの昔から二人ともが認識している事実でした。
マーライシャ皇女
こんなにも近く頬と頬とが触れているような時には、二つの心が近くにいる段階を通り越して、まるで一つの魂に二つの心が迷い混んでしまったようです。
縛(いまし)めをひきちぎらんばかりにして叫んでいる半馬神の激流が兄の心なのか自分の姿なのかを見誤らないために、マ・リシャは全ての心を閉じ、渦巻きだそうとする淡い夢を押えつけて、深い沼の底の歩んで来た年月と共に降り積むった泥層深くにまで打ち込まれた、呪縛にさえ似た楔を見つめ続けました。
マ・リシャの心をつなぎとめているものに気づいて、皇子の心に雷撃にあったようなふるえが走り、それからぱったりと静かになりました。
マ・リシャが顔を上げると、攻めのぼって来る地獄鬼どもの足音が先程よりはかなり近くに響いています。
「マーライシャを……」言ってマ・リシャは口ごもりました。
「ダレムアス皇女“マルラインの若葉”マーライシャを、ガルゴドム達は殺さないわ。
ここで捕えられて地獄の帝王(ボルドゴルム)の後宮に放りこまれるのも、生きのびていつか西の皇のもとへ嫁(ゆ)くのも、わたし個人
「ダレムアスの皇女は、母なる大地の災いとなる事を望みません。」
マ・リシャは一瞬、細い首をきっぱりと持たげ、それからまた目を伏せました。
「
皇子には答えられない質問でした。
マ・リシャは大きく息を吐き出しました。
「だから万ヶ一敵の手に陥ちるようならば、わたしは潔く舌を噛むわ。 兄さまは必ずかたきをとってくれるわね?絶対に。」
無言のままマリシアルはうなづきました。
「マ・リシャ……」
「え、なあに兄さま」
マ・リシャが顔をあげると、城の焼け落ちる炎に照り映えて、兄の頬に流れるものが光っています。
マリシアルは目を閉じ、顔を上に向けたまま、声のふるえを隠そうともせずに言いました。
「わたしのかわいそうなマ・リシャ。……生きるね? 西との婚儀はきっとわたしが何とかする。この先どんな辛い事があろうとおまえを守ってやる。だから生きるんだ。いいね!?」
「兄さま」
マ・リシャはゆっくり答えました。
「わたしは女神の直系、大地の皇女。お父さまとお母さまの娘です。誓って逃げたりはいたしません。」
マリシアルの黒い太陽のような瞳が、真っ直ぐにマ・リシャの瞳を射抜きます。
正統なる女神の子孫であり、母の娘であることの誇りをかけて、マ・リシャはその視線を受けとめました。
「父の息子であることにかけて言っているんだぞ。」
「母の娘であることにかけて答えていてよ。」
マ・リシャは両腕を交差させて胸の上に置き、肩をつかんでいる兄の腕に手の平を重ねました。
「大好きよ兄さま。大地の上のだれよりも。」
二人は再び走り始めました。
遂に皇女皇のいた執政の間すらも陥ちてしまったのでしょうか、城の中心をついて天高く火の手が上がるのを二人は見ました。
思わず濡れそうになった悲鳴をふせぐために、噛みしめられた左の指から、紅い涙のような血が流れだします。
皇子と皇女を探せ!という声が、口々に叫ばれ始めました。
幼ない頃から毎日かくれんぼをしてきた宮殿内です。
植え込みの中の秘密の通路を通り抜け、渡殿の下に秘み、中庭から中庭へと流れる小川に身をしずめて、二人はじりじりと厩舎に近ずいて行きました。
全ての地獄鬼が二人を探そうとくり出して来ている今、もはや二振りの剣のみで切り抜ける事は不可能です。
明る過ぎる炎がより一層闇の暗さを濃く見せていたという事実がなければ、二人は半時間と無事にいる事はできなかったでしょう。
(※「コクヨ ケ−10 20×20」原稿用紙、シャーペン書き。)
『 序 章 』 (@中学……か高校1年か……?)
2007年6月11日 連載(2周目・大地世界物語) コメント (2)
彼(か)の昔
哀しみの姫てふ侍女なる娘の
皇女(おうじょ)に問ひける。
「国がため
未だ見ざる男(ひと)に嫁ぐ。
これ幸福(しあわせ)であられるや」
皇女答ふること能はざりき。
序章
一、
その昔、危機皇治世の時代58年、第一皇子マリシアル様御成人と第二皇女マーライシャ様“学び始め”のお式がちょうど重なった年のこと、一人の娘御が皇女付きの侍女として“麗しの白き都(ルワ・マルライン)”のお城に上がられました。
そのお方は実はアーシュラ・グィドと申される、帰化地球人(ティクト)自治領のとある大国の姫宮であられましたが、皆にはそれを伏せてただ“哀しみの姫”とだけ呼ばれておりました。
さて、折しも始まった大異変のために、長い平和の時代を裂いて諸侯会議が開かれたのは、丁度この年の事でございます。
御存知の通り大異変の原因は母なる大地の女神よりの急を告げる警告。
諸侯会議の際に遂に明らかにされたその内容が実に恐ろしいものでありました事は、今更申すまでもございません。
その危機に立ち向かうためには、長い間二つに割れて戦争(いくさあらそい)の原因にさえなってきた高貴な血筋を今こそ一つに戻し、全ての確執を取り払って大地の国(ダレムアス)全体を一つに統べる事のできる皇を誕生させなければならない。
その場に集った皇と王たちとがそう断を下した時が、全ての物語のそもそもの始まりでありました。
この時を境に、大地は大いなる歴史の流れの上を巡り始めたのでございます。
(※「コクヨ ケ−10 20×20」原稿用紙にシャーペン書き。)
『 第 一 章 』 (@中学2年か3年)
2007年6月10日 連載(2周目・大地世界物語)P3
第一章
雲一つなく晴れわたっているはずなのに、空の光は遠く、空と大地の間に薄い浅黄色の幕が張りめぐらせてあるようでした。
大人たちの話では、その目に見えないほど細かい火山灰は、はるか彼方の、母神マリアンドリームが眠る炎の山より風に乗って飛んできたものなのだそうです。
マーライシャは一人窓辺にほおづえをついて、少し行儀の悪い恰好で空と、その青い布に時折現われる、様々な色合いの光のレース模様を見るともなしに見ていました。
つまらないのです。たいくつなのです。
かなり前から始まった地震や雷、加えて一昨日(おととい)からのこの火山灰天気で、遠乗りやらはともかく、庭へ出ることさえ禁止されてしまったのです。
それでなくても、こう空気中が黄色い細かい灰でいっぱいでは外に出る気などおこるものではありません。
マーライシャは朝から三十と六回目のため息をつきました。
まだ十時のおやつにさえなってはいなかったのですが。
すると、幸わいにも兄上のマリシャル皇子が戻ってきました。
「マ・リシャ、遅くなってごめん。待たせた?」
「ほんの少しだけだわ」
マ・リシャというのはマーライシャのごく内輪の愛称で、皇と女皇と皇子、それにフエヌイリ姫の兄、フエラダル四人しか使いません。
マリシャル皇子は少しばかり偵察に出て、食物倉から少々お菓子を失敬し、それと共に一大ニュースも聞きかじってきていて、すっかり興奮していました。
ところがマーライシャときたら、皇子が口を開くよりも早く、彼を一目見るなり聞きました。
「一体何が起こったというの!?」
「これはしたり。まこと皇女(ひめ)の勘の良さには敬服せざるを得ませんな。」
皇子が、秘密を言い当てられた時のトーザン卿の憤慨ぶりそのままに、おまけにひげをしごくまねまでもしてみせたもので、マーライシャはことこと笑いころげ、つられて皇子も笑いました。
「まったく、内緒にしておいてあとで驚ろかせようと思ったのに、おまえときたらすぐに見抜いてしまうのだからなあ。当てられたからには仕方ない、話すけれど……。」
深皿に入ったすてきにべとべとする煮りんごを突つきながら、皇子は聞きかじってきたことを全部妹君(いもうとぎみ)に話して聞かせました。
皇女と皇子の年の差を考えれば当然のことなのですが、彼女には皇子がその時に教えてくれたことのうち三分の一は理解できず、わからなかった事柄や、理解はしても直接自分に関(かか)わりがなさそうに思える所は聞くはじから忘れていきました。
西の谷の村で、突然季節はずれの大雨が降って、折(おり)からの地震と共に山津波(やまつなみ)となって村を襲い、逃げ遅れた人達が十人近く死んだこと。
同じような災害が各地におこって、その救済のために多勢の力有る者(ちからあるもの)、すなわち魔法使いや精霊、神々の血を受けた者たちが力をつくしてはいるものの、着(き)の身(み)着(き)のまま全財産を失ってしまった人たちが大勢いること。
話を聞いているうちに、マーライシャはだんだん興奮してきました。
「ひどいわ。いったいなぜ、だれがそんなことをしているの!?」
「いや、だから、そこが不思議なところなんだよ。ぼくらの住んでいるこの美わしの白い館(ルア・マルライン)近辺は、土地そのものに護りの魔力が強いからまだ被害が少ないけれど、“異変”はダレムアス三百六十六国、程度の差こそあれ、全ての国を覆っているんだ。特に大地の背骨山脈の周囲の国は、ひどい地震がかた時も休まらないそうだよ。女神の山が火を噴く前ぶれだなどと言いだした者もいる。根も葉もないうわさで、すぐに消えたそうだけど」
「当り前だわ。女神の山が火を噴く時は世界の終る時ではないの。」
「だから単なる流言だよ。……ただ、おかしいのは、だれもそんなことは
P4.
