彼(か)の昔

 哀しみの姫てふ侍女なる娘の

 皇女(おうじょ)に問ひける。
 
 「国がため
 
  未だ見ざる男(ひと)に嫁ぐ。
 
  これ幸福(しあわせ)であられるや」
 
 
 
 皇女答ふること能はざりき。
 
 
 

 
 
 
 序章
   一、  語り部の口承より  
 
 その昔、危機皇治世の時代58年、第一皇子マリシアル様御成人と第二皇女マーライシャ様“学び始め”のお式がちょうど重なった年のこと、一人の娘御が皇女付きの侍女として“麗しの白き都(ルワ・マルライン)”のお城に上がられました。
そのお方は実はアーシュラ・グィドと申される、帰化地球人(ティクト)自治領のとある大国の姫宮であられましたが、皆にはそれを伏せてただ“哀しみの姫”とだけ呼ばれておりました。
 さて、折しも始まった大異変のために、長い平和の時代を裂いて諸侯会議が開かれたのは、丁度この年の事でございます。
御存知の通り大異変の原因は母なる大地の女神よりの急を告げる警告。
諸侯会議の際に遂に明らかにされたその内容が実に恐ろしいものでありました事は、今更申すまでもございません。
その危機に立ち向かうためには、長い間二つに割れて戦争(いくさあらそい)の原因にさえなってきた高貴な血筋を今こそ一つに戻し、全ての確執を取り払って大地の国(ダレムアス)全体を一つに統べる事のできる皇を誕生させなければならない。
その場に集った皇と王たちとがそう断を下した時が、全ての物語のそもそもの始まりでありました。
この時を境に、大地は大いなる歴史の流れの上を巡り始めたのでございます。
 
 

(※「コクヨ ケ−10 20×20」原稿用紙にシャーペン書き。)

コメント

りす
りす
2007年6月12日0:15

 (^◇^;)

『源氏物語』と『古事記』と『万葉集』、特に額田皇女のエピソードの影響下にあった時期だというのが、もろばれです……☆ そしてもちろん『指輪物語』も………………☆☆(^◇^;)”☆☆

りす
りす
2007年6月12日0:19

あ、あと、『和宮様御留(かずのみやさまおとめ)』(※江戸時代末期の大政奉還とかの頃の「皇女降嫁」の話……☆)も、この頃に読んでたんだっけ? (^◇^;)
そしてもちろん、このほぼ同時期に、かの、

「きみしにたまうことなかれ、
 すめらみことはたたかいに、
 おおみずからはいでまさね」 ……に、ハマる☆(^◇^;)★

(だからうちとこの「皇女」は、自ら戦地に立つのよ!!)

 ||||(^◇^;)||||”

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