第 一 部
第1章
記録はすでに山となりデスクの片すみに積まれていた。
それをながめて長官は深いため息をついた。
「長官、お呼びですか?」 自動ドアがすっと開くとソレル女史がそこに立っていた。
「これを読んでくれたまえ」
長官はつかれきった声で言った。
ソレル女史 は すべての悪事の記ろくである書るいをうさんくさそうにながめた。「今までの事件よりはるかに大規模ですね」
「とにかくすわりたまえ……今日、呼び出したのはパトロール隊の事なんだが。 君も知っての通りこの一年というものありとあらゆる事件が跡を絶たない。そこでだ、今度、銀河連盟では、宇宙パトロール隊を決成することになったのだ……。」
「知っています。」ソレル女史が静かに言った。「その案は私(わたくし)が出したのです。けれど長官、今、われわれの必要としているものはただのパトロール隊ではありません!」
「ただのパトロール隊ではない?」長官はいぶかしげにたずねた。
「そうです。超能力者のグループです。なぜなら1年間で事件がこんなに爆発的にふえたということは裏になにか組織めいたものがあると思ってよいでしょう。それはおそらく銀河連盟以外の未知の惑星あるいは組織だと思われます。彼らは……」
ソレル女史がことばを切ったとたんクラース長官はもう反撃を開始した。
「ちょっと待ちたまえ。その考えはちょっと飛やくしすぎだと思わんかね。確かにわが銀河系には生物の発生が十分考えられる惑星はいくつもある。しかしそれならばどうして彼らは今まで攻撃を加えてこなかったのだ? それに“彼ら”がわれわれと同じ、もしくはそれ以上の能力を持った生物だとすると年代的にぐう然すぎる。 それから君は超能力者と言ったが冷静であるべき科学者に似つかわしくない夢物語だ。地球の神話の類(たぐい)だろう。われわれは今それどころではないんだ。存在しないものに希望をかけることはできないのだよ」
「そうですか……?」 ソレル女史はいたずらっぽい笑みを浮かべて静かに言ったがその声のひびきにただならぬものがあるのを長官は感じた。
「うわっ!」次の瞬間、長官の体を持ちあげた力があった。
そのまま彼の姿は空中にとどまった。
「ど、どういうことなんだ!? おい! ソレル君!」
「長官がお信じにならなかった超能力の中の念動力(サイコキネシス)です。私(わたくし)の案に賛成していただけますね?」
「と、とにかくおろしてくれ。サイがどうしたって? ふう……」
「念動力(サイコキネシス)です。文字通り、念じただけで物体を動かす力です。長官がなっとくなさるまでいくらでもごらんに入れます。……サキ!」
空間の1点ににごりができたと思うとあっというまに人物像が表われた。見るとまだ20歳(はたち)前の髪の長い女性だ。
「私の護衛のサキ・ランです。」それはたしかにソレル女史の声だった。しかしその直後に聞こえた声はちがった。
『サキ・ランです。よろしく。長官はテレポートをご存じですか?』
「なんだって? いったいだれがしゃべっているんだ!?」
『私(わたし)です。心から心へ話しかける、つまりテレパシーです。これも超能力といわれるものの1種です。』
「じゃあ、君は、その……つまり……超能力者か?」
『そうです。私のほかにあと2人います。長官さえ承知して
「おねがいです。長官」
「ウム…………」 2人は息をのんで待った。
「よし、わかった。ソレル君、君にすべてをまかせよう。がんばってくれたまえ」
「はい……! ありがとうございます」 同時に2人の姿はかき消すように なくなった。長官はつぶやいた。
「テレポート……だな?」 そしてにが笑いをした。
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コメント
誓って証言いたしますが、この時点での私が、『宇宙少年ロビン』とか『サイボーグ009』とか『科学忍者隊ガッチャマン』とか『サンダーバード』とか『超能力少年バビル2世』とか『チャーリーズ・エンジェル』とか『バイオニック・ジェミー』とか、美内すずえとか竹宮恵子とかとかとかとか……の影響を、多大に受けていることは、間違いありません。
しかしながら、これだけは主張いたしたいのですが、
私が『超人ロック』という作品に出会うのは……………
私が『エスパッション・シリーズ』の原型をほぼ完成した、
後の、中学2年の時、だったと思うんですよ…………確か。
(たぶん「最後の蒲田コミケ」に、萩尾望都ファンクラブの
クラスメイトにくっついて行った時に、同人誌の初版本の
『超人ロック』を入手。おそらく、初期設定が考案された
時期はと言えば、私がESPの妄想を練り上げていた頃と、
ほぼ同時期なのだろうと推察されます……………………☆)
………………………………「偶然の一致」?
それとも。……………………………………
「同時性(シンクロニシティ)」…………? (^◇^;)??