ことなんだ。」
「だれも!?」
「そう。だれも。これだけの大異変を引き起こすには恐ろしく強い魔力が必要だ。最も力の強い精霊でもそれだけの力はないよ。父上と母上が力を合わせても無理だろうな。とにかく、それ程の魔力が振るわれていれば、どんなに当人が気を使ったところで、心の瞳をいっぱいに開けば、見つけられないはずがない。」
「それでもわたしは見つけられないわよ。もう何回も試しているのに、」
「だろう!? だからこの異変は大地の国人(ダレムアト)が魔法を使っておこしたものではない。と、すれば、残るは神々か、あるいは聖なる霊達御自身の力しかない。ここまでは父上達にもすぐわかったんだ。問題はそこから先さ。何のために? 力有る者は皆、災害を食い止めるのに急がしかったから、異変後一週間たってから、やっと理解した。神人(かみうど)の長(おさ)、女神マリアンドリームを始めとした諸神が“大地の言葉”を借りて、ぼくらに何かを伝えようとしているんだとね。」
「大地の言葉って、この世の始まりに女神が聞いたというあの声と同じものなの?」
「うん。どうもそうらしいよ。ぼくにもよくはわからないんだけど。
それから後は、危うくばあやに見つかりそうになってね。聞いている暇がなかったんだ。」
(☆窓辺に寄りかかって林檎を囓りながら語る黒髪の皇子と、足下に座って話を聞く緑黒髪の皇女の「挿し絵」あり。シャーペン書き、色鉛筆塗り。)
第一章
雲一つなく晴れわたっているはずなのに、空の光は遠く、空と大地の間に薄い浅黄色の幕が張りめぐらせてあるようでした。
大人たちの話では、その目に見えないほど細かい火山灰は、はるか彼方の、母神マリアンドリームが眠る炎の山より風に乗って飛んできたものなのだそうです。
マーライシャは一人窓辺にほおづえをついて、少し行儀の悪い恰好で空と、その青い布に時折現われる、様々な色合いの光のレース模様を見るともなしに見ていました。
つまらないのです。たいくつなのです。
かなり前から始まった地震や雷、加えて一昨日(おととい)からのこの火山灰天気で、遠乗りやらはともかく、庭へ出ることさえ禁止されてしまったのです。
それでなくても、こう空気中が黄色い細かい灰でいっぱいでは外に出る気などおこるものではありません。
マーライシャは朝から三十と六回目のため息をつきました。
まだ十時のおやつにさえなってはいなかったのですが。
すると、幸わいにも兄上のマリシャル皇子が戻ってきました。
「マ・リシャ、遅くなってごめん。待たせた?」
「ほんの少しだけだわ」
マ・リシャというのはマーライシャのごく内輪の愛称で、皇と女皇と皇子、それにフエヌイリ姫の兄、フエラダル四人しか使いません。
マリシャル皇子は少しばかり偵察に出て、食物倉から少々お菓子を失敬し、それと共に一大ニュースも聞きかじってきていて、すっかり興奮していました。
「一体何が起こったというの!?」
「これはしたり。まこと皇女(ひめ)の勘の良さには敬服せざるを得ませんな。」
皇子が、秘密を言い当てられた時のトーザン卿の憤慨ぶりそのままに、おまけにひげをしごくまねまでもしてみせたもので、マーライシャはことこと笑いころげ、つられて皇子も笑いました。
「まったく、内緒にしておいてあとで驚ろかせようと思ったのに、おまえときたらすぐに見抜いてしまうのだからなあ。当てられたからには仕方ない、話すけれど……。」
深皿に入ったすてきにべとべとする煮りんごを突つきながら、皇子は聞きかじってきたことを全部妹君(いもうとぎみ)に話して聞かせました。
西の谷の村で、突然季節はずれの大雨が降って、折(おり)からの地震と共に山津波(やまつなみ)となって村を襲い、逃げ遅れた人達が十人近く死んだこと。
同じような災害が各地におこって、その救済のために多勢の力有る者(ちからあるもの)、すなわち魔法使いや精霊、神々の血を受けた者たちが力をつくしてはいるものの、着(き)の身(み)着(き)のまま全財産を失ってしまった人たちが大勢いること。
話を聞いているうちに、マーライシャはだんだん興奮してきました。
「ひどいわ。いったいなぜ、だれがそんなことをしているの!?」
「いや、だから、そこが不思議なところなんだよ。ぼくらの住んでいるこの美わしの白い館(ルア・マルライン)近辺は、土地そのものに護りの魔力が強いからまだ被害が少ないけれど、“異変”はダレムアス三百六十六国、程度の差こそあれ、全ての国を覆っているんだ。特に大地の背骨山脈の周囲の国は、ひどい地震がかた時も休まらないそうだよ。女神の山が火を噴く前ぶれだなどと言いだした者もいる。根も葉もないうわさで、すぐに消えたそうだけど」
「当り前だわ。女神の山が火を噴く時は世界の終る時ではないの。」
「だから単なる流言だよ。……ただ、おかしいのは、だれもそんなことは
P4.
ことなんだ。」
「だれも!?」
「そう。だれも。これだけの大異変を引き起こすには恐ろしく強い魔力が必要だ。最も力の強い精霊でもそれだけの力はないよ。父上と母上が力を合わせても無理だろうな。とにかく、それ程の魔力が振るわれていれば、どんなに当人が気を使ったところで、心の瞳をいっぱいに開けば、見つけられないはずがない。」
「それでもわたしは見つけられないわよ。もう何回も試しているのに、」
「だろう!? だからこの異変は大地の国人(ダレムアト)が魔法を使っておこしたものではない。と、すれば、残るは神々か、あるいは聖なる霊達御自身の力しかない。ここまでは父上達にもすぐわかったんだ。問題はそこから先さ。何のために? 力有る者は皆、災害を食い止めるのに急がしかったから、異変後一週間たってから、やっと理解した。神人(かみうど)の長(おさ)、女神マリアンドリームを始めとした諸神が“大地の言葉”を借りて、ぼくらに何かを伝えようとしているんだとね。」
「大地の言葉って、この世の始まりに女神が聞いたというあの声と同じものなの?」
「うん。どうもそうらしいよ。ぼくにもよくはわからないんだけど。
それから後は、危うくばあやに見つかりそうになってね。聞いている暇がなかったんだ。」
(☆窓辺に寄りかかって林檎を囓りながら語る黒髪の皇子と、足下に座って話を聞く緑黒髪の皇女の「挿し絵」あり。シャーペン書き、色鉛筆塗り。)
『 序 』 (@中学2年か3年?)
2007年6月9日 連載(2周目・大地世界物語)
これを読んでくださるもう大人になってしまった方々へ
童心にかえって読んで下さい。
これを読んでくださるまだ大人に、なっていない方々へ
わからないところはじぶんでじしょをひいてね
P1.
序.
その昔、皇女(おうじょ)マーライシャがまだ幼なく、現実よりも、ふわふわとした突拍子もない夢の中に暮らしている方が多かった頃、父皇(ちちおう)の片腕たる、がんこ頭の『曲(まが)り赤松』・トーザン卿にこんな質問をうけた事があるといいます。
「皇女(ひめ)さまが大きくなられたら、一体何になるおつもりなのですかな」
それというのも、マーライシャには、地球式に数えたなら六つ違いの兄上、マリシアル皇子がいて、彼が皇位につくことになっていたし、勝気な皇女(おうじょ)のこと、普通の皇女(ひめみこ)や王女(おおきみ)が望み夢見るような少女らしい憧れは持たぬだろうと、トーザン卿は思ったのです。
少々からかいをこめたこの質問を、幼ない皇女は真顔でうけて、さらりと、こう言ってのけました。
「わた
皇女は決して俗に男女と呼ばれる類(たぐい)の乱暴な少女ではなかったのですけれど、この時からすでに『男の子』になって少年たちと駆け回ることを夢見ていたのだそうです。
はっはっは、と、皇(おう)の愉快そうな笑い声が、南に張り出した一段高い庭の、低い石垣の上から聞こえてきました。
そうかそうか。このあいだまでは戦(いく)さ乙女(おとめ)になるとか言うていたのに、ついにそんな事を言いだしたのか。……しかし、大人になったら男の子とは……はははは。さすがはわたしの娘だけある。」
「笑いごとではございませんぞ、皇(おう)よ。実際、皇女(ひめ)のお転婆(てんば)は少し度が過ぎます。」
「良いではありませんか。あの子はわたくしの血を受けて身が軽いのですもの、少々高い木や塔の上に登っても、危険なことはないでしょう。」
「しかし女皇(めのきみ)、マーライシャ様は年も満たぬうちから馬や弓のみならず剣の稽古(けいこ)まで始めているのですぞ。」
女皇(めのきみ)、とは、もちろん皇女の母フエヌイリ姫のことです。
P2.
