『 (下書き) 』 (時期不詳)
2006年8月30日 連載(2周目・善野物語ほか)「それじゃ、お願いね!」
洗いものを片づけた手ですばやく頭巾とエプロンをはずし、玄関のわきで姿見をあらためながら彼女は云った。
五人もの子供を育てたとはとても思えない若々しい細身で、ながい指が器用に、腰まである金褐色の巻き毛をくるくると編み込みにしていく。
ココアクリームの色の肌。……母は、異国の女性(ひと)だ。
「all right。そっちも頑張って」
自家製ライ麦パンを消化しながら手をふると、飛び出していく寸前に、
「もちろんよ!」
笑う。彼女は今日から出勤だ。子育ての終ったこの時期に、適職が見つかって嬉しくないはずがない。
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「さて、と……」
いつも通り、きっちり清潔に片付けられた窓の広い台所をみまわし、おれは自分の皿をシンクの洗いおけに沈めた。
父はとうに出掛けたあとである。
問題が、あとひとり残っていた。
どこまで外国問題>現代日本のふつーの感覚に準じる。
「大野の特徴」入れるの?>(のどかで人なつこい地方都市)
○ 暮らしていくことの幸福の証明。
○ ママ・マリ出掛ける。
○ 台所
○ 引っ越し
○ 父はとうに出掛けた
○ あとひとり問題が
○ うちの兄弟全員がおれを含めて重度のマザコンなのは
ママ・マリが本当にすごい女性なのだから仕方がない
として、それにしても末っ子の清は……
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