…………。
しばらくの間、なおも木々をかきわけて
真里砂は完全に頭が混乱して自分が何を考えているのかも解らない有り様で、幾度もけつまづいては
「
「マーシャ、うれしくないのか?!」 雄輝が、驚いた時の常でつい声音が大きくなりながら言った。貿易商だった両親につれられて外国生活を続けた後に、飛行機事故で孤児となって
解らないと真里砂は首を振った。
「もっと落ち着いたなら、もしかしたらうれしいとも思うかも知れないわ。だけど、自分が“帰って来た”のだなんて感じはまるでないのよ。それに
「地球(ティカース)ではわたしは幸わせだったわ。養女とはいえママとパパの娘で、外交官有澄夫妻の令嬢。
「落ち着きなよ、マーシャ。」 再び膝をついてしまった真里砂に後から手を差し伸べながら鋭が言い、真里砂は邪慳にそれを振り払った。
「恐いのよ。あなたには解らないわ!」
鋭は一瞬傷つけられた瞳をしてひるんだが、それでも辛抱強く真里砂が立ち上がるのを待っていた。
「マーシャ、そりゃあ僕には記憶喪失になった経験なんか無いから、どのぐらい不安になるのかは察しもつかないよ。だけど……少なくとも自分の親が解らない寂しさは知ってる。
(つづく) .
コメント