姫にはトーザン卿の苦い顔
その立ち姿の麗(うるわ)しさといったら笑んだ口もとの指先から銀の光が飛びちるようです。
「知っておりますとも。なんといってもわたくしがそれを許したのですから。
そろそろわたくしたち精霊の天翔(あまか)ける技(わざ)を教えてみようと思うのですけれど。」
「本当!? お母さま!」
いきなり頭上からはずんだ声が降(ふ)ってきて、屋根の上で立ち聞きしていたマーライシャは、礼儀をわきまえぬ行(おこな)いをたっぷりと叱られて、それでも次の誕生式から『お空の歩き方』を教えてもらえることになりました。
「叔父さまみたいに最果(さいは)ての月立(つきたち)の国までも飛べるようになるかしら? いいえ、わたしはうんとたくさん練習して、お月さままでだって飛べるようになるの。」
「それではおみやげにうさぎ
「ええいいわ、トーザン卿。……でも、うさぎ
皇と女王は目を見かわして微笑(ほほえ)みました。
かわいい二人の宝。
彼ら流の数え方でやっと18年目、幼児期の終りにさしかかろうかという皇女に、月(レリナル)とこの大地の国(ダレムアス)の間にひろがる距離がわかるはずもなく、無邪気に行けると信じるその愛らしさは、国と国とのもめごとや国民の幸福といったものによる心の痛みや疲れを、すぐにいやしてくれるのでした。
けれども、フエヌイリ女皇と皇女との約束は遂に果たされませんでした。
ちょうどマーライシャの誕生式に前後して始まったあの『異変』が、皇と女皇から平和な団欒(だんらん)の時間をうばってしまったのです。
P3.
青天(せいてん)には霹靂(へきれき)が、獣たち家畜たちには恐怖が訪ずれました。
ダレムアス全土の国々を統べる、女神の子孫たる皇には休むいとまもなく、ただちにダレムアス中の力有る者たちに招集をかけました。
かの血なま臭い戦国時代より、皇家五代の長きに渡って封じられていた、ルア・マルラインの『会議の間』の扉が遂に開かれることになってしまったのです。
けれどマーライシャにとってそれが意味するところは難しすぎて、幾度となく裂ける天を恐ろしく思い、聞きかじった父皇たちの話から何事かがおころうとしていることを感じとりはしましたが、それでも何よりも悲しく思ったのは、母フエヌイリ女皇がいなくなったことでした。
アイデルフ皇と結ばれてルア・マルラインで暮らすようになってからも、精霊の一族(エルフエン)としての彼女の魔力の強さは変わらず、
「 Martia [Marlitia]」なるタイトルで、「K子姉・筆」と私が注釈を入れている、シャーペン描きに色鉛筆塗りの、稚拙なイラストあり。
……この頃すでに1歳半上の姉よりも私の画力のほうが上達してしまい、それがバレたら虐待を受けるのは明白だったので……、
必死で姉の目から自分の画帳を隠していたために、まだ自分のほうが「絵が巧い」と思い上がっていた姉が、勝手にエラソウに「イラスト、描いてやったぞ!」と、ひとのノートにラクガキしやがったのでした……………………o( ̄^ ̄;)o”
コドモ心に傷ついた。なんで私は「虐待(暴力)」を怖れるあまり、自分の描きたい絵を堂々と描いて、誰かに見せて誉めて貰いたい、という成長途上の子どもとして当然の欲求を、満たすことが出来なかったんでしょうか………………。
(※ で、そのすぐ後に結局、実力全開で描いていた漫画の練習帳を姉に目撃されてしまい……………………「ふぅぅぅぅ〜ん………………★」と、ものすごい目で睨まれて……………………
今に至るまで続く、実姉による暴力支配(虐待or家庭内暴力)の日々が、始まってしまったのでした……………… (T_T)/"
私の「基本的人権」って…………どこよ?
と、実家や親戚宅に顔を出すたびに思う人生って……
って、……あ、全然本文とは関係のないオハナシでしたっ★
||||(-_-;)>”||||
(大学ノートにシャーペン横書き)
P1.
昔、はるかなるダレムアスの大地に幸せの花が咲き乱れていた頃、王の中の王の都、ルア・マルラインが美しく栄えていた頃、国中の祝福の中で、王の第2子、王女マーライシャが生まれました。
王女は、母君の美わしきエルフェリヌ(エルフ乙女)、水面月のフェイリーシャ様に似て、透けるような白い肌と美しい声を、そして、王家の誇りたる豊かな黒髪と星の光る夜の空の色の瞳をしていました。
ただ、その髪の色は普通の黒ではありませんでした。
母君の深緑色の髪のせいか、陽の光のもとでは濃い緑色に見えるのです。殊に王女が笑っている時には緑の色が強くなるようで、兄君と一緒に遊んでいる時などには、夏の山のような緑色の炎が王女のまわりでゆれました。
ある年のこと、ダレムアス全体に、わけもなく不安な空気が広がりました。
草も、木も、太陽の色も、どことは言えず、なにかがおかしいのです。
賢者や魔法使いなど、ダレムアスに住む力有る者たちはこれを神々からの警告であると判断しました。
即座に賢者会議が開かれ、魔法使いや賢者は言うまでもなく、天翔けるエルフェリ族や、異世界から来たエルシャマーリャ(天上人)、名高い王侯騎士たちなど、ダレムアス世界の主だった力有る者が続々と王都ルア・マルラインの城中に集まってきました。
彼らは城の奥深くにこもり、異変を告げる数々の兆候を、ありとあらゆる角度から調べ上げ、検討し、数週間に渡る会議のあげくに、遂に一つの恐ろしい結論にたどりつきました。
「 おのおのがたにけしてこのことを他言なさらぬようお願い申す。」
賢者団の議長、予見者グラウドは老いと数週間の心痛のあまりにふるえる声で、しかし厳しく一同に言いわたしました。
そして更に数週間、語るべきことは全て語りつくして、会議の出席者たちは旅出って行きました。
ある者は故郷へ、またある者は長い放浪の旅路へ、不安げな顔もあり、悲痛な面持ちもあり、ただ、皆一様に厳しい決意の色を表して、来るべき嵐を向え打つために、長い孤独な戦いに踏み出しました。
P2.
けれど、最も苛酷な運命を負うことになったのは、まだやっと馬に乗り始めたばかりの幼ない王女でした。
王女は、万ヶ一王城が陥ちた時の事を考えて、王家の血統を絶やさぬため、また来たるべき日のための隠し刀として、今は絶えて行き来のない、かつての姉弟世界、異世界ティカースへ移されることになったのです。
ある月の晩、うばとたった二人の騎士と共に、王女は異世界へ抜ける魔法の通路(みち)を歩いて行きました。
丸い大地の国(ティカース)へ。
王女も、また、他のだれもが、かの恐るべきボルドムの魔手がすでにティカースへさえ伸びていることを知りませんでした。
そして、それがこの物語の始まりだったのです。
(☆8歳ぐらい?の略武装の剣と宝冠を身に付けて暗い不安げな表情の
王女マーライシャのシャーペン描きのイラストあり)
(未完)
.
P1.
昔、はるかなるダレムアスの大地に幸せの花が咲き乱れていた頃、王の中の王の都、ルア・マルラインが美しく栄えていた頃、国中の祝福の中で、王の第2子、王女マーライシャが生まれました。
王女は、母君の美わしきエルフェリヌ(エルフ乙女)、水面月のフェイリーシャ様に似て、透けるような白い肌と美しい声を、そして、王家の誇りたる豊かな黒髪と星の光る夜の空の色の瞳をしていました。
ただ、その髪の色は普通の黒ではありませんでした。
母君の深緑色の髪のせいか、陽の光のもとでは濃い緑色に見えるのです。殊に王女が笑っている時には緑の色が強くなるようで、兄君と一緒に遊んでいる時などには、夏の山のような緑色の炎が王女のまわりでゆれました。
ある年のこと、ダレムアス全体に、わけもなく不安な空気が広がりました。
草も、木も、太陽の色も、どことは言えず、なにかがおかしいのです。
賢者や魔法使いなど、ダレムアスに住む力有る者たちはこれを神々からの警告であると判断しました。
即座に賢者会議が開かれ、魔法使いや賢者は言うまでもなく、天翔けるエルフェリ族や、異世界から来たエルシャマーリャ(天上人)、名高い王侯騎士たちなど、ダレムアス世界の主だった力有る者が続々と王都ルア・マルラインの城中に集まってきました。
彼らは城の奥深くにこもり、異変を告げる数々の兆候を、ありとあらゆる角度から調べ上げ、検討し、数週間に渡る会議のあげくに、遂に一つの恐ろしい結論にたどりつきました。
「 おのおのがたにけしてこのことを他言なさらぬようお願い申す。」
賢者団の議長、予見者グラウドは老いと数週間の心痛のあまりにふるえる声で、しかし厳しく一同に言いわたしました。
そして更に数週間、語るべきことは全て語りつくして、会議の出席者たちは旅出って行きました。
ある者は故郷へ、またある者は長い放浪の旅路へ、不安げな顔もあり、悲痛な面持ちもあり、ただ、皆一様に厳しい決意の色を表して、来るべき嵐を向え打つために、長い孤独な戦いに踏み出しました。
P2.
けれど、最も苛酷な運命を負うことになったのは、まだやっと馬に乗り始めたばかりの幼ない王女でした。
王女は、万ヶ一王城が陥ちた時の事を考えて、王家の血統を絶やさぬため、また来たるべき日のための隠し刀として、今は絶えて行き来のない、かつての姉弟世界、異世界ティカースへ移されることになったのです。
ある月の晩、うばとたった二人の騎士と共に、王女は異世界へ抜ける魔法の通路(みち)を歩いて行きました。
丸い大地の国(ティカース)へ。
王女も、また、他のだれもが、かの恐るべきボルドムの魔手がすでにティカースへさえ伸びていることを知りませんでした。
そして、それがこの物語の始まりだったのです。
(☆8歳ぐらい?の略武装の剣と宝冠を身に付けて暗い不安げな表情の
王女マーライシャのシャーペン描きのイラストあり)
1.嵐の晩に
「ひどい嵐になったわね」と、有澄夫人。
窓ガラスに両手をあてて、雄輝は外の暗がりをながめていました。
「うん。まるで川の中にいるみたいだよ、おばさん」
外の景色があまりものすごいもので、この嵐のせいで小学校最初の運動会が流れてしまったことなど、すっかり忘れてしまった様子です。
ピカッと光った雷に「キャッ!!」とすっとんきょうな声。
これは雄輝の母、翼夫人です。間髪を入れずに
グァラ グァラ グァラ ドッシーン!!
