しばらく話すうちに、とにかく野宿できそうな場所を見つけようと言うので、三人はせっかく起したたき火のおきをていねいに土に埋めて歩き初めた。
先頭は一番図体の大きな雄輝で、続いて真里砂。真里砂は雄輝の後にちゃっかり小判ざめよろしく張りついたものでほとんど枝にさわりもせずに済むのだが、前二人を通した後の枝のはねっかえりをもろに受ける鋭は不平たらたら、ひっきりなしに悪態をついていた。
辺りの様子h、冷帯性の安 鋭に言わせるとれば「冷帯性の安定樹林」だそうで、小さい頃から朝日ヶ森のただ中で育っている真里砂と雄輝にはおなじみの風景だったが、ただ、もっと古びていて寂しげだった。天気のせいか鳥影一つ見えず、暗い枝々を通して時折りのぞく空模様は、ますます重苦しく雪雲がたれこめている。
雪は少しづつはげしさを増している様子で、小一時間も歩く頃には、かきわけた枝から積りたての綿雪が降りかかって来る程になった。
「どんどん暗くなっていくな」鋭がつぶやいた。「夜までには避難場所を見つけないと……」「八甲田山になっちまう」「雄輝! 遊ばないでよ!」
抗議しつつも真里砂は雄輝が一所にいる事に感謝していた。もしこれが鋭と自分だけだったら? 2人とも物事を真面目に考えすぎるから、さぞかしやり切れない気分になっていた事だろう。 雄輝が、本当に真剣になるべき時には誰よりも頼りになる存在である事を真里砂はこれまでのつき合いで良く知っていた。
 
今も、そうだった。
3人がそれぞれ胸の奥で考えていた、答を出すには少し重大すぎる疑問を最初に口に出して言ったのは雄輝だったのである。
 
 

 
 古いノートの「2.森の中で」からパスタのシーンを持って来て、
「雄輝!鋭!……どうして!?」につなぐ。(←雄輝と鋭の魔法vsSF会話。古ノートより。)
野宿に適当な所を探してから火をたいて座りこみ、
「今、君、何語でしゃべったんだい……」に、つなぐ。
 

 
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