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「あなたは誰なの?」
真里砂に尋ねられて少年は真っ赤になった。
「あ、無礼な真似してすいません。もし人違いでもしたら大変だって、そればっかり気にして来たもんで……。ぼくはルンド家の第一子(パスタ)・クラダ。父はこの森の翼人(よくんど)鳥人族の族長だったんだけど、“会議”のすぐ後で病気で死んじゃって……dから今はぼくの母さんが族長です。それで……」
真里砂は耳まで真赤にして話すその話し方を聞いていてすっかり楽しくなってしまった。
「そんな訳で、帰って来たあなたを最初に出迎えるって名誉な役がぼくのものになった人間がぼくしかいないことになっちゃったんです。」
「帰って来た、ですって?」 真里砂は少なからずろうばいしておうむがえしに聞き返した。それじゃあ、じゃあ、じゃあ、本当に……?
「もちろん、あなたは『やって来た。』って言おうとしたのでしょうよね?」
少年は不意の質問にあきらかに気分を害されたようだった。
「 ああ、。それはもちろんあなたが本当に帰るべき所はもっとずっと南の美しの白き都(ルア・マルライン)だけど。遠いどこか別の土地なんだろうけど。ぼくが言いたかったのは、あなたがティカースからこのダレムアスの土の上に戻って来たって事ですよ。」
「……ティカース……丸い地の国……。ダレムアス……大地の国……。」
真里砂はぼうっとくりかえした。
丸い地の国(ティカース)が地球の事であるのならとしたら、大地の国(ダレムアス)……これは……
「じゃじゃ、あ、じゃあ!」真里砂の声は思わずつっかかった。「ここは地球上ではないのね? それで……帰って来た、っていう事は、わたしは本当にここの国 大地の国(ダレムアス) の人間なの?!」
真里砂の、驚きと、歓喜と、恐怖の入り混じった奇妙な表情には気づかずに、パスタはからかわれているととって怒り始めた。ので、そんなつもりではないと真里砂は大慌てで謝らなければならなかった。
こうなったら正直に話した方が良い、と判断して、「ねえ驚かないで聞いてちょうだい。実はわたし……」
先刻から使っている例の奇妙な言葉の中から“記憶喪失”の単語を見つける事ができなくて、真里砂は少し言いよどんだ。
(つづく) .
「あなたは誰なの?」
真里砂に尋ねられて少年は真っ赤になった。
「あ、無礼な真似してすいません。もし人違いでもしたら大変だって、そればっかり気にして来たもんで……。ぼくはルンド家の第一子(パスタ)・クラダ。父はこの森の
真里砂は耳まで真赤にして話すその話し方を聞いていてすっかり楽しくなってしまった。
「そんな訳で、帰って来たあなたを最初に出迎える
「帰って来た、ですって?」 真里砂は少なからずろうばいしておうむがえしに聞き返した。
「もちろん、あなたは『やって来た。』って言おうとしたの
少年は不意の質問にあきらかに気分を害されたようだった。
「
「……ティカース……丸い地の国……。ダレムアス……大地の国……。」
真里砂はぼうっとくりかえした。
丸い地の国(ティカース)が地球の事である
「じゃじゃ、あ、じゃあ!」真里砂の声は思わずつっかかった。「ここは地球上ではないのね? それで……帰って来た、っていう事は、わたしは本当にここの国
真里砂の、
こうなったら正直に話した方が良い、と判断して、「ねえ驚かないで聞いてちょうだい。実はわたし……」
先刻から使っている例の奇妙な言葉の中から“記憶喪失”の単語を見つける事ができなくて、真里砂は少し言いよどんだ。
(つづく) .
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