「  仮に、思想的・人間的に未発達な精神を抱えている“誰か”がいたとして、その“誰か”の知的能力が十分に高くさえあれば、綿密な分析や計算の上に立って、表面的な「人格者」を装うのは不可能事じゃない。現にわたしはそうした人たちを幾人か知っていたし  そのうちの1人、本人でさえ自分の演技を自覚しえない程完璧に成りおおせていた人はとりわけ見事に周囲をあざむき続けていた人は、周囲から冗談で、“ソレル女史2世”なんて呼ばれていたよ……」
   ティリスは何も云わなかった。それから、ややあって、目線を上げた。
 「レイは? さっきから何も言わないみたいだけど……」
 「  ああ、レイに関しては意見を言わせようとした所で無駄ですわ、ミズ・ティリー(ティリーさん)」エライジャ(エリー)が口をはさむ。
 「ある2つに実害を及ぼす事のない限り、彼女は女史に対しては絶対服従ですわ。ゼネラの倫理観というものはあたくしには理解しかねますけれど、サキの部族の古語にそれに近いものがあったように思います。そう  確か、イッシュキッパンノウンギ……だったかしらね? サキ?」
 サキが彼女の発音を直している間にそれまで黙りこくっていたレイがふいと立って窓際へ移動する。
 「然りそのとーり、ってね。『どーとくてきかんじょー』なんてシロモンはあいにくとあたしには何の価値もない」
(「じゃあ『ある2つ』ってなあに」いつ目を覚ましたのかケイがそう質問したが、それは今のこの話題には関係ないわ、とのエリーの声で大人しく黙らされ、ティリスは考え深げな顔でレイの方を盗み見た。)
 
               .

コメント

りす
りす
2007年4月27日2:07

中学時代に使っていたルーズリーフにシャーペン描きで

「ジャーナリスト・ティリーさん♪ きゃいきゃい。」
というコメント付きのティリーさんの、ビジネス?スーツに
ワーキングウーマン風ショルダーバッグ(何故か地球風)の、
グラサンをオデコにのっけてショートカットにした後の半身像

と、

「エリザヴェッタ・アリス・ドン=レニエータ
 レニエート公女として。
 ……いや、この年だと既に女公、かな……」
 というコメント付きの、ドレスアップ姿の胸像イラストあり。

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