「うわあ、今のはどこかに落ちたぞ」
森の中の一軒家は気楽なものです。
「カーテンをひいて下さらない、冴子さん。わたし雷って苦手で。」
「なァんでさ、お母さん。こんなにおもしろいのに」
こんなやりとりをしり目に、翼氏と有澄氏は優雅にチェスに興じています。
旧式の大きな暖炉に、照り返しでチカチカ光る石炭をたすと、ゴォッとかすかな音をたてて燃え上がりました。
時計が9時を打った時、
(未完)
.
『 魔法の国の戦い 』 (@小学校4〜6年?)
2007年6月7日 連載(2周目・大地世界物語) コメント (1)魔 法 の 国 の 戦 い
序章
ダレムアスと三つの国々
はるか昔 四つの国あり
四つの国 治める 四人の神あり
四人の神は兄弟で、
宇宙の神の子であった。
四人の神はそれぞれに
別の世界を治めていたが
魔法を使い 行き来した。
一番上の姉君は
気高き女神 リーシェンソルト
治める国こそ エルシャムーリア
天使が暮す 気高き国よ
二番目兄君 ダーギング
世界でもっともおそろしき
ボルドム軍を指揮しておった
ああ ボルドム軍こそ悪魔の国よ
三番 弟 アスールは
人間たちを 治めていたが
すごいよくばり いばってた
最後の四番目 妹君が
治めていたのが ダレムアス
妖精、人魚、魔法使い、
だれでもここに住んでいた
リーシェンソルトとダーギング
たいそう仲が 悪かった
ある時ダーギング 女神に聞いた
「姉君リーシェンソルトよ、
なぜ、私(わたくし)のボルドム軍を
エルシャムーリアより追いだしたのか?」
女神は答えた弟に
「私の国は天使の国、
そなたの家来の悪魔ども
いれるわけにはいきませぬ」
かくてダーギングの いかりは はげしく
ボルドム軍を けしかけて
貴(とうと)き エルシャムーリアを
一夜のうちに ほろぼした
しかしダーギングのいかりは おさまらず
なげき悲しむ姉君を
世界の果ての魔の山の
氷の室(むろ)に閉じこめた。
それ以来、
三つの国は つながりを断ち
「時」は静かに歩(あゆ)んで行った。
悪魔はどんどん ふえて行(ゆ)き
ついに 地球まで占領したが
それでも まだまだ ふえつづけ
ダレムアスに魔の手がのびた。
かくてダレムアスに戦いは起こる。
.
さらに時代は下って、ハジメノハラには人間の“国”と呼べるだけのものができあがりました。
ハジメノハラの北西にあたる山地のはずれ、なだらかな丘陵地帯のふもとに築かれた神宮(じんぐう)マドリアノビ(マドリアナビ?)を中心に、暖かな地方に向って肥沃な畑や、実り豊かな水田が広がり、その所々に、いくつかの村、いくつかの町、いくつかの庄がありました。
神宮殿(マドリアノビ)はそれだけで一つの都市であり、同時に一つの家であって、工芸や建築にたけた神々が何年もかかって造り上げた美しい都(みやこ)でした。
塔や二階建は少なく、土地の起伏に沿って、点在する小さな白い館を三つ四つ、五つ六つと渡り廊下でつなぎ、中庭表庭なども含めて生け垣や白い土塀で囲いました。
とりわけ長い廊下には優しい東屋をもうけ、垣と垣の間や中庭や広場などには質素な輝きを持つ石段や石畳の細径小径。大道、大路には泉水や、虹のようなたいこ橋、目もあやな歌舞殿などが随所に設けられていました。
マドリアノビができて数十年たつと、神々は異世界へ通じる“道”の扉を除々に開け放ってゆきました。
まず初めは女神マライアヌの姉リーシェンソルトの治める
(※未完※)
(☆文中に「庄」という語を発見!! (^◇^;)”
……と、いうことは、『指輪物語』は読んだ後
(中学1年以降)ということですね………………☆
山田ミネコと古事記の影響もバリバリ入ってます☆)A^-^;)”
.
P1.
概 略 ・ 創 世 記
昔々、神人(かみびと)の長(おさ)なる女神(ドライム)マライアヌがこの地に来たるる時、大地は、まだその姿を定めず、うなうなと優しいこがね色にたゆたい、たゆたい、見渡すかぎりにまどろんでおりました。
それから長いながい年月(としつき)のあいだ、女神はひとつの巌の上に一人で眠っておりました。
そうしている間(ま)に地は熱く猛(たけ)りまた凍(い)てつき、その繰り返しの内に、聖なる大地の霊から空とそれを司(つかさ)どる霊が生まれ、無慈悲な虚空を追い払って母なる大地の囲みをかためました。
それから、大地のおもてより、幾たりかの水乙女たちが抜け出でて白い雲、黒い雲、灰色の雲となり、星々の目から大地を護って、女神の目覚めのその時までひたりと動こうとはしませんでした。
うねり、また炎を噴き上げ、身震いをし、大地はゆるゆるとその形を整えてゆきました。
× ×
また長い時が過ぎて、ようやく女神の目覚めの日がきました。
女神が目覚めた時、東の地平から雲が退き、太陽は初めてこの世界を見ることを許されました。
彼女はやさしいままの姿で朝陽の祝福の輪の中に立っていました。
彼女にとって大地の新しい姿を見るのが初めてなら、自分の新しいからだを見るのもこれが最初のことでした。
彼女の名前はマリアンドリーム。
かつて、幾度も生まれ変り生まれ変りして、まだ普通の人間であった最後の一生に、彼女はその同じ名で呼ばれていました。
それから、彼女は記憶を失わない者、この世の外にあってこの世に含まれる者、不思議の探求者、彼ら流に言えば“真実を探す者”の一人となったのです。
P2.
女神は、まず、空気から着物を作ると、そのまま歌いながら歩いてゆきました。
ちょうど六節歌ったところで三羽の渡り鳥が現われました。
「渡り鳥、渡り鳥、私(わたくし)の兄弟たちはどうしました。」
「姉君様は光の国(エルシャムリア)に」
「双子の弟君は地球星(ティカセルト)に」
「兄君様は空虚の洞窟(ボルドガスドム)に」
「それぞれ国造りを始めておられます」
それを聞いて、女神は真赤な血を燃やし、紅蓮の炎から三羽の鳳凰鳥を作って尋ねました。
「そして私(わたくし)はどこにいます?」
「大地(ダレムアス)に」
それから鳳凰たちは女神(ドライム)の目覚めを兄弟神たちに告げに飛び立ってゆきました。
(☆平城京風、というか山田ミネコ風のハルマゲドン・シリーズ風…A^-^;)…薄桃色の肌着に青碧色の衣装に、朱色の袖くくい紐と軽翠の地金に金の鈴が輪状になった飾り鈴クシロを身に付けた、黒髪巻毛に翠の瞳のマライアヌの図、あり。シャーペン描きに色鉛筆塗り。)
P3.
女神は更に歩いて行って、土から六人の人間を作り、マルダノビメ、マライヒメ、サルルヒメ、クルスタカワケ、オルノミコ、アスタイラツコと名づけました。
これが今日の大地の国人(ダレムアト)の始まりであります。
女神はこの地をハジメノハラと名づけ、それから七十二たび、お山の上を太陽が横ぎるまで(※1)そこにとどまって、人間に食物を与え、言葉を与え、考える力を与えて、喜びと悲しみと愛することを教えました。
生まれる者、死んだ者、女神の庇護のもとに人の数は三十と六人になっていました。
ある日、女神はさびしさ、と、いう感情を思いだしました。
大人が乳飲み児の世話だけでは生きていくことができないように、女神もまだほんのわずかな感情しかしらない幼ない人間たちの間では孤独な存在でした。
「いまぞ時は至れり。」
女神は立ちあがってそう言うと、まだごく小さい大地(ダレムアス)の世界をとりまく深遠なる淵を超えて、遠く、遠く、心の輪を広げ、深く、深く、呼びかけました。
きてください
きてください
きてください
きてください
わたしの仲間たち
きてください
きてください
きてください
きてください
※ お山、つまり後に時の果てまで山と呼ばれるようになるかの山の頂上はハジメノハラから見ると、一年に一度、春分の日にしか太陽がかからない。
P4.
真実を求める者よ
わたしのそばへ
わたしの国へ
ただ束の間であろうとも
一時(いっとき) この国 わたしと共に
一つの道を
共に!
それからまた長い時が過ぎて、女神は“誰か”が大地(ダレムアス)にやって来たことに気づきました。
一人、また一人。
別の世界、別の宇宙、別の大地より、さながらほうき星のごとく輝く尾をひいて、女神の呼び声に応(こた)える者たちが、次々と大地(ダレムアス)の懐(ふところ)に集って来ます。
遂に女神(ドライム)マライアヌのもとにそろった神々は三十と五(いつ)柱。
ここに大地の国(ダレムアス)の最初の神人(かみうど)、三十六神がそろったのです。
「我々は何をしたらよろしいでしょう。我ら六人をのぞけば、皆、我らの仲間に加わったばかり。何をなすべきかを知りませぬ」
「どうぞお指し図を、マライアヌ」
「……この大地(ダレムアス)は、生まれて間もない、若い国なのです。若い世界に若い者が来て国を造る。なんの怖れる事がありましょうや。
わたくしとて国を造るような大いなる業(わざ)をなすのは初めてです。が、これが我(われ)らに与えられた課題ならば、必ずや見事になしとげてみせましょう。」
(女神のうしろななめ横顔のイラストあり)
P5.
