3歳、海辺。
なんの時だったか忘れた。たぶん姉さんの9歳の時の、舞踊の発表会の帰りだろう。
「……母さん! わたしを見てよ!」
波打ち際で遊んでいたサキの心に、不意に母とサユリの言い争う声が聞こえてきた。
その時までは、世界は、ただ愛と慈しみと、優しさだけを持ってサキを迎え入れていたのに。
「今日はわたしの日よ! わたしが踊ったのよ! なのになぜ母さんは、いつもいつもいまも、サキ、サキの話ばかり」
母はただ謝罪した。
人間として、自分の欠点を許して欲しい。あなたはあまりにも幼ない日の私に似ていて、まるで自分の悪い点をそっくり受けついでしまっているのです。私にはあなたが、何を考え何を見て、どう成長するのか、手に取るようにわかってしまう。
あなたは私の愚かさをそのまま再現したようで、時として私には耐え難い。その点サキは……
ふっと視線をはずして、空の一点にサエムは何を見ていたのだろう。
彼女は、サキが「我々とはまったく違う」人間になるだろうと、その未知性に母として人間として、魅(ひ)かれてしまうのだと言った。
サユリが何故そんなに苦しんでいるのか、そのわけもすべてわかるとも。
  サキには、わからなかった。「何か」大事な点を見落としている。
「わかったわ。母さんはわたしを愛してくれてはいないのね。」
冷たく、冷たく、冷たく、サユリは言い放った。(※)
9歳にして、母親の愛を求める娘という役割を断念し、彼女は一人の女として、サエムとの戦いを開始したのだ。
「これだけは言っておくわ。……サキに、舞踊の道を選ばせないでね。あの子には才能があるわ。  もし、サキと、舞台の上でまで争わなければならなくなったら、わたし、耐えられない。」
  ああ、なぜ二人は岩かげにサキのいることに気づかなかったのだろう。

その日すぐにサエムは発作を起こして入院し、サキは始めての「幻想」の驚きで、長い間この日の事を忘れていた。
いや、覚えてはいられない抑圧となって、彼女自身が無意識のうちに、記憶の底に封じ込めていたのだ。
 それが、再び現実となってサキの世界に戻って来たのは6歳の早春。母サエムが遂に逝ってしまった時だった。



「サキならまだしも並の女の子が9歳でこんな事、言うかねえ アムロだって15だったぞ May.19」という姉からのチャチャが書き込んであり、
「返信;サユリが並の女の子であるわけがないでしょ〜!」と、反論?が書いてある…… (^◇^;) 

 
(*「サユリ16歳」という但し書きのレオタード姿の憂い顔の半身イラストあり、姉が「26歳とゆーても通るわ、この表情★」とかウルサク書き込んでいる……★( ̄^ ̄;)★

 えぇ。ハンパに優秀な「姉」と、
天然で規格外な「妹」(私)の葛藤……つーネタは、
まんま実話(実体験)が、下敷きに決まってますとも!! (-_-;)>"


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