それゆえに昔語りを始めよう。
 大地の国と呼ばれるダレムアス世界のひとすみに、山多き(ミアティネア)地方の山人(ミアト)の国というのがある。その山人(ミアト)の国の都から、人の生きて入るあたわざる聖なる神々の土地、マドリアウィ連山の白雪の峰々の方へ向けて、宿場すらなき旧街道をほそぼそと旅すること二ヶ月(ふたつき)あまり。そこにむかし、 "道の果ての村" というのがあった。
 そこから先にはもう獣の通う道しかない。始源の神の国(マドリアウィ)山のやまふところに、抱かれるようにしてある小さな村であった。
 
          ○
 
 「お婆(ばば)さまァ!」
 

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