エスパッション外伝・紫昏の闇(仮題)
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地球人類による開拓惑星連邦(テラザニア)が樹立されて42年。
異星人類(リスタルラーノ)の星間連盟(リスタルラーナ)との第一遭遇と、国交開始から18年。
第一期の官費留学生として星間連盟の最高教育機関(サリュート)に最年少で編入した記録をもつ天才少女、サキ・ラン=アークタスは、18歳のいま、連盟内のとある研究所の研修士(レッセルノン)として、内密の調査をおこなうために惑星連邦の辺境星域を旅していた。
気波者(きはしゃ)あるいは気波技能者(エスパッショノン)と呼ばれるいわゆる超能力者は、地球から派生した文化圏のなかでは非人類(ばけもの)として差別と迫害の歴史を歩まされてきた。
科学と法制度の面からいえば現在でも彼らの存在は認知されていない。
保護と規制のためにはまず正確な実態を、というのが、地球連邦政府から政官連盟(リスタルラーナ)の研究所に依頼された調査内容だった。
開拓途上の惑星ごとに軌道上に気波の検知器を飛ばせて位置と人物を割り出し、目的を説明して本人の協力を請う。
問題は、特殊能力をもつ者たちがそれを隠したがっていることではない。
隠れて暮らしているひとびとを内密に訪ねてあるくには、ラン=アークタスの名はあまりに大きいという点なのだ。
(こんなことなら地球人(だから目立たない)というだけで指名されたときに断るべきだった★)
似合わないカツラと濃色の度なしメガネの陰でためいきをついても手遅れというものだ。
十歳このかた天才児と科学者ばかりという特殊な環境で暮らしていたおかげで本人すっかり忘れていたのだが、歴史の教科書にも名前がのるような、救国の英雄ノリの半端でない有名人なのである。
ただしは、母親が、なのだが。
うりふたつに育ってしまった事実はいまさら変えられない。
均整のとれた長身だけは父方の血をひいたらしく、小柄だった彼女よりも十センチちかく高いが、白とも橙(オレンジ)とも象牙ともつかない微妙な肌はまぎれもなく母の属する一族のものだ。
事故で左の視力を失ってそちらの眼球だけが銀ひといろに変色してしまったほかは、珍しい淡い灰(アッシュ・グレー)のふわいrと長い髪といい、同じ色彩のつりあがりぎみの大きな瞳といい。
額のひろいととのった顔だちまで、十八歳もなかばのいま、鏡をみるとうんざりするほどに、似ている。
(自分(わたし)は母の身代わりだろうか?)
彼女はためいきをついてえんえん暗くなっていた。
夭逝したサエム・ランの人柄はわずか6歳だった愛娘にも消せない影響をのこした。
いまでもすべてのひとに惜しまれているのも当然のことだと思う。
思うが、その神々しいほどの存在感をこちらに求められても、困るのだ。
普通の一個人として暮らしたいというのは、地球圏では無理なのだろうか……。
車窓にうつる顔をあいてにうらみがましい一人芝居を演じている少女を奇異に感じたか、
「ねーちゃん、頭でも痛いのか?」
となりの席の子供が首をかしげてのぞきこんできた。
「え? ううん、そんなことないよ」
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コメント
「日本移動通信株式会社御中
平成元年5月18日
日本電気株式会社
プ゜ロジェクト推進管理本部
本部長代理○○○□□
無線局(陸上移動局)免許取得届 」
……とか、書いてある、わけです……☆ (^◇^;)>”
良い子の皆さんは、派遣先職場のミスプリ紙をお持ち帰りして同人原稿の試し刷り用に使うような、わるいことをマネしてはいけません……☆☆
(^_^;)d””
……あ、今、「8100」、踏んじゃった……☆ (^◇^;)”