ティリーさんは今メゲテいます。とっても落ち込んでいます。直截に言うと、ひどく深刻に悩んでいるのです。
 ティリーさんの友人たちは、いつも大抵おしゃべりなので、何かしらお互いの間で問題が起こった時にでも、相方言いたいだけ自分の言い分を話してしまうと、あらかたのゴタゴタは解決してしまうのです。
だけど、今度はちょっと勝手が違いました。
 ティリーさんのお友だちのサキが相談を持ち込んで来たのは二日前でした。(つまりティリーさんはそれからずっと悩んでいるわけです。)サキは友だちの一人を自分の友人たちのグループの仲間に入れようと思って遠くの町から連れて来たのですが、サキがどうしても抜けられない用事で一週間程留守にしている間に、どういうわけかその人は  女の人です  何かにひどく腹を立てて、飛び出して行ってしまったのです。
 帰って来たサキは慌てました。連絡しても、その人は元居た所へは戻っていないと言うのです。サキは、その人がもう十分自分の仲間たちに慣れていると思っていたと言いました。その人が何に傷ついて飛び出して行ったのか、解らないと  ……。
 サキがあんなに饒舌に人に愚痴をこぼして行くなんて、あれはいつも自分一人で悩み事を解消しようとしている彼女にしてみれば、泣くのと同じ事なのです。それなのにティリーさんは、彼女の為に何もして上げる事ができないのです。飛び出して行ったその人に理由を聞きに行ってあげようにも、行方が知れないのですから……。
 それでティリーさんは自分の無力さが哀しくて、腹立たしくて、人間がどうしてこんなにも  口に出して言わなければどんなささいな想いも伝わらない程に、そして精一杯想いを込めて語ってさえ、しばしば相手に真っ直ぐには伝わらないほど  悲しくできているのかが解らなくて、やはりどうしても落ち込んでしまうのでした。
 
 
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