おんなじ道路を歩いていても
 ちがう世界を生きている
 肌の黄色い17歳の
 普通の家庭の女の子
 おんなじ道路を歩いていても
 ちがう世界を生きている
 肌の黄色い17歳の
 家庭を持たない女の子。
 
 「晴樹、幼ななじみっていうだけでは……
  おせっかいをやく権利もないの?}
 

 

 
 遅い春がようやくに訪れて
 季節を楽しむのは今この時しかないというのに
 こやみなく脚を動かしつづけて行く
 ひま人たち
 

 

 
 ・ 小人のココム
 ・ 森の少女ルーンダダ
 
 山で木が
 伐りたおされている
 えつこの好きだった
 《ゾウキバヤシの木》だ。
 
 「もう、
  ハッピーエンドの話は
  書けないね。」
  と、
 えつこはぽつりと言った。
 

 

 
 《自然》がきれいなのは、本当にその言葉の意味そのままを具現しているからだ。都会の作られた人工のいこいの場のように、誰かに見てもらえてはじめて役に立つ、存在できる……というちゃちな存在ではなく。
 自然というやつはそのまんまで本当に《自然》なんだ。俺みたいに人工的にぎごちなく生きてるんでない、本当に自分の、自分だけがそうありたいと思えるように存在しつづけている姿なんだ。
 
 ……あたりいっぱいの山、また山、を見ているうちに俺はたぶん泣きそうな顔をしていたに違いないんだ。なぜって俺はそんな風にはなれない。なれっこない。なぜって俺は、しょせんは鏡だから。誰かに動いてもらって初めて、自分の中の模様を変えられる……鏡だから。それが、悲しかったから。
 
 それができれば泣きだいたい気分の俺に気づかずに、それとも、気づかないふりで、好は、帰る仕度をしていた。
 

 

 
 1986.12.19.
 
 ひとりじゃとべない
 つばさがほしい
 まわりはみいんな
 山羊のむれ。
 眼下をひつじが歩いてく。
 



 
 なだらかと見えてどこまでも、幾重にも折り畳みつづく峰々……
 
 
 
 1987.01.17
 
 晴樹は、らんかんから川を見ていた。
 
 ……翔ぶわよはるき。母さんも翔ぶわよ……
 
 白く、ひるがえる、ふくらはぎ。
 
 はるがすみ。
 
 どこまでも あおい、青い空。
 
 ゆきどけの水は深くはやかった……
 
 
 栄田(旧姓・御園(みその))奈津子。
 
 

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