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 サキ、レイ、ケイ、ソレル女史の四人が、四人も入るとやや狭く感じられるマンションのLDKで遅い朝食をとっていると、これまたずいぶん遅めに朝のニューズカセットが配送されて来た。
ケイがすぐ壁の映写盤にセットする。
と、聞き慣れた旋律が流れ見慣れたアナウンサーの顔が映り、“昨日午前10時より夜8時まで、2度の休憩をはさんで延々8時間に渡って行われました、第3回臨時星間連合総会の模様をお伝えします……」の声と共に、なんと他ならぬレイの横顔がパネル全体にアップで映った。
「あ! ちょっと! レイよ、レイ!」
「わーっ すごい。あの真面目そーな顔ったら!」
「“そーな”たあなんあのさ、サキ!」
おかげでソレル女史は最初の部分を聞きのがしてしまったのである。
女史が手を上げて制するまでの30秒間、部屋の中では少女たち3人の喚声以外何も聞こえる状態ではなかった。
「……時20分までは、ソレル女史の提出された資料に関する、弱冠の質疑に対して、医師、科学者からなる調査団から応答がなされました。その後1時間半の休憩をはさんでソレル女史の簡単な経緯説明があり……」
 その辺の進行は、むしろアナウンサーよりサキの方が詳しいくらいだろう。なにせ当事者のレイとソレル女史から昨夜たっぷり聞かせてもらってあるのだから。
 
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 レイはリスタルラーナでも地球でもない。第三の国、ジースト星間帝国の人間である。帝国とは言っても実際の帝制及び皇帝家の血統は途絶えてしまってから何代にも渡り、現在では数人の枢機卿から互選される宰相職が実権の大半を握っていた。
帝国の首都惑星は、黄色い小粒の太陽“ジーティ神”の回りを巡る、ジレイシャとアンガヴァスの2連星で、地球・リスタルラーナがそうであるように、やはり最長の歴史を持つ文明発祥の地だった。

“ジースト”とは「“太陽(ジーティ)神”の征服地」の意であり、その版図には必ずしも、発生を異にする人類が存在していなかったわけではない。
殊に、首都惑星を形成している二連星、ジレイシャとアンガヴァスの間には、現在に至るまでジーストの文化と政治形態に多大な影響を与え続けている長い確執の歴史があった。
 
 
 詳しい経緯をお知りになりたい方は、図書館へ行って14年7月からのニューズカセットを参照されたい。ほとんど連日関連記事が乗っているはずである。
歴史の苦手な方の為にあえてここで説明を加えるならば、要は、現在ソレル女史始め友人の科学者達数人は、新しい星間国家ジーストの発見と、そことの……

 
             没。

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