ここに至って、神々(こうごう)しい集団に驚いて物陰に隠れていた人間たちがようやく顔を見せました。
「まあ心配はいらないのですよあなたたち。このかたがたは、わたくしの仲間。これからわたくしと共にあなたたちを導びく役目をします。あなたたちは、わたくしたちから様々な事を学ぶでしょう。そうすれば、もう今までのような純粋な幸福を手にすることはなくなるのです。……この大地の国(ダレムアス)は人間の国。やがてわたくしたちに替わってあなたたちが大地の国(ダレムアス)を統べるようになるでしょう。
今、大地の国(ダレムアス)の歴史が始まるのです……。」
(誇らしげに語りかける女神のイラスト、描きかけ☆)
.
概 略 ・ 創 世 記
昔々、神人(かみびと)の長(おさ)なる女神(ドライム)マライアヌがこの地に来たるる時、大地は、まだその姿を定めず、うなうなと優しいこがね色にたゆたい、たゆたい、見渡すかぎりにまどろんでおりました。
それから長いながい年月(としつき)のあいだ、女神はひとつの巌の上に一人で眠っておりました。
そうしている間(ま)に地は熱く猛(たけ)りまた凍(い)てつき、その繰り返しの内に、聖なる大地の霊から空とそれを司(つかさ)どる霊が生まれ、無慈悲な虚空を追い払って母なる大地の囲みをかためました。
それから、大地のおもてより、幾たりかの水乙女たちが抜け出でて白い雲、黒い雲、灰色の雲となり、星々の目から大地を護って、女神の目覚めのその時までひたりと動こうとはしませんでした。
うねり、また炎を噴き上げ、身震いをし、大地はゆるゆるとその形を整えてゆきました。
× ×
また長い時が過ぎて、ようやく女神の目覚めの日がきました。
女神が目覚めた時、東の地平から雲が退き、太陽は初めてこの世界を見ることを許されました。
彼女はやさしいままの姿で朝陽の祝福の輪の中に立っていました。
彼女の名前はマリアンドリーム。
かつて、幾度も生まれ変り生まれ変りして、まだ普通の人間であった最後の一生に、彼女はその同じ名で呼ばれていました。
それから、彼女は記憶を失わない者、この世の外にあってこの世に含まれる者、不思議の探求者、彼ら流に言えば“真実を探す者”の一人となったのです。
P2.
女神は、まず、空気から着物を作ると、そのまま歌いながら歩いてゆきました。
ちょうど六節歌ったところで三羽の渡り鳥が現われました。
「渡り鳥、渡り鳥、私(わたくし)の兄弟たちはどうしました。」
「姉君様は光の国(エルシャムリア)に」
「双子の弟君は地球星(ティカセルト)に」
「兄君様は空虚の洞窟(ボルドガスドム)に」
「それぞれ国造りを始めておられます」
それを聞いて、女神は真赤な血を燃やし、紅蓮の炎から三羽の鳳凰鳥を作って尋ねました。
「そして私(わたくし)はどこにいます?」
「大地(ダレムアス)に」
それから鳳凰たちは女神(ドライム)の目覚めを兄弟神たちに告げに飛び立ってゆきました。
(☆平城京風、というか山田ミネコ風のハルマゲドン・シリーズ風…A^-^;)…薄桃色の肌着に青碧色の衣装に、朱色の袖くくい紐と軽翠の地金に金の鈴が輪状になった飾り鈴クシロを身に付けた、黒髪巻毛に翠の瞳のマライアヌの図、あり。シャーペン描きに色鉛筆塗り。)
P3.
女神は更に歩いて行って、土から六人の人間を作り、マルダノビメ、マライヒメ、サルルヒメ、クルスタカワケ、オルノミコ、アスタイラツコと名づけました。
これが今日の大地の国人(ダレムアト)の始まりであります。
女神はこの地をハジメノハラと名づけ、それから七十二たび、お山の上を太陽が横ぎるまで(※1)そこにとどまって、人間に食物を与え、言葉を与え、考える力を与えて、喜びと悲しみと愛することを教えました。
生まれる者、死んだ者、女神の庇護のもとに人の数は三十と六人になっていました。
ある日、女神はさびしさ、と、いう感情を思いだしました。
大人が乳飲み児の世話だけでは生きていくことができないように、女神もまだほんのわずかな感情しかしらない幼ない人間たちの間では孤独な存在でした。
「いまぞ時は至れり。」
女神は立ちあがってそう言うと、まだごく小さい大地(ダレムアス)の世界をとりまく深遠なる淵を超えて、遠く、遠く、心の輪を広げ、深く、深く、呼びかけました。
きてください
きてください
きてください
きてください
わたしの仲間たち
きてください
きてください
きてください
きてください
※ お山、つまり後に時の果てまで山と呼ばれるようになるかの山の頂上はハジメノハラから見ると、一年に一度、春分の日にしか太陽がかからない。
P4.
真実を求める者よ
わたしのそばへ
わたしの国へ
ただ束の間であろうとも
一時(いっとき) この国 わたしと共に
一つの道を
共に!
それからまた長い時が過ぎて、女神は“誰か”が大地(ダレムアス)にやって来たことに気づきました。
一人、また一人。
別の世界、別の宇宙、別の大地より、さながらほうき星のごとく輝く尾をひいて、女神の呼び声に応(こた)える者たちが、次々と大地(ダレムアス)の懐(ふところ)に集って来ます。
遂に女神(ドライム)マライアヌのもとにそろった神々は三十と五(いつ)柱。
ここに大地の国(ダレムアス)の最初の神人(かみうど)、三十六神がそろったのです。
「我々は何をしたらよろしいでしょう。我ら六人をのぞけば、皆、我らの仲間に加わったばかり。何をなすべきかを知りませぬ」
「どうぞお指し図を、マライアヌ」
「……この大地(ダレムアス)は、生まれて間もない、若い国なのです。若い世界に若い者が来て国を造る。なんの怖れる事がありましょうや。
わたくしとて国を造るような大いなる業(わざ)をなすのは初めてです。が、これが我(われ)らに与えられた課題ならば、必ずや見事になしとげてみせましょう。」
(女神のうしろななめ横顔のイラストあり)
P5.
