「ヤスカ・イルレム少尉、今度の君のおまえの次の任務だ」
薄汚ないメトロの便所の中で、彼は上司からの伝達を受けとっていた。映像などばく然と人の姿だという事が判る程度のヴィデオ・カセットである。画面には、あまり暗いので、かろうじて男性らしいと思える程度にしか解らない人物がぼんやりと映っている。
「見たまえ」「これを見ろ」
ぱっと画面が変わって、鮮明な一人の少女の姿が現れる。そのまりの光度差に、一瞬、彼にはその少女自らが銀色の光を放っているかのように見えてしまう。
画面は次々に動いてその少女の様々な角度からの表情、姿勢、体型などを見せてよこしたが 中には変装した(つもりらしい)スナップなども数葉あったが を送ってよこす。
それと同時にかなりの量の数値的な情報をも、彼は、現われては消える細かな字幕の網から読みとっていた。
「で?」と、無駄と知りつつヤスカは、彼は、まるで通話中であるかのように低い声で疑問視をさしはさむ。
すると、彼の事は全て知っているが、彼の方では未だに、そして一生、正体はおろか名も顔つきさえも解らぬ男=暗闇の箱の中の上司が、質問に呼応するようなタイミングでにして、本題を切り出すのだ。
「名前はサキ・ラン=アークタス。サキ・ランの通称で通しているが、地球人だ。この女が、今度特例として特捜養成センターへ入所する。特捜(エス・ピー)課に就任する事になった。おまえの任務は、この女に近づき、S・Pになろうという意志を半年以内にくじかせること。ただし、一切の危害を加えてはならない。できる事なら恋を仕掛けて一生を家庭に閉じ込める事が望ましい。 この女が自然死に至るまでの一生を監視せよ。」
「監視? つまり、ボディーガードが目的か」
一人問い返す彼の声を尻目に、画面の人影は中途で消えた。 たまにはタイミングをはかり損ねる事もあるものだ。
「 は、ついに俺の一生を縛りつけやがったか」
彼は吐き出すようにつぶやいて、薄汚れた彼本来の世界影の世界を後にした。
(^◇^;)
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コメント
このブログのカウンターがただ今「7772」なので……☆
幸か不幸か「7777」を踏んじゃった方、御一報下さい♪
「これ」が多分ちょうど「7777」です……☆ (^_^;)”
リンクさせて頂きました(*- -)(*_ _)ペコリ
秘密多めなときもありますが☆ヽ(▽⌒*)よろしぅ♪
自分は「7778」でした〜(・。・。;;