「回線70−5275」
と、キルが言った。
「なにが?」と、セラ。
「“紫昏のライラ”の捜査状況」
つまり、警察内部のコンピューターの回線コードである、と。その他にもむろん、署員のだれがしの
「盗むのくらい、わけないんだろ?」
その手の情報の操作に関して、セラにはしっかり前科がある、のをキルは知っている。
「ちょっと待て。それは非合法行為だって
「は!
と、鼻で笑われてセラは口をつぐむ。
「なーにをいまさら」
他人の認識番号使って偽名を名のるのは、合法なのか? と、問われてうううとうなるセラ。
「ちゃんと本人の了承は得たもん!」
「連邦の謄本資料を勝手に書きかえたよな? 紫昏のライラの行方、探すんだろ?」
がるるとうなって、セラは端末にとりついた。
連邦の「まじめな」構成員を自称し、非合法だの犯罪行為だのを「原則としては」せっせと否定している彼女が、今回の一連の旅にさいして自分から偽名を使うと言いだし、あえて手を汚して危ない端を渡る理由を、キルは知らない。出会ってからこれまでの4年間、半分はリスタルラーナで、半分はジーストで、同じような旅をしてきたが。いつでも本名で通し、「有名人」であるリスクもメリットも受けとめてきた。
数分と経たずに連邦警察の情報回線へ侵入を果たし、一連の資料をあたまに叩きこんで足跡も消して帰ってきたセラは、ニヤニヤしているキルにあかんべをして見せると、続けて別の回線にとりついた。
そして
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