ここに至って、神々(こうごう)しい集団に驚いて物陰に隠れていた人間たちがようやく顔を見せました。
「まあ心配はいらないのですよあなたたち。このかたがたは、わたくしの仲間。これからわたくしと共にあなたたちを導びく役目をします。あなたたちは、わたくしたちから様々な事を学ぶでしょう。そうすれば、もう今までのような純粋な幸福を手にすることはなくなるのです。……この大地の国(ダレムアス)は人間の国。やがてわたくしたちに替わってあなたたちが大地の国(ダレムアス)を統べるようになるでしょう。
今、大地の国(ダレムアス)の歴史が始まるのです……。」
(誇らしげに語りかける女神のイラスト、描きかけ☆)
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To Dear Sister
人参の皮をむいたら右腕がイエローアラート★ と、ゆうことでまたぞろワープロだ。すでに破滅が来たりて笛吹いてるわね……っ (だから筆不精なんだぜ、マジで。)
教養ゆたかにして高学歴なお姉様。同封した歌詞カードのコピーを解読して下さいませ。わたしゃ筆記体は読めん★ ついでに対訳つけてくれると無学者の妹はとっても助かるのだが。せめてVoxだけでも……。
サラ・マクラクランは古CD屋で見つけて名前とタイトルで掘り出して来たんだが有名な人なのか? 低音部のイメージがサキに近いのでもっぱらのBGMであったりする。他にもアルバム出してるようなら教えて下さい。もし知らないなら必聴! エンヤとインド音楽を煮込んでエコロジーを添えたような味だ。いや今、シチュー鍋がぐつぐついってるんで☆
そのほかのエスパ用BGMはといえば、今回の話のトータルイメージはなぜかマドンナの「ラ・イスラ・ボニータ」。サキに対する視点としてのレイのイメージソングが同じくマドンナの「プリテンダー」と「ステイ」。シンディ・ローパーで「トゥルー・カラーズ」。なんて色気ないやつらだ☆ 地球系開拓惑星連邦(テラザニア)のテーマがシーラ・マジッドの「マヌシア」(この人はマイナーかも知んない。マレーシア人だ。Sheila Majid "Legenda" に所収。日本版は東芝EMI発行)及びサラ・マクラクランの「Touch」。それとシンディに戻って「Iko Iko」。ま、そんなところかな。
あいかわらずエスパの世界は女ばっかり☆ なので男性のゲストキャラが乱入しました。アリーさんの親友で通称「黒公爵」。同性のみを恋愛対象にしている黒髪美形キャラ☆ 実際、長女(サキ)に限ってどーしても余計なムシをつけたくないのは何故なんだろう☆ レイなんか「手当たり次第」のサイテー野郎なのに★ サキほどの美女(?)が人生に3回しか恋愛沙汰がないとゆうのはぜったい不毛よね☆ しかも最後一人で妊娠・出産して心中(後追い自殺)までするという。お手軽な奴☆★
……やっぱり相手の名前が悪かった(?)のね……★
とりあえず今回の話ではリスタルラーナは名前しか出ません。私が完全な所有権を主張したいのはテラザニアについて。でもすでにかなり勝手な歴史とか設定とかでっちあげてるので摺り合わせは必要だろーなぁ☆ 基本的にリスと地球とは「同一の」先祖もしくは実験生物としての創造者を発生源にもってます。惑星リスタルラーナの上に現在あるのは行政府と学都だけで商業機能は衛星軌道に隔離されてます。海もしくは水分は大半が地底に潜ってます。太陽は青白くて、地球でいう蛍光灯の濃くしたような色彩です。暦は十進法で合理的にできてるでしょう。あと、任せた。じつは物理条件はどーでもいい。わたしの興味は社会体制に集中してるので。
「滅亡」に関しては……。謎の古代文明の遺産がじつは「惑星改造装置」とは知らずにいきなり作動させてしまったアホウな「考古学者」が約一名。わずか半日で人口が百分の一になったら気分は小松左京では? トラウマになりまくったリスタルラーノは、以後、「古い事物に興味を持つな」というインプリンティングから、使い捨て万能文化に走ったりするわけです。
だから生物学的には地球人との混血が可能だ。もとは多様だった外見も遺伝子の管理と人工胎児があたりまえになってから均一化が進んで、まるで現代の日本人のよーに「みんな同じ」と、地球人には思えるよーな中肉中背の茶眼茶髪。はやくも気力減退で種の限界点が垣間見えたりしてるので、突破口としての実験体をパラパラ造り、同じ動機で地球との国交をむりやり開始しました。ソレル女史のよーな銀髪や金髪は実験体である場合が多く、ほかに「二万人に一人」と定められた割合で緑色の髪の人間がキチェスやラフェール人のような役割で存在しています。どちらにしても地球人との顕著な差異は「耳の形が平たくて丸い」という程度。生存に適した気温としては地球の摂氏式で25度くらいを好みます。
愛玩動物と生活を共にする習慣はありません。野性生物と接する機会もほとんど無い。食用の蛋白質はすべて合成品です。ペースト状で、地球に来たリスタルラーノは食生活で相当の苦労を強いられます。
エスパの時代は西暦1990年代から見れば約1300年後……だと思う。磯原清くんが2005年頃の生まれで、約150年後にタイムスリップし、その40年ほど後に地球文明圏は一旦壊滅し、這いずり上がるのに1000年かかった、という計算。謎の超古代文明というやつは恐らくアステロイドと化した旧「草星」あたりにあったのではあるまいか? 現存する最大の遺跡は地球の月面上にあり、長く地球の「監視」を行っていたらしいことがやがて解明されつつあります。
ちなみに杉谷好一のアホウが破壊しやがったのは「この地球」とは多少異なった歴史を持つ「隣の地球」です。面倒なので小説としてはこちら側のつもりで書く予定だが、どうやら実在する世界かも知れないのはタツヒラチカが傍証してくれました。……「ぼくたま」なんてば目じゃないかも……っ 聞きたい?
ところで「バラを摘んでた女ガンジー」てばリースマリアルのことですか? 的確☆☆
ESPの科学的説明なんて私が感知してるわけないでしょう。サキの部族語では「気波」と呼ぶ現象です。このへんの話は「斎姫連」で描けると思います……。
ブラッドリーとも方向性は似てると思うよ、かなり。ただエスパがいきなり天皇制否定の話になるとは思っていなかったけど☆ ダレムアスなら中学当時からそうだったんだけどね☆★
.
-- I’m sorry. I had tried to translate this story though, I just found it out is very difficult for me. But... Never give up! I WILL DO for next time.
Now, I want to try to express about this story for you.
★─────────────────────────────★
These stories, named“Series of ESP-assion”, and all of main characters have caught me long time. The first time they appeared for me was,ofcourse I remember clearly, at the age of 10, boring mathematics class.
SAKI is the name of heroine, and next is LEY. Erie, Kei, Dr. Malia-Solel, and there are so many people.
★─────────────────────────────★
First, I thought they were police-women or a kind of heros like Superman... (how strong heroine!)... though, ofcourse I was just a silly child.
They have a talent called“Psy-teck". But it is just a talent, not Power. They are ordinary persons, not heros. They lives only their human life. But it is dangerous having big psy-power during some political
★─────────────────────────────★
powers are contesting.
TERAZANIA --the commonwealth of the planets reclamed by earthian-- was built only before about 40 years ago, including many racial movement.
The year, TERAZ met The RIS-TAR-LARNA --the league of stars-- first, SAKI was born in world confused.
★─────────────────────────────★
And LEY’s true home-planet is in GYEST --the empire of the galaxy--. In that country, the minority common race have ruled, with scientific military power, the majority psy-teck races.
So, this story is long and never-ending. Expect me! Thank you.
.
Now, I want to try to express about this story for you.
★─────────────────────────────★
These stories, named“Series of ESP-assion”, and all of main characters have caught me long time. The first time they appeared for me was,ofcourse I remember clearly, at the age of 10, boring mathematics class.
SAKI is the name of heroine, and next is LEY. Erie, Kei, Dr. Malia-Solel, and there are so many people.
★─────────────────────────────★
First, I thought they were police-women or a kind of heros like Superman... (how strong heroine!)... though, ofcourse I was just a silly child.
They have a talent called“Psy-teck". But it is just a talent, not Power. They are ordinary persons, not heros. They lives only their human life. But it is dangerous having big psy-power during some political
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powers are contesting.
TERAZANIA --the commonwealth of the planets reclamed by earthian-- was built only before about 40 years ago, including many racial movement.
The year, TERAZ met The RIS-TAR-LARNA --the league of stars-- first, SAKI was born in world confused.
★─────────────────────────────★
And LEY’s true home-planet is in GYEST --the empire of the galaxy--. In that country, the minority common race have ruled, with scientific military power, the majority psy-teck races.
So, this story is long and never-ending. Expect me! Thank you.
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☆─────────────────────────────☆
The Psy−Tech Ladies of TERAZANIA
Paragraph 1. At The Planet "One/Zero-Land"
Presented by Masato Toki
☆─────────────────────────────☆
☆─────────────────────────────☆
(...It’s just outline of this story though...)
It was one of frontier planet new reclamed by Terazania. Silverry Space-Port-Tower rised from the ground to satellite orbit though, it was ruled by racial self-government. They chose natural simple life over civilization.
The city by the tower, capital and only one, was in a desert on the equator.
☆─────────────────────────────☆
☆─────────────────────────────☆
Though the Two came here down at daybreak, it had already got too heat.
Because Ley from Ris-Tar-Larna just wore minimum, lemon yellow shorts and sky blue tank-top (three paradise birds printed), on such red desert.
"Of course I said you must dry up", a girl in sun & sand guard coat shrugged. "You did not hear me."
"Uh...Ah! It’ll be OK.", Ley said.
☆─────────────────────────────☆
☆─────────────────────────────☆
Suddenly, white blue luminescence of the ’Key-Wave’ appeared.
It guarded Ley’s body and made the air in ’psy-wall’ cool down. "ha ha! I’m great", sky blue haired alien triumphed. "Oh... I am afraid of being observed. In Terazania, you look like a naked Scandinavian in heated hell, and", the girl sneered, "Don’t you know how long we intend to stay here?".
☆─────────────────────────────☆
☆─────────────────────────────☆
The foreigner groaned. Though Ley had been the strongest in their institute at managing Key-Wave, it was impossible to keep psy-wall longer than hours.
They were called ’Key-Wave Master’ or ’Psy-Tech Engineer’ in Terazanian, ’Es-Passio-non’ (=emotionalist) in Ris-tar-larn. Old Terrestrials thought them, ’the Psychics’, as a kind of ’Gods’ or ’Devils’.
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The Sori-Solelu’s Private Institute to study Key-Wave had started a big project at Teraz-Orga’s request, to serch them in all area of Terazania, to investigate how is their human rights, and to examin the class.
"We can do it easy to check the ’Gamers’ ... are citizens of Terazania, who volunteered to participate in steering our Organization ... using The
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Gamers-Associa’s Com-Network. But there are others, named ’Stand-Alones’ and ’Tribes people’, evading anykind of count by the Orga, including just for family register. Maybe most of undiscovered ’Key-Wavist’ are living in such area", a Teraz student in Ris, called ’the gifted girl’, explained the circumstances of her home world to Ris-no staffs of the institute.
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"And one problem. There were THE FINAL WAR at The Planet Earth about 1,300 years ago. After the destruction, peoples got diferences according as the shelters belonged to The Space Colonists or to The Earth Lovers.
One side started to deify Psychics as Gardian Gods, another hate them as Devils destroyed the world peace, and often did bunish or lynch."
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"Many of Key-Wavist have made their ability secret for long time. When the crowd knows it, a person will loss one’s freedom wheather persecution nor deification isolated in sanctuary. And that’s because I came here in Ris avoiding such trouble", the girl finished, "So this serching will be done by only Teraz members without Ris-no staffs to keep their secret and
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life from the curiosity of neighborhoods." "But it’s dangerous", Ley said.
Though the girl was a special genius in reserch activities, was not good at managing her own Key-Waves. She sometimes destroyed training rooms in a passion. Ley was afraid she can’t hide it in Teraz lynching area, too.
And she and other Terazanians in this institute didn’t know how to fight
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and defend themselves from any violences, Ley thoutht.
"Yes, it’s all right. I already made a mini-sized controler", she said.
"But you must plan to make yourself to go to the most dangerous area, I know", Sori(=Doctoress)-Solel, the head of the institute, gave her short order, "Take Ley as your guard, please". So it was decided.
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"Oh", the girl sighed, "With you, I’m afraid of object’s human rights".
"ha!", Ley laughed, "Of course your brain is of greater value to Ris".
She was moved to anger. "Of course you are not Terazanian Volanteered ’Gamers’, so I understand you don’t know about the rights of lives... But I HOPE you to do like Gamers in Teraz, PLEASE?". "Yes, maybe" Ley answered.
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The girl and her friend Terazanian staff, golden haired beauty named Ery, threw the alien into the Sleeping Study Tank with larning program of Teraz official languages and minimum manners. And they prepared so much datum and
reports about Teraz social systems, historys, cultures, folklores and more.
But, of course, lazy Ley negleted to read them at all.
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That’s because Ley couldn’t understand why people ware guard cort on the deserts. The sunstroke must develop a skin cancer. So the two turned back to the shopping center under The Space-Port-Tower. Sky Blue haired alien
(looks like a skandinavian) chose the bright green one, bordered with gold embroidery.
... To Be Continued ...
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The Psy−Tech Ladies of TERAZANIA
Paragraph 1. At The Planet "One/Zero-Land"
Presented by Masato Toki
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(...It’s just outline of this story though...)
It was one of frontier planet new reclamed by Terazania. Silverry Space-Port-Tower rised from the ground to satellite orbit though, it was ruled by racial self-government. They chose natural simple life over civilization.
The city by the tower, capital and only one, was in a desert on the equator.
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Though the Two came here down at daybreak, it had already got too heat.
Because Ley from Ris-Tar-Larna just wore minimum, lemon yellow shorts and sky blue tank-top (three paradise birds printed), on such red desert.
"Of course I said you must dry up", a girl in sun & sand guard coat shrugged. "You did not hear me."
"Uh...Ah! It’ll be OK.", Ley said.
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Suddenly, white blue luminescence of the ’Key-Wave’ appeared.
It guarded Ley’s body and made the air in ’psy-wall’ cool down. "ha ha! I’m great", sky blue haired alien triumphed. "Oh... I am afraid of being observed. In Terazania, you look like a naked Scandinavian in heated hell, and", the girl sneered, "Don’t you know how long we intend to stay here?".
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The foreigner groaned. Though Ley had been the strongest in their institute at managing Key-Wave, it was impossible to keep psy-wall longer than hours.
They were called ’Key-Wave Master’ or ’Psy-Tech Engineer’ in Terazanian, ’Es-Passio-non’ (=emotionalist) in Ris-tar-larn. Old Terrestrials thought them, ’the Psychics’, as a kind of ’Gods’ or ’Devils’.
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The Sori-Solelu’s Private Institute to study Key-Wave had started a big project at Teraz-Orga’s request, to serch them in all area of Terazania, to investigate how is their human rights, and to examin the class.
"We can do it easy to check the ’Gamers’ ... are citizens of Terazania, who volunteered to participate in steering our Organization ... using The
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Gamers-Associa’s Com-Network. But there are others, named ’Stand-Alones’ and ’Tribes people’, evading anykind of count by the Orga, including just for family register. Maybe most of undiscovered ’Key-Wavist’ are living in such area", a Teraz student in Ris, called ’the gifted girl’, explained the circumstances of her home world to Ris-no staffs of the institute.
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"And one problem. There were THE FINAL WAR at The Planet Earth about 1,300 years ago. After the destruction, peoples got diferences according as the shelters belonged to The Space Colonists or to The Earth Lovers.
One side started to deify Psychics as Gardian Gods, another hate them as Devils destroyed the world peace, and often did bunish or lynch."
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"Many of Key-Wavist have made their ability secret for long time. When the crowd knows it, a person will loss one’s freedom wheather persecution nor deification isolated in sanctuary. And that’s because I came here in Ris avoiding such trouble", the girl finished, "So this serching will be done by only Teraz members without Ris-no staffs to keep their secret and
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life from the curiosity of neighborhoods." "But it’s dangerous", Ley said.
Though the girl was a special genius in reserch activities, was not good at managing her own Key-Waves. She sometimes destroyed training rooms in a passion. Ley was afraid she can’t hide it in Teraz lynching area, too.
And she and other Terazanians in this institute didn’t know how to fight
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and defend themselves from any violences, Ley thoutht.
"Yes, it’s all right. I already made a mini-sized controler", she said.
"But you must plan to make yourself to go to the most dangerous area, I know", Sori(=Doctoress)-Solel, the head of the institute, gave her short order, "Take Ley as your guard, please". So it was decided.
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"Oh", the girl sighed, "With you, I’m afraid of object’s human rights".
"ha!", Ley laughed, "Of course your brain is of greater value to Ris".
She was moved to anger. "Of course you are not Terazanian Volanteered ’Gamers’, so I understand you don’t know about the rights of lives... But I HOPE you to do like Gamers in Teraz, PLEASE?". "Yes, maybe" Ley answered.
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The girl and her friend Terazanian staff, golden haired beauty named Ery, threw the alien into the Sleeping Study Tank with larning program of Teraz official languages and minimum manners. And they prepared so much datum and
reports about Teraz social systems, historys, cultures, folklores and more.
But, of course, lazy Ley negleted to read them at all.
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That’s because Ley couldn’t understand why people ware guard cort on the deserts. The sunstroke must develop a skin cancer. So the two turned back to the shopping center under The Space-Port-Tower. Sky Blue haired alien
(looks like a skandinavian) chose the bright green one, bordered with gold embroidery.
... To Be Continued ...
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The Darkness with The Purple Twilight
(The Series of "ESP-assion" vol.1)
Chapter One. The Psy−Tech Ladies of TERAZANIA
Presented by Masato Toki
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Paragraph 0. TERAZANIA
TERA−ZA−NIWA
--- The Ideogram " 照 坐 苑"
means "Sitting in the Garden Sunshined".
The powerful sunlight cuts the world out like just a shadow picture.
While the machine, it counts the time passing, made its longer stick go round twice, LEY sat under a big tree alone.
This secion is called "park" , Ley heard. It’s the place to take a rest and "cooling-down" escaping from heat and sunstroke.
But why? Why did they make a facilitty like this on out-door?!
Ley came from The RIS-TAR-LARNA --the leageu of stars--, so it is hard to understand. How does the people in TERAZANIA --the commonwealth of the planets reclamed by earthian-- think and act? Ofcourse they have good technology to air-control in door!
But... it is very beautiful, looking dark green leaves are dancing with white gold sunlights. And sitting right on sandy ground is extra-ordinary experience for Ris-tar-larno.
Maybe, it is a place for mental efect like this more than for mecha-nical efficiency.
When finishing guesswork, Ley’s worst feeling has gotten better.
"It is a matter of course I can’t understand her solutely, because there are too many differences between our cultures... Damn it!"
Such a dis-communication made the foreigners turned upon, a quarrel about a trifle with a partner made Ley run away from tea-shop, though.
It happend during a late breakfast. Now it is time for lanch.
The sunbeam with heartless heat is sewing darkness on the earth for show. Sitting in the dim light under a big tree, the external world looks like a day-dream.
So, Ley can catch merry voices first. Then a group pass on a path.
The men in a dandy uniform, blue-black with bright red lines, are carrying large parcels and sit in a circle, under the tree in front of Ley’s one.
"What are the piled things wrapped in square cloth?"
They open them. ... ah? ... "How BIG lanch boxes!!" Ley is amazed.
It seems just a daily lanch, not for festival nor ceremony, because they start to eat together, without any special words.
"They all are Big-Eaters! How can they keep their body slim eating such a high calorific value?"
Yes, of course, they are far from fat. They looks very firm-fleshed with dark colored skin and clear-cut faces.
"How hard training? ... Oh, no. It must be hard ’work’! "
Ley heard that some minority races being against the TERAZANIAn rule,love to ’handwork’ without machine power.
If so, the vivid costumes are not uni-forms but folk-wears. And that remind Ley of the red and dark-blued mosaic-work. Growing faint from the heat though, Ley saw them at work tiling on the way to here.
……たしかに自分で書いた(訳した?)英文のはずなのですが……
A^−^;)
まぁ、自閉症?もどきの時にやった事なんて、
シラフ(?)の時には、理解できないものよね……☆
<(-_-;)>”
(今となっては、書くどころか、読めません!!) (^◇^;)”
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The Darkness with The Purple Twilight
(The Series of "ESP-assion" vol.1)
Chapter One. The Psy−Tech Ladies of TERAZANIA
Presented by Masato Toki
☆─────────────────────────────☆
Paragraph 0. TERAZANIA
TERA−ZA−NIWA
--- The Ideogram " 照 坐 苑"
means "Sitting in the Garden Sunshined".
The powerful sunlight cuts the world out like just a shadow picture.
While the machine, it counts the time passing, made its longer stick go round twice, LEY sat under a big tree alone.
This secion is called "park" , Ley heard. It’s the place to take a rest and "cooling-down" escaping from heat and sunstroke.
But why? Why did they make a facilitty like this on out-door?!
Ley came from The RIS-TAR-LARNA --the leageu of stars--, so it is hard to understand. How does the people in TERAZANIA --the commonwealth of the planets reclamed by earthian-- think and act? Ofcourse they have good technology to air-control in door!
But... it is very beautiful, looking dark green leaves are dancing with white gold sunlights. And sitting right on sandy ground is extra-ordinary experience for Ris-tar-larno.
Maybe, it is a place for mental efect like this more than for mecha-nical efficiency.
When finishing guesswork, Ley’s worst feeling has gotten better.
"It is a matter of course I can’t understand her solutely, because there are too many differences between our cultures... Damn it!"
Such a dis-communication made the foreigners turned upon, a quarrel about a trifle with a partner made Ley run away from tea-shop, though.
It happend during a late breakfast. Now it is time for lanch.
The sunbeam with heartless heat is sewing darkness on the earth for show. Sitting in the dim light under a big tree, the external world looks like a day-dream.
So, Ley can catch merry voices first. Then a group pass on a path.
The men in a dandy uniform, blue-black with bright red lines, are carrying large parcels and sit in a circle, under the tree in front of Ley’s one.
"What are the piled things wrapped in square cloth?"
They open them. ... ah? ... "How BIG lanch boxes!!" Ley is amazed.
It seems just a daily lanch, not for festival nor ceremony, because they start to eat together, without any special words.
"They all are Big-Eaters! How can they keep their body slim eating such a high calorific value?"
Yes, of course, they are far from fat. They looks very firm-fleshed with dark colored skin and clear-cut faces.
"How hard training? ... Oh, no. It must be hard ’work’! "
Ley heard that some minority races being against the TERAZANIAn rule,love to ’handwork’ without machine power.
If so, the vivid costumes are not uni-forms but folk-wears. And that remind Ley of the red and dark-blued mosaic-work. Growing faint from the heat though, Ley saw them at work tiling on the way to here.
……たしかに自分で書いた(訳した?)英文のはずなのですが……
A^−^;)
まぁ、自閉症?もどきの時にやった事なんて、
シラフ(?)の時には、理解できないものよね……☆
<(-_-;)>”
(今となっては、書くどころか、読めません!!) (^◇^;)”
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エスパッション・シリーズ 紫昏の闇(1)
テラザニアの斎姫連(サイキレン)
1.照坐苑(テラザニア)
先進文明のリスタルラーナ星間連盟から来たキリアスことレイ【主役紹介】はゴミ収集システムを目の当たりにしてテラザニアの参加者(ゲーマーズ)制度を学ぶ【舞台紹介】。
相棒のセラ・レンことサキ登場【天才少女の紹介】。「研究者」と「研究材料」である二人の仲は微妙なところでうまくいってない【偽名の理由不明の紹介】。
2.頼等(ライラ)
二人がこの星へ来たのは人探しのためだ。所属するリスタルラーナの研究所の任務で、潜在するESP(エスパッション/気波者)の実態調査と、新たな研究材料(協力者ともいう)の発掘が目的。
宇宙港に一歩降り立った途端、あまりの暑さに圧倒されているレイ。不快指数が拍車をかけてセラ・レンに偽名の理由を白状しろと喧嘩をふっかけ、地理もわからずに飛び出して「1」の状況に至る。その間、探しに出る前に一仕事片付けていたセラはそうとう薄情と言えるのでは……。
それはともかく二人は第一目標のライラのマンションへ行く。が、そこでなんと星間警察の家宅捜査にぶつかり、占い師として活躍していた彼女が実は犯罪組織「闇」(バイラ)の一員であり、逮捕寸前に逃亡したと知らされる。【アリーさんと部員たち登場】。
テラザニアの斎姫連(サイキレン)
1.照坐苑(テラザニア)
先進文明のリスタルラーナ星間連盟から来たキリアスことレイ【主役紹介】はゴミ収集システムを目の当たりにしてテラザニアの参加者(ゲーマーズ)制度を学ぶ【舞台紹介】。
相棒のセラ・レンことサキ登場【天才少女の紹介】。「研究者」と「研究材料」である二人の仲は微妙なところでうまくいってない【偽名の理由不明の紹介】。
2.頼等(ライラ)
二人がこの星へ来たのは人探しのためだ。所属するリスタルラーナの研究所の任務で、潜在するESP(エスパッション/気波者)の実態調査と、新たな研究材料(協力者ともいう)の発掘が目的。
宇宙港に一歩降り立った途端、あまりの暑さに圧倒されているレイ。不快指数が拍車をかけてセラ・レンに偽名の理由を白状しろと喧嘩をふっかけ、地理もわからずに飛び出して「1」の状況に至る。その間、探しに出る前に一仕事片付けていたセラはそうとう薄情と言えるのでは……。
それはともかく二人は第一目標のライラのマンションへ行く。が、そこでなんと星間警察の家宅捜査にぶつかり、占い師として活躍していた彼女が実は犯罪組織「闇」(バイラ)の一員であり、逮捕寸前に逃亡したと知らされる。【アリーさんと部員たち登場】。
エスパッション・シリーズ 紫昏の闇 梗概
尊貴真扉(ときまさと)
1.「テラザニアの斎姫連(さいきれん)」(起)
2.「スランナートの禍い」(承)
2−1.「白と青」
ライラ、牢内で二連星の夢回想。
テラザニアの近代史?粗筋説明。
影男ことサリラ登場。
2−2.「祈人群」
本物のセラ・レン登場。
久別に滞在中の二人の説明。
2−3.「 」
アリーさんスランナートを追う。
被害者としてメグミ(ESP)登場。
事件の説明。
2−4.「 」
ライラ逃亡の報。パリスとエムラン登場。協力要請。
久別草原の炎の回想。
2−5.「 」
ライラ? 闇の側の造反の動き。
3.「 」(転1)
3−1.「 」
地球……エリーさん登場。
3−2.
3−3.
3−4.
3−5.
3−6.
3−7.
4.「 」(転2)
4−1.
4−2.
4−3.
4−4.
4−5.
4−6.
4−7.
5.「ブラインド・ポイント」(?)(結)
エスパッション・シリーズ 紫昏の闇(1)
テラザニアの斎姫連(さいきれん) 梗概
尊貴 真扉(とき まさと)
序 章「 」(三十枚)
……キリアスことレイのゴミ拾い。
主役二人と舞台の紹介。
第一話「照坐苑(テラザニア)」(五十枚)
……二人の目的。大体の展開予告。
セラことサキの正体不明。
アリーとパリス(星警)登場。
第二話「 」(五十枚)
……セラとキリアスのESP証明。
レイの性別。テラザニアの公職制度(参加者制度)。
第三話「 」(五十枚)
……ムベラ大使登場。セラの正体?
セラの天才性。事件の進展。
第四話「 」(五十枚)
……セラ、負傷。
キリアス独走して情報入手。潜入不可?
第五話「 」(五十枚)
……セラ、正体の半分。皆無拓に面会、特権発動。
惑星《久別》へ。
第六話「 」(五十枚)
……テラザニアの歴史。
ライラ登場、会談の後、自首。
セラの正体、地球の歴史。
ザイード・アル=ハムラーア・レザン
序 章「迎夢者(げいむしゃ)たち」(二十枚)
キリアスのゴミ拾い。
主役二人と舞台の紹介。
第一話「照坐苑(テラザニア)」(五十枚)
惑星最涯到着。暑い。
ライラ宅訪問。星警とかちあう。
拝礼されるセラ。カツラを買う。
極冠地帯へ。
第二話「記念式典(開幕)」(五十枚)
式典開幕。潜入した二人。
理由は極冠地帯で爆破事件。
ライラ、逃亡。船体破壊。
気波を使う。星警に捕まる。
第三話「外交特権」
星警訊問シーン。レイの性別。
セラ、連行途中で資格取得。
惑星大鼻(ビッグノーズ)到着。
セラ、負傷。キリアス情報入手。
皆無拓に面会、特権発動。
第四話「 」
惑星久別(くさば)到着。本物のセラ。
捕物。ライラと会談、自首させる。
終 章「テラザニアの斎姫連」
テラザニアの歴史概括。
サキの正体と二人の会話。
舞のシーンでエンディング。
.
テラザニアの斎姫連(さいきれん)
土岐 真扉(とき・まさと)
第一章・惑星《最涯(ワンゼルラン)》 その二
☆
「……殴ったりして悪かった」
相棒のほおにくっきりのこる指のかたちのアザを認めてしかたなくレイはつぶやいた。半日が経過してなおこの状態ということは、さぞ痛かったにちがいない。
「……なおすぞ」
そう宣言して手をのばす。気波使(きはつかい)にしか視えない蒼光がすぅとひらめいて、傷は癒えた。
「たすかったよ、ありがとう。これで人様を訪問するのはちょっと問題があるものね」
にっこり笑って腕力をふるった当人に礼をいう、少女の神経はレイには不明だ。
「このくらい自分で治せるだろうが。やりかたは教えてやったぞ」
「いやぁ、やっぱり、責任はとっていただかないと?」
「あんたなぁ……★っ」
見せつけるためだけにわざわざ治療はせずにおいたと、言われたほうはがっくり疲れはてた。
こいつには、てめえの美貌の自覚はないのかっ!
毎朝の洗顔のあとで鏡を点検するかどうかも疑わしい無頓着(むとんちゃく)な天才少女は、絶句する面喰いの反応を読み違えたのか底意地の悪い笑顔をうかべて見せて、さっさと歩いていった。
ここは砂漠の宙港都市。その人工緑地(オアシス)のなかである。
「どっちがいい?」
木立に隠れるような半地下にしつらえた石造の休息所で、飲料の缶をふたつ手にして戻ってきた少女は、すぃと流れるような動作ではすむかいに腰をおろして訊ねる。
「どっちたって……これ、なんなんだ?」
(???続きのデータが無いっ!! (T_T